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「ごめん、2年なってからまともに話したことないのに、いきなり」
「ううん、大丈夫」
放課後、知り合いの4組の男子に呼び出された。
「今すぐに付き合うのは無理だってわかってる。だから、良かったら友達からっていうか」
「上岡のことは友達だと思ってたよ、クラス離れたせいで滅多に話さなくなったけど」
上岡とは1年のとき同じクラスで、前後の席になったことがきっかけで仲良くなった。2年になりクラスが離れてからは本当にたまにLINEでやりとりするくらいだった。
「今はただ前と同じように仲良くしてくれたら嬉しい、いつか幡中が考えてくれるの待っとくから」
「うん、わかった」
「、、ありがとう。ごめん、今日相原は?」
「玲花は今日部活だから大丈夫」
上原はそっか、と小さく頷きながら言った。
「じゃあ俺職員室行かないとだめだから」
「絶対職員室が先だと思うんだけど」
「まあまあ、悪い話で呼ばれたわけじゃないから大丈夫、なはず」
上岡はリュックを背負ってじゃあなと私に手を振った。
帰ろうとかばんを持って顔を上げると、すぐ近くの美術室のドアから人が出てきた。
「どうも」
宇治だ。何かたくさん物を持っている。
「美術部?」
「うん、だいぶ過疎ってるけど」
ちらっと美術部を覗くと誰も人はおらず、ドアのすぐ側に綺麗な絵が描かれたキャンバスが置いてあった。
「中入ってもいい?」
「いいけど、散らかってるよ」
中に入るとたくさんの作品があった。どれも綺麗で、どれから見ればいいかわからなかった。
「これ、宇治が描いたやつ?」
ひとつだけスタンドに乗せられたキャンバスがあった。
「うん、さっき完成したやつ」
草原の中に日傘をさした女の子が立っている絵だった。
「綺麗」
「そんなだよ、あんまり時間かけてないし」
宇治はキャンバスを端に移動させた。
「部員居ないの?」
「2年生にもう1人と1年生に3人いるけど、全員兼部だからほとんど来ない」
「じゃあ、宇治が部長?」
「一応ね」
こんなに広い教室があるのにもったいない。
「誰も来なくてもやるんだ」
「部活ってよりかは、暇なときに絵描きに来るところだけど」
宇治は黒板の前の椅子に座って、黒板の端に絵を描き出した。