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抱擁を解いた後、美佐子さんは落ち着いた様子で、二人をリビングへと連れて行った。
紅茶の甘い香りが、さっきまでの緊張感を溶かしていく。
「さて、座りなさい。あなたたちに、私の『挫折』の全てを話すわ。そして、どうして葉月があの小箱を私に依頼したのかを理解してほしい」
美佐子さんは、深く息を吸った。
「私が美術の世界を去ったのは、葉月が言った通り、『色をつけること』に恐怖を感じたからよ」
美佐子さんは、七年前のコンクールの詳細を語り始めた。
「私は、木の板を何層にも重ねて削り出し、最後に磨き上げ、『光を捉える形』を創ることに全てをかけていた。あの時、葉月と共同で出品した作品も、その『形』に自信があった。しかし、葉月が、私の形に合うように『色彩のグラデーション』を施したとき、審査員に言われたの」
「『形は、光の軌跡を捉えた芸術だが、色は、その形を殺している』、と」
「葉月の色彩は素晴らしかった。でも、私の造形技術は、色に負けてしまった。私の形が、葉月の色を活かす『土台』ではなく、『色を覆い隠す壁』になってしまった。その瞬間から、私は自分の『形』の技術を信じられなくなった。色を入れるのが怖くなり、色が入らない、完璧に『白い形』だけを創りたくなった。そして、完全に美術を諦めたの」
陽姫は、美佐子さんの手を握った。
「美佐子さん。お母さんは、そうじゃないって知ってたんだね。だから『色が死んだ場所』に、色が入っていない台座を置いたんだ」
「ええ」美佐子さんは微笑んだ。「葉月は、『姉さんの形に色を入れられるのは、私だけじゃない。陽姫の色なら、姉さんの形を壊さないで活かせる』と、小箱を託してくれた」
俺は、美佐子さんの話を聞き終え、決意を固めた。俺が『影』として、この共同作業の橋渡しをする番だ。
「美佐子さん。ひな。俺たちが最初に作るべき作品は、美佐子さんがトラウマを抱えた作品を、陽姫の色彩で生まれ変わらせることだと思う」
美佐子さんが驚いた表情で俺を見た。
「あのコンクールの作品を……?」
「はい」俺は頷いた。「美佐子さんが過去に創った作品の中で、最も『色が入らないこと』を恐れている作品を、もう一度作ってください。そして、陽姫が、その作品に、美佐子さんのトラウマを癒やし、可能性を開くための色を与えます」
ひなもすぐに賛同した。
「それが、お母さんが言った『二人の夢の完成』の第一歩だよ!美佐子さん、私に、陽姫に、色を塗らせて」
美佐子さんは、しばらく沈黙した後、深く息を吐いた。
「…わかったわ。あの時の作品は、もう手元にないけれど、私の記憶には、その『形』が完璧に残っている。私は、再び、形を創りましょう」
「じゃあ、ひな。美佐子さんが作る『形』に、どんな色を施すか。お前の『色彩感覚』で決めてくれ」俺はひなに尋ねた。
ひなは、美佐子さんの顔、そしてリビングの窓から差し込む夕焼けの光を見た。
「美佐子さんがコンクールで批判されたのは、色が形を殺したからじゃない。
美佐子さんの『形』が、光の軌跡を捉える形だったのに、色が固定されすぎていたからだよ」
ひなおは、目を輝かせながら推理を始めた。
「美佐子さんの形は、きっと、光の角度によって表情を変える、流れるような形だった。それなのに、葉月_お母さんが施した色は、きっと単一の、固定された色だったんだ。だから、『色が重い』と感じられた」
「ひなちゃんの言う通り…」美佐子さんが息を飲んだ。
「だから、私たちが使うべき色は、『固定された色』じゃない。
美佐子さんのトラウマを打ち破るための色は、
光そのもの。そして、無限の可能性を示す色、覚えてる?視点、朔と陽姫
抱擁を解いた後、美佐子さんは落ち着いた様子で、二人をリビングへと連れて行った。
紅茶の甘い香りが、さっきまでの緊張感を溶かしていく。
「さて、座りなさい。あなたたちに、私の『挫折』の全てを話すわ。そして、どうして葉月があの小箱を私に依頼したのかを理解してほしい」
美佐子さんは、深く息を吸った。
「私が美術の世界を去ったのは、葉月が言った通り、『色をつけること』に恐怖を感じたからよ」
美佐子さんは、七年前のコンクールの詳細を語り始めた。
「私は、木の板を何層にも重ねて削り出し、最後に磨き上げ、『光を捉える形』を創ることに全てをかけていた。あの時、葉月と共同で出品した作品も、その『形』に自信があった。しかし、葉月が、私の形に合うように『色彩のグラデーション』を施したとき、審査員に言われたの」
「『形は、光の軌跡を捉えた芸術だが、色は、その形を殺している』、と」
「葉月の色彩は素晴らしかった。でも、私の造形技術は、色に負けてしまった。私の形が、葉月の色を活かす『土台』ではなく、『色を覆い隠す壁』になってしまった。その瞬間から、私は自分の『形』の技術を信じられなくなった。色を入れるのが怖くなり、色が入らない、完璧に『白い形』だけを創りたくなった。そして、完全に美術を諦めたの」
陽姫は、美佐子さんの手を握った。
「美佐子さん。お母さんは、そうじゃないって知ってたんだね。だから『色が死んだ場所』に、色が入っていない台座を置いたんだ」
「ええ」美佐子さんは微笑んだ。「葉月は、『姉さんの形に色を入れられるのは、私だけじゃない。陽姫の色なら、姉さんの形を壊さないで活かせる』と、小箱を託してくれた」
最初の共同作業の提案
俺は、美佐子さんの話を聞き終え、決意を固めた。俺が『影』として、この共同作業の橋渡しをする番だ。
「美佐子さん。ひな。俺たちが最初に作るべき作品は、美佐子さんがトラウマを抱えた作品を、陽姫の色彩で生まれ変わらせることだと思う」
美佐子さんが驚いた表情で俺を見た。
「あのコンクールの作品を……?」
「はい」俺は頷いた。「美佐子さんが過去に創った作品の中で、最も『色が入らないこと』を恐れている作品を、もう一度作ってください。そして、陽姫が、その作品に、美佐子さんのトラウマを癒やし、可能性を開くための色を与えます」
ひなもすぐに賛同した。
「それが、お母さんが言った『二人の夢の完成』の第一歩だよ!美佐子さん、私に、陽姫に、色を塗らせて」
美佐子さんは、しばらく沈黙した後、深く息を吐いた。
「…わかったわ。あの時の作品は、もう手元にないけれど、私の記憶には、その『形』が完璧に残っている。私は、再び、形を創りましょう」
陽の最初の色彩ヒント
「じゃあ、ひな。美佐子さんが作る『形』に、どんな色を施すか。お前の『色彩感覚』で決めてくれ」俺はひなに尋ねた。
ひなは、美佐子さんの顔、そしてリビングの窓から差し込む夕焼けの光を見た。
「美佐子さんがコンクールで批判されたのは、色が形を殺したからじゃない。
美佐子さんの『形』が、光の軌跡を捉える形だったのに、色が固定されすぎていたからだよ」
ひなおは、目を輝かせながら推理を始めた。
「美佐子さんの形は、きっと、光の角度によって表情を変える、流れるような形だった。それなのに、葉月_お母さんが施した色は、きっと単一の、固定された色だったんだ。だから、『色が重い』と感じられた」
「ひなちゃんの言う通り…」美佐子さんが息を飲んだ。
「だから、私たちが使うべき色は、『固定された色』じゃない。美佐子さんのトラウマを打ち破るための色は、光そのもの。
そして、無限の可能性を示す色、覚えてる?お母さんが愛し、使い尽くした三色。」
ひなは、希望の小箱から、ほとんど芯が残っていない三色の色鉛筆を取り出した。
「オレンジ(陽姫の光)、深い青(朔の影)、そして、純粋な白(無限の可能性)。
私たちが最初に使う色は、この『白』だ。そして、その『白』に、光の角度によって『オレンジ』と『青』の反射を生み出す、特別な色を調合する。美佐子さんが創る形が、色によって殺されるのではなく、色を反射して輝き出すようにするよ!」
朔は、陽姫の才能に圧倒された。彼女は、単に色を選ぶのではない。色を「設計」している。
「分かった、陽姫。俺は美佐子さんの制作を手伝う。美佐子さんが形を創っている間、俺は、その『特別な色』を調合するための材料を、『深い青』として、全力で探してくる」
俺たちの最初の共同作業が、今、始まった。
美佐子さんの過去の傷を癒やし、陽姫の才能を証明し、そして俺たちが家族として永遠に繋がるための、最初の作品だ。
_完結
まずは-、ありがとうございました。
この作品、中途半端で終わったんだけど、続き_最初の作品作り、想像してくれると嬉しいです!!
あまり面白くなかったかもだけど、書くの、すっごく楽しかったです!!
また他のお話も見てくれるとほんと、嬉しいです!!
ありがとうございました!!
_こめめ
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