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「北山くんの話によると、総務課の佐藤さんと営業部の宮澤さんが事実無根の噂を広め尊厳を著しく毀損した。と、言っていた。それ以前にも佐藤さんは豊田さんを苛めていたという話もしていた」
総務課長が俺に確認するという形を取りながら常務と部長への報告をしている。
「そうですね、以前から佐藤さんは豊田さんにたいして行き過ぎな発言が多かったように思いますし、佐藤さんは仕事の仕方にも問題があるように思います。わたしの休憩時間まで仕事を持ち込ませようとすることは労働基準法にも抵触します、上司ではなくとも“先輩”であるということを盾にしていることもありパワーハラスメントともとれます。さらに、何人かの証言はとれていますが、豊田さん以外にも“いやがらせ”や“パワハラ”を訴えている社員がいることもたしかで、働きやすい職場という概念から離れてしまってます。」
「大島くんの言うとおりです。佐藤さんに問題があることはわかってましたが、イジメをうけているであろう社員に聞いても報復を恐れて何も言わなくなるので問題提議することが出来ずにいました。今回のことも、問題を先送りにしてきたわたしに責任があります」
俺の指摘に対して課長は観念するように淡々と話す。
総務部長はじっと話を聞いた後「人事課長とも相談の上、早急に対応します」と話した。
大きな組織の中の小さな歯車であるが、錆びた一つを修理することによってスムーズに動き出すことがある。
今回の件がこの会社全体にある澱を少しでも流して行けばいいと思ったし、ず雪がこれ以上嫌な思いをしないで済むことがなによりも良かった。
「部長、悪いがこの後は大島くんと二人で話がしたい」
常務がそう言うと「わかりました」と言って、部長と課長の二人はミーティングルームから出ていいた。