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※微センシティブあり
「っつ〜…」
多少の怪我はいつものことだけど今回は久々に割と痛々しい傷を負ってしまった。
「(これはしにがみさんに怒られるな…)」
横腹に切り傷と右腕に銃弾を受けた。
横腹は止血でどうにかなったしホントの掠り傷で。
けど腕の方は痛いなんてものじゃない。
これは当分使い物にならないやつだ。
「(最悪…)」
私の価値なんてそれしかないのに。
何もできない私なんてすぐにクロノアさんに捨てられてしまう。
役立たずの足手まとい。
そんな風に言われたらと思うとつらい。
「いた…、」
口頭での報告をしないといけないけど、それより前にしにがみさんのところに行った方が良さそうだ。
傷のせいで熱も出てきたのか鈍る頭と霞む視界の中、そう思いながらなんとか壁を伝いながら歩く。
もういっそのこと、あの時に死んでたらよかったかもしれない。
結局のところ手駒が一つ減ったところでクロノアさんにとって痛くも痒くもないだろうし。
私の方が離れられなくなって苦しくなる前に、いなくなれたらなんて。
「トラゾー?」
「っ、あ…?」
私ってこういう時どうしていつもタイミング悪いのだろう。
今一番会いたくない人に出会してしまった。
「………それ、」
「こ、これは…ッ、大丈夫です!ただの掠り傷…っ!きゃっ…!」
重たい体が浮いたかと思ったらクロノアさんに横抱きにされていた。
この際、上がった女みたいな悲鳴は置いておいて。
「ちょっ、ちょっと…私自分で歩けます…!」
「そんな顔色とフラフラした状態で歩かせられるわけないだろ。…大体、自分の大切な恋人にそっかじゃあ、とかで放置できるわけないでしょ」
すぐ近くにクロノアさんの端整で綺麗な顔がある。
それに心臓が跳ねて苦しくなる。
「今にも倒れそうな人をほっとくほど俺は非道じゃないよ。…てか、トラゾーだからこうやってんだけど意味分かってる?」
「あ、あの、…っ」
「…まぁとりあえずしにがみくんのところ行こう」
「わっ」
重たいはずなのに簡単に私を横抱きにして歩くクロノアさんに落ちないように首に片手を回してしがみつく。
「…右腕、動かないの?」
「う、動くんですけど痛くて…当分は何もできそうにないです、ごめんなさい役立たずになってしまって…」
「……しばらくどの任務にもつけないよね、じゃあ」
「はい…、いやホント、足手まといですね、私」
治ったらどこにでも、どんな任務にも出るつもりでいる。
「怪我が治ったらなんでもします…クロノアさんの為なら、なんだって」
これは本心だ。
私なんかを嘘でも選んでくれたクロノアさんの為なら。
「うーん…今は怪我を治すことに集中してほしい。…でも、そうだな…じゃあ、治る間は俺の手伝いしてくれない?右腕はどうせ固定されて動かせないだろうからトラゾーのお世話は俺がしてあげるよ」
「へっ⁈」
そんな恐れ多いこと頼めるわけがない。
そう思って断ろうとしたけどクロノアさんの笑顔に気圧される。
「?恋人なんだからいいでしょ。俺はトラゾーといれて仕事もできるし、トラゾーも俺といれて養生できるし」
耳元に顔を近付けられて囁かれた。
「それとも俺の言うこと、聞けない?」
「っん、ぁ…ッ!」
驚きと弱点である耳に息を吹き込まれて変な声が出てしまった。
「…トラゾー耳弱いんだ。へぇ、いいこと知っちゃったな」
「も、もっ…私で遊ばないでくださ…っひ、!」
こんな恋人にするようなこと。
勘違いさせないでほしいのに。
離れ難くなるから雑に扱ってほしいのに。
「遊んでるのはあながち間違いじゃないけど……俺のは可愛がりだよ。俺の可愛いトラゾーなんだから」
「ぁうッ!」
痛みの熱よりも、クロノアさんの吹き込まれる声に体が変な熱を帯びていく。
弱々しく首を振ってると、くすくすクロノアさんが笑って医務室の扉を開けた。
待ち構えていたのか何かを察したしにがみさんにお気の毒です、と苦笑いされてしまったけど。
────────────────
クロノアさんの手伝い、と言っても基本的に書類整理やそれの仕分け。
諸々の許諾の為に必要な印をついていくこと。
これに関してはクロノアさんに聞きながら、いいものと悪いものを分けていく。
「いやー1人だと大変でね」
「いつもこれだけのをしてたんですか?」
「まぁね。俺じゃないとダメなのばっかだし」
「私が見たりしてもいいんですか?」
まとめた書類をファイリングして、棚にしまっていく。
こんなのを1人でして、尚且つ自分の任務もこなして、私なんかに時間を割いてくれて。
「トラゾーはいいよ。だって、俺が一番信頼してる人だから」
「っ!」
その言葉に動揺し持ってた書類を落としそうになってバランスを崩す。
しかも運悪く手をついたのが怪我してる方で。
利き手だからだと自分の中で舌打ちして、倒れ込む衝撃に備えた。
「………え、あれ…?」
ひらひらと書類が舞う。
私の下にあったのは硬い床でも、紙類でもなく。
「トラゾー、大丈夫?」
「!!!!」
私はクロノアさんに馬乗りになるようにして倒れ込んでいた。
そんな私の頭とかを庇うようにして抱き止めてるクロノアさん。
「だ、だいじょ…ッ」
「………トラゾー」
「ゃ、…っ」
何故か離してくれず、聞いたことないような言うなれば恋人に対して囁くような甘い声で名前を呼ばれる。
「トラゾー、」
顔がまともに見れない。
やっぱり私はこの人のことが好きで、こんなことされたらもっと好きになってしまう。
困惑しながらクロノアさんを見下ろす。
この場をどうすればいいのか分からなくて、困らせてる張本人に助けを求めるように。
「……その顔は、やばいよ」
「ぇっ…?」
クロノアさんの綺麗な顔が近付いてきたかと思ったら首筋に柔らかいものが触れた。
「ッ…?」
そう思ってたら、ぴり、と小さな痛みがはしる。
「あ…ッ!」
「…今はこれで我慢するよ」
吸われた⁈と思うのも束の間。
今度は濡れた何か、…クロノアさんの舌でその吸われた場所を舐められた。
「ひぁっ」
「………」
変な声がまた出てしまって恥ずかしさに左手で口を塞いで顔を逸らした。
「……、」
そんな状態だからクロノアさんの呟いた声に気付かなくて。
「っあ、あの!重たい、ですよね!ど、退けますから…ッ!!」
慌てて馬乗りになっていた格好から床へと退ける。
「重くはないけど…むしろ、その身長でちょっと軽いんじゃない?」
「い、いやいや!私筋肉とかついてるから重たい…っ」
座り込む私のお腹にクロノアさんの大きな手が当てられる。
腹筋をなぞるように触ってくる手つきが、思っちゃダメなのにいやらしく感じて。
「まぁ…確かに鍛えてるみたいだけど、トラゾーは女の子なんだよ」
「え、ぁ、えっ⁈」
真っ赤になってる私の肩を軽く押したクロノアさんに床へと倒される。
「ほら、こんな簡単に押し倒されてる」
左手を床に縫い付けられ、囲い込まれた。
「俺、男なんだよ。トラゾー」
「ぇあッ…!」
じっと見てくる翡翠。
押さえつけられることで男女というものを意識させられる。
男として通そうとしている自分と、女としてホントは見られたいと思ってる自身。
恋人として、こんな感じに求められたいと思ってる私がいた。
「……我慢したけど、やっぱやめようかな」
「えッ?ま、待っ…クロノアさ…っ」
シャツの中に入ってきた手。
直に肌を撫でられる感覚に未だ慣れてなくて、声が上擦る。
「ん、ン…ッ!」
「トラゾー…」
もうこのまま思い出として流されてもいいのかもしれない。
一種の形見のようにして、大事に。
そう思った瞬間、この部屋の扉が開いた。
「クロノアさん!ちょっと確認したい、こ、とが…………あ」
入ってきたのはぺいんと。
その手には書類が握られている。
「お、オジャマシマシター!!」
慌てて扉を閉めようとしたぺいんとよりも早くクロノアさんが声をかけた。
「ぺいんと」
百面相をして出て行こうとするぺいんとを呼び止めたクロノアさんはすごい笑顔だった。
「あ、あのクロノアさん、本当にごめんなさい!お、俺、邪魔とかそんなつもりは…!」
「うん、分かってるよ。俺に用事あっただけだもんね?」
ぺいんとの目には私を押し倒して今まさに、というクロノアさんの図が見えてることだろう。
「…トラゾーごめん、右腕痛めてない?」
「ぜ、全然」
これはホントだ。
右腕に負担がかからないように優しく倒されたし。
「(って、優しくって…!)」
そっと抱き起こされクロノアさんにそのまま抱っこされる。
「へぁっ⁈」
そしてそのまま椅子にそっと下ろされ座らされる。
「俺、ちょっとぺいんとと外で話してくるから。いい子で待ってるんだよ」
ぐしゃぐしゃになった髪を整えられて制帽を被せられた。
「わ、っ」
「すぐ戻る」
パタンと静かに閉まったドア。
一体外でなんの話をするのか分からないけど。
「ッ、ッ…!」
顔が熱い。
心臓だって比じゃないくらい、ばくばくと早鐘を打っている。
「あん、な…」
男の人の顔したクロノアさん初めて見た。
「食べられるかと、思った…ッ」
そのまま、飲み込まれてしまいそうなくらい。
優しい翡翠が色を変えて鋭く私のことを見下ろしていた。
あんな顔をして女の人を見たりするんだ。
なんて、あの人の過去の交友関係に勝手に胸を痛める。
私と付き合う前に、そういう人がきっといたんじゃないかなと思う。
見たことはないけど。
「…まぁ、私も……、」
過去のことを思い出して口を閉ざした。
「………」
しばらくしていつも通りの笑顔をしたクロノアさんと半分灰のようになってるぺいんとが戻ってきた。
「ぁ、おかえりなさい」
「ただいま」
執務机まで戻ったクロノアさんにげっそりした顔で着いてきたぺいんとに声をかける。
「ぺいんと、えっと、大丈夫…?」
「ダイジョブ…」
いやホント何言われたんだ。
手に持っていた書類を渡し、それを確認したクロノアさんが許可印をついてまた渡し直す。
「これでいいよ。よろしくね」
「ハイ、アリガトウゴザイマシタ」
「(大丈夫か…?クロノアさんって、怒ったら怖いらしいけど…)」
私はあまり見たことがない。
任務とかで無茶した時は困った顔して私のことを叱る。
今日だってそう。
こんな怪我をしても嗜められた。
優しいというか、私のこと嘘でも大切にしてくれてるのかなと思ってしまう。
「(怒ってほしいってのはおかしいけど、変に優しくされるより本気で怒ってくれた方が…)」
怒られたいなんて被虐趣味みたいだけど。
でも、変に優しくされすぎて逆に疑心を感じてしまう。
「(これも、私が離れて行かない為の演技なんだろうな…そんな特別扱いしてほしくないのに)」
好きとか、大切にとか、そういうのじゃなくて。
ただ単純に。
ぺいんとが出て行った後もちまちまと書類を片付けていたらクロノアさんに声をかけられる。
「トラゾー」
「はい…?」
「…さっきはごめんね?」
「さっき…?……あっ、いえ…私の方こそ見苦しい顔見せちゃって」
「そんなつもりはなかったんだけど、…つい、我慢できなくて」
だろうなと思う。
私なんかとどうにかなろうなんて思う人いないだろうし。
クロノアさんのしてることは、そういうつもりのない言うなればリップサービスのようなものだ。
「(それに絆されて、騙されて…離れ難くなって縋ってるのは私だけだ)」
そもそも私を引き留めなくたって、もっと優秀な人もいるわけだし。
クロノアさんの目の前に美人で可愛くてこの人の隣に立った時にお似合いな、そんな人が現れたら、私なんか。
簡単に、、
「(自分で思って泣きそう……こんなんなら好きだなんて言わない方がよかったな、上司と部下、同じ仕事をこなす仲間としての関係のままだったら苦しくなかったのに)」
いや、でもきっと言わなかった方が苦しかったかもしれない。
私は自分が、自分の、想いに潰されるのが嫌だった。
自身の気持ちから逃げる為にクロノアさんに好きだと言った。
「あなたがそんな気にしなくても…」
手元の書類をじっと見つめた。
その左手首にはクロノアさんにもらったブレスレットが着けられている。
「けど、」
流されそうになった自分もいる。
好きな人に触れられるのってどんな感じなんだろうって。
「大丈夫です、」
ここに来る前に付き合ったというよりも兄のようで幼馴染の延長線でそういう関係になった人は1人いた。
いた国は違ったけど、クロノアさんみたいに律儀に私に会いに来てたっけか。
元気にしてるだろうか。
ここに来てからぱったりと交流も途絶えたし、お互いいちを納得の上で別れたは別れたけども。
今思えば、ちゃんと好きだったのかもしれない。
クロノアさんに似たような穏やかで優しい人で、でもちゃんと真面目で面白い。
ぺいんととは気が合うかもしれないような人だ。
「(その人と重ねてしまってるのだろうか…でも、その人とクロノアさんに対する想いはやっぱり…)」
違う。
人を好きになるってこんな感じなんだって、クロノアさんで知ったから。
「大丈夫ですよ。ハニトラとか、そういうのはしてませんでしたけど私、前いたところで付き合ってた、人いましたし…」
過去の出来事。
それに対してクロノアさんは低い声で聞き返した。
「………………は?」
空気が少し張り詰める。
疑問に思いながらも、目線で促され過去の身の上話として口を開いた。
「その、いた国は違ったんですけどね?小さい頃は国同士…まぁ、利害の一致で交流があって、今は彼がその国を仕切ってるようですし。私のいたとこはもうないですけど…兄のような幼馴染がいまして、その…延長線で」
「…………」
どんどん空気の変わるクロノアさんに内心首を傾げて、言葉を続ける。
今思えば、クロノアさんにとって嘘の恋人でも過去の人のことを教えられ、その言い訳を聞いてるようなものだったのかもしれない。
お前が誰と付き合ってようがどうでもいい、そう思ってたかもしれない。
「生憎そういうことに疎かった私にその人が色々教えてくれて」
「教える…?」
「?…その、恋人同士の触れ合い?とか、こういうことするんだよって」
座って俯く私に影がかかる。
あれ、と思って見上げると私を見下ろす無表情のクロノアさんがいた。
「…トラゾーは、そいつのこと今でも好きなの」
「好き…?…どう、でしょう…元気にしてるかなとか、幼馴染や友人としてまた会いたいなとは思ってますけど…」
会えるなら会いたい。
友人としてまた会うことができるならば。
「それにお互いちゃんと話し合って別れました。…ただ、ちゃんと好きだったんだと思います。でも…私の方が、あの人の優しさに耐えられなくなったと言いますか…決していい場所にいなかった私を救ってくれた彼に縋って依存しそうだったんです。だから自分がダメになる前に、」
最後まで嫌がられた。
それでもいい、だからずっといてほしいって言ってくれた。
けど、あの時の私は弱くて。
「10代でしたからね。心もまだ未熟で、今思えば恥ずかしい話です…」
「………それで?そいつに、身体も許したってわけ?」
「へ」
左手を取られて手首を握られる。
無表情のままだし、声も硬い。
「身体…?……ぇ、あっ…」
無知ではない。
クロノアさんの言うことがどういうことかは理解してる。
「恋人同士の触れ合い、したんだろ」
「や、その、…ッ」
確かに私は初めてじゃない。
その人に何もかもを、あの時は全てを捧げた。
「く、ろのあさん…?」
クロノアさんがなんで怒ってるのか分からない。
私とどうこうなるつもりがないなら、別に関係のないことだろうし。
仮に私を引き留める為の手段だとしても、私が処女じゃないことはどうだっていいんじゃ。
駒のひとつの私の過去のことだって、ただの情報にすらならない、どうでもいい話にしかならないのに。
「……………」
手首が軋み、僅かな痛みに眉を顰めた。
「…俺は、その人みたいに優しくないし、縋られるほどの人間じゃない」
「そんな、クロノアさんは充分優し…、」
「トラゾーは俺から逃げようとしてるでしょ」
「っ!!」
肩が大きく跳ねて咄嗟に顔を逸らしてしまった。
悟られないようにしていたのに。
それにこんな仕草。
はい、そうですと言ってるようなものだ。
「そいつのことが好きで、そいつのところに戻ろうとしてるってこと?それで、俺から逃げようって?」
「ち、違っ…逃げるだなんて、私は…!」
クロノアさんにとって、私はなんてことのない代えのきく駒。
いつでも手綱を離されて、そのままそこで待てをさせられる犬と同じだ。
私は手駒で、この人の狗でもある。
逃げることなんてできるわけないのに。
「(なんで、…どうして、離れようとしてるのを見破られて…)」
どうしてここまで詰め寄るのか分からない。
飼い主が可愛がってる犬とかに対する愛着というか、ずっと大事に持っていた物に対する執着のようなものが、まるで他の人に尻尾を振ったり他の人の手に触れられるのを嫌がってるみたいで。
「クロノアさんのほうが、私を、捨てるでしょ…?」
心の奥底に隠していた本音が口からこぼれ落ちた。
「あ?」
ハッとして、しまったと思った時には 地雷を踏み抜いて機嫌を損ねた 顔のクロノアさんが私を鋭く見下ろしていた。
「俺が、トラゾーを捨てる?」
「だって…ッ」
「………もういいよ」
手首を握っていた手の力が緩む。
この、もういいよという言葉は、私に対して失望したということなのだろうか。
クロノアさんが初めてではない、はしたないとでも思われてしまったのだろうか。
「何も分かってない、伝わってなかったトラゾーに教えてあげる」
「え」
何をと思った時には強く腕を引っ張られ執務机の上に押し倒されていた。
「ちゃんと分かってもらって、ゆっくり段階踏むつもりだったけど……俺の気持ちが伝わってないトラゾーにはきちんと理解ってもらわねぇと」
「く、クロノアさん…?」
「大丈夫だよ優しくするし。…まぁ俺が初めてじゃないのはすげぇムカつくけど、」
制服のワイシャツに手をかけられたと思ったら目の前でボタンが弾け飛んだ。
「え」
「サラシ苦しいでしょ?今、外してあげる」
背中にクロノアさんの手が回って留め具を外される。
きつく巻いていたものが緩み息が少ししやすくなった。
「ま、待って…!待ってください!」
「待たない」
「あ…!」
前側のサラシをずらされ、クロノアさんの眼前に胸を晒す。
途端に恥ずかしくなって腕で隠そうとしても、動く方の左手は机に縫い付けられている。
「ゃ…やで、すッ…見ないで…」
傷がついたようなこんな体をクロノアさんに見せたくない。
綺麗じゃない、こんな女らしくない体を。
鎖骨を撫でられて、そのまま胸の方にクロノアさんの大きな手が伸びてくる。
「や、ぁ、まっ…ひぅ…!」
「潰してると形崩れるよ。…せっかく綺麗な可愛い胸してるのに」
「そ…そん、なっ…こと、ッ、んぁッ⁈」
サラシで擦れていたことと、外気に触れたことで生理的に反応して尖ってるソコをクロノアさんは躊躇いなく口に含んだ。
「やッ、ゃ、ひぁ、っ!」
粘膜で舐め上げられ、吸われて肩が大きく跳ねる。
忘れかけていた肌の触れ合いに顔が熱くなっていった。
どうにか逃げようにも完全に押さえ込まれていて逃げられない。
「逃がさない」
「ひゃあぁっ♡⁈」
噛まれて、もう片方は指で強く弾かれた。
その腰が疼くような感覚に耐えられず、びくりと大きく下半身が跳ねる。
「……トラゾーは乳首弱いんだ。それもそいつの調教の賜物?」
「しら、…ゎかん、なぃ…っ」
あの人は確かに私の胸をよく揉んでいたけど、こんな執拗に触ることはなかった。
「ふぅん?」
曖昧な返事をされて、指先で先端を引っ掻かれる。
「っあ!ゃ、ぁッ、ん、っぅ!んン!ぁ、ん、あ!」
「じゃあココだけでたくさんイける身体に俺が作り変えてやるよ。俺以外受け入れられない身体に」
「はぁン…♡!」
「はは、えっちな声になってきたね。乳首気持ちいい?」
「ら、め…ッ!ちく、びッ、変、で、す…っ!」
「変じゃなくて気持ちいいね?」
「ゃぁんっ♡♡」
ダメだ。
これ以上流されちゃいけないのに。
このまま思い出としてと思っていた過去の自分を殴りたい。
それなのにクロノアさんに触ってもらっているってだけで身体は嬉しくて喜んでいた。
「そいつのこと全部忘れさせる。…トラゾーは俺のことだけ考えてて」
そんなのずっと、最初からそうなのに。
こんな私に執着する理由もメリットも何もないのに。
「(こんな状況なのに、嬉しいだなんて私って現金な女だな…)」
そう思いつつ泣きそうになる。
私を見下ろす冷たい翡翠を見つめ返した。
「好きだよ、トラゾー」
そう、囁かれる声は色んな意味がごちゃ混ぜになってるような、そんな響きだった。
コメント
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なんだこの駄文は… ちょっとダメや、思考散漫してるから文章にそれが表れてらぁ…
クロノアさんの独占欲、すごかったですね……。トラゾーの過去に嫉妬して、まさかああいう形で「教えてやる」ってくるとは。普段あんなに甘いのに、急に男の顔を見せるギャップにこっちまでドキドキしました。でも、クロノアさんの気持ちが伝わってないって言われたトラゾーの困惑もすごく伝わってきて……感情の行き違いが切なかったです。続きが気になります!