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某日•某時•某ダンジョンにて
魔物の群れが現れた!
上級魔神が1体いる。
魔神の弟子が1体いる。
パーティーはどうしますか?
▷ 戦う 話す アイテム 逃亡
魔物の先制攻撃だ!
魔神の弟子が大鎌を振り下ろす。
クリティカル・ヒット!
♂戦士 ゴリ がやられた。
上級魔神はブリザードLv8を唱えた。
凍てつく突風が、パーティー前衛を包む
3ヒット 97ダメージ
♀戦士 マチルダ は瀕死です。
♂勇者 ああああ は瀕死です。
♂僧侶 くうかい がやられた。
上級魔神は眩い光を放った。
死のオーラが全てを包む。
パーティー全体に 9999ダメージ
パーティーは全滅しました
古代の王が珍重したという、伝説の魔導器が眠るという噂のダンジョン。その地下8階に彼らは居た。
紫色のボディースーツをまとった女性型魔神と、黒衣をまとった大鎌を持つ従者。
この数カ月、数知れぬ冒険者たちが、お宝を求めてダンジョンに潜ったが、誰一人生還した者はいなかった。回収屋と呼ばれる、遺体を専門に回収する魔導師たちが危険を冒してダンジョン内から遺体を回収したが、どの遺体も損壊が激しく、教会で復活させることすら困難だった。
一度入ったら二度と出られないこのダンジョンを、冒険者たちはブラックホールと呼んで恐れ、冒険者ギルドもダンジョンのランク付けを、最上級者向けの難易度Maxと位置付けた。
「暇ですねぇ、ゼルダ様」
一切の光を受け付けぬダンジョンの第8層。異形の師弟は闇の中に身を置き、次なる獲物を待ち伏せていた。
ラウスがゼルダの後ろに回り、師匠の肩を揉んでいた。
魔術師時代の緑色のローブは捨て、体の正面に調節用のベルトが付いたゴシック調の黒シャツと、紫色のマント、黒い膝上の半ズボンと黒いブーツを今では身に付けている。
動き易いように、というゼルダのコーディネートだった。
首を左右に振ってボキボキと音を立ててゼルダが言う。
「そうさのぉ。ワシ等が大分戦果を挙げたもんだから、冒険者どもも慎重になっとるんだろう」
「どうしましょう?」
「此方から打って出る。浅い階層に狩場を移して、そこでウロチョロしている奴等を狩る。それでも獲物が居ないのなら、このダンジョンを棄てて、新しい狩場を探す」
「じゃあ、荷物をまとめて移動の準備をしますね」
「うむ」
良く働く奴だ。とゼルダは思った。物覚えも早いし、気も利く。
あの夜、自分が嫌いだと言って泣いていた少年は、見違えるほど逞しくなっていた。
この子を役立たずだと言った連中や、バカ呼ばわりしていた魔術師は、結局のところ、人に物を教えたり、他人を扱ったりすることが出来ない無能どもだったのだろう、とゼルダは思った。
基礎から魔術を教え直すついでに、白兵戦の基礎を教えてやったら、乾いた砂が水を吸い込むように覚えていき、今では魔術と武器戦闘の両方をこなす強力な魔法戦士となっていた。
ラウスは役立たずどころか、無限の可能性を秘めた金の卵だったのだ。
「準備できました、ゼルダ様」
「ようし、ボチボチいくかの」
fin