女子研究大学短編集

【設定】

しろせんせー×まちこりーた

1話前の番外編。

序盤と最後は時間軸が1話前と同じため7月18日。

主に2人が付き合っている頃のお話です。

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《花束の意味をもう一度。》

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ベッドに飛び込んだ瞬間、どっと疲れが襲ってきた。

重さの反動でスプリングが軋む音がする。

今日は心ばかりが追いつかない1日だったと思う。

💚｢きれー…………｣

ホーム画面のままのスマートフォンを掴んだまま、腕を伸ばす。

帰り際、思わずカメラに収めてしまったカモミールの花束。

小さく、儚く、可憐。けれども凛と輝く美しさ。

花言葉は｢逆境に耐える。｣

仲直りや謝罪の意味の意味も含まれているが1番有名な言葉はこれだ。

この花言葉に加え、イメージカラーが緑ということもあってこの花はお気に入りだった。

💚｢……んふ、｣

今日はいい日だな。

宝くじでも買ったら当たるかな。

まちりすに話せないのは悔しいけど、楽しかったな。

夜ご飯はみんなで食べて、花瓶を買って家に帰ったらすぐにカモミールを飾って、お風呂に入って、歯を磨いて。

もう寝る準備も万端。

疲れ。幸せ。目を閉じればすぐに眠りにつける気がする。

💚｢……おやすみ、｣

そう、小さく呟いて目を閉じた。

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確か彼と付き合ったのは…そう、半年ほど前のことだ。

女研というグループに誘われ、次第と以前より彼と話すことが増え、｢きっかけ｣なんてものは浮かばないがいつしか彼に惹かれていた。

告白は彼からで、勿論のごとくOKサインを出し、だからといって特別関係性が変わることも無く。

2人きりで出かけることが増え、お互いの家に頻繁にいくようになり、ちょっと緊張したりすることなんかしただけ。

別に、話し方が変わったわけでも、(元々多かったため)彼からのスキンシップが特別増えたわけでもなかった。

……あぁでも、強いて言うならば、

｢小さな発見を彼に共有したい｣

私がそんな心を持つようになっていた。

｢今日の雲がきゅうりみたいな形をしていた｣

｢友達が前髪を1ミリ切ったことに気がついた｣

｢牡蠣は生きてるうちに性別を何回か変えるらしい｣

果てしなくどうでもよくて、それなのに彼に共有したいと思ってしまうこと。

寝落ち通話、配信前、デート中。

どんな時でも私が新発見だと伝えると、彼は楽しそうに口元を綻ばして相槌を打ってくれていた。

そんな小さな幸せを彼と共有することになったきっかけはよく覚えている。

お家デート中。

眠たい目を擦りながらタイムラインをスクロールしていた時に見つけた文。

💚｢…ねー、せんせーー｣

💙｢んー？｣

少し離れたキッチンから返事が聞こえる。

コーヒー、よく飲めるなあ。

💚｢せんせー知ってる？｣

💙｢なんや｣

💚｢花束ってプロポーズとかじゃなくてさ、仲直りとか謝罪にも進められてんだって、｣

💙｢急やな｣

こちらにきたせんせーがこと、と私の分のマグカップをテーブルに置く。

ホットミルクティー。よく分かってんな。

💚｢へーってなって、｣

💚｢…せんせーにおしえたいなぁ、って、、？｣

💙｢……なんやそれ、w｣

💚｢えーいいじゃん｣

💙｢ダメとは言ってへんよ｣

💚｢嘲笑ったくせに｣

💙｢何をどうしたらそう聞こえたん｣

💙｢ただかわえーなぁ、ってなってただけやろ｣

💚｢………、、なにそれ、//｣

💙｢あれ？照れてるん？w｣

💚｢照れてねぇわ馬鹿、脳みそ洗濯してこい｣

💙｢怖ぇわ｣

照れたくせに、とせんせーが呟く。

照れ隠しだろ、察しろ早稲田。

💚｢…いやもうそれはどうでもいいから……、なんか仲直りに花束ってあげずらそー｣

💙｢？なんで、？｣

💙｢花束を悪意持って上げるやつなんかおらんやろ｣

💚｢んー、、いや、、そう言われると難しいんだけど……｣

💚｢…愛を伝えるならまだしも、喧嘩中とか気まづい時に急にあげるの……なんかな、、｣

💙｢まぁでも、花言葉が仲直りとかいう花もあるみたいやしな｣

💚｢へ、そんなんあるんだ｣

💙｢どんな花かは忘れたけどな｣

確か白……の小さいやつ……とせんせーが呟く。

白くて小さい花なんてこの世に無限とあるけれど。

💚｢…、いざ誰かと仲直りしたいって思ったらあげようと思えるのかな、｣

💙｢相手にもよるんやない？｣

💙｢それこそ、喧嘩してない時でも花を上げたいと思えるやつか、とか｣

💚｢んー、、まぁ、いつか、わかるか…｣

まぁ、喧嘩なんてしない方が1番なんだけどね、と付け足す。

大切な人と喧嘩なんてしなければ仲直りの意味を持つ花を手に取ることも、花を渡す行動に不安を募らせることもないのだろう。

💙｢…でも俺は、喧嘩した相手に花を貰ったら嬉しい…けどな｣

💚｢………えぇ、なんで、｣

💙｢やって、＿＿＿＿＿＿＿｣

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ﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯﾌﾞｰｯ…

途端に手から伝わる振動。

思わず瞼が開いた。

……あぁ、スマホ、持ったまま寝てたんだ。

ていうか、なんで、スマホ震えて

💚(…音声通話を着信中……)

せんせー

音声通話を着信中…

拒否    応答

💚｢っ、？！｣

ガバッ、と思い切り起き上がり慌てて応答ボタンを押す。

途端に聞こえてきたのは私の状態とは打って変わって落ち着いた声。

💙｢…まちこ、？｣

💚｢え、？ん、ぁ、そう、うん、え？｣

💙｢慌てんでええよ、w……ごめんな、朝早くから｣

💚｢え？いや、べ、つに……え、せんせー？｣

💙｢正真正銘俺や｣

💚｢え、あ、そう、だよね…え、どうか、した？｣

💙｢…、今度、会えへんかなぁ……って、………、また、2人で｣

💚｢……………………！｣

💙｢あれが、ただまた話せるようになっただけで、もっかい付き合おうとかそういうんやないのは分かっとる……、というか、今の俺にそんなこと言う資格はない｣

💙｢…だから、少しずつ、もっかい、少しずつでええから、もっかい、俺の事を知って欲しい｣

💙｢俺も、まちこのことももっかい初めから知るから｣

💚｢………………、｣

💙｢っ、あ、いや、やったら、大丈夫、なんやけど｣

💚｢っ嫌じゃない！ただっ、｣

💚｢…ただ、昔せんせーが言ったことようやくわかった気がするなぁ…、って……｣

💙｢む、かし…………｣

💚｢喧嘩したのに、嫌いって言ったはずなのに、…頭から離れなかった、w｣

💙｢っ……、！｣

💚｢……………うん、会お、また、2人で｣

💙｢っ…、！おうっ！！｣

どこまでも、どこまでも、考え続けてたよ。

｢やって、喧嘩してるのに花を上げようと考えて、買いに行って、選んでくれるって、ずーっと、俺の事考えてくれとるみたいやない？｣

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消えたかと思えば、急に戻ってくる、それくらいの頻度でお送りしていますが申し訳ございません。

儚い嘘も更新停止したわけではないです。

目線を合わせてに関しては停止…かも、です……(土下座

愛を伝えるだとかそれ以外にも、小さな、他者からしてみればくだらないようなことでも幸せを共有したいと思えるのがそれが例え恋人でも友達でも｢大切な人｣と言えるのではと思います。

ではまたいつか、おあいしましょー.ᐟ‪.ᐟ‪

𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮 𝐟𝐨𝐫 𝐰𝐚𝐭𝐜𝐡𝐢𝐧𝐠．