【syp視点】
ダンダンダン
壁を叩く音は鳴り止まない。
「くっそ…ッ」
どれくらい叩き続けたのだろう。
壁には亀裂が入るどころか、凹んだり、傷ついたりすることは ない。
ci「ショッピッ!諦めんな!!」ダンダンダン
壁の向こうからは少し曇った声と壁を叩く音がが聞こえる。
「分かっとるッ…!!」ダンダンダン
叩き続けていると拳がだんだんと痛んできた。
壁越しのチーノの手からは少し血が垂れているのが見える。
俺らの顔は必死で、今にも泣き叫びたい気持ちでいっぱいになる。
_すぐそこにいるのに
_今度こそ触れられる気がするのに
そして…
_タイムリミットが近づいているのに。
…ワイはこの夢の中に来たとき、砂嵐の中からたったひとつだけ、違う単語を聞き出した。
『ええか、ショッピくん。
タイムリミットは1時間や。
その間にチーノくんを必ず連れ戻してね。』
ペ神さんからの言葉だった。
俺が寝ている間に、なにか薬を飲ませたのか分からんが、
とにかく、ペ神さんがワイをチーノのもとに届けてくれた。
タイムリミットまであと10分。
ワイは、皆のためにもチーノのためにも、必ず連れ戻さなければいけないんや。
…ポタポタ
「ッ…、???」
その時、水が滴る音が聞こえたと思い、湧き出ているところを辿ってみる。
するとそれは、目に行き着いた。涙のようだ。
だが、それは、ワイのものでもチーノのものでもなく、
ここまで導いてくれた橙色の鳥、そして紫色の猫のものであった。
ぽろり、ぽろりと何度も何度も大粒の水滴が落ちる。
次第にそれは地面に浸透し、壁の内側から分解するようにして小さな穴を空けてみせた。
ci「ショッピ…ッ!!」
チーノの曇っていた声もだんだんと透明感のあるいつもの声に変わっていった。
小さな穴は次第に大きな穴に変わっていき、人が通れるほどの大きさになった。
syp「チーノッ!!こっち来ぃッ!!」
ci「おうッ!」
【ci視点】
俺は穴をくぐり抜け、ショッピに抱きつく。
やっともう一度会えたんだ、触れるんだ。
幸福感に満たされる。
syp「チーノ!今すぐこっちに戻れッ」
戻れ、その言葉で俺の背筋にはゾワッと悪寒がする。
比べられる恐怖、投げつけられる言葉のナイフの数々
もうあんな思いはしたくない。
そんな思いから俺は
ci「いやッ、俺はここに居る!」
そう言ってショッピを突き放す。
すると彼は予想していなかった、と言うように焦った表情を見せる。
syp「え、あ、ッ、へッ?なんでやッ!!」
ci「俺はッ…!
俺は、ショッピを信用しても、皆を信用してるわけじゃないねんッ!!!」
syp「ッ……」
【syp視点】
まずいまずいまずい
タイムリミットまであと5分を切った。
チーノを連れ戻そうと声をかけたら、断られてしまった。
それ程までにチーノの負った傷は深かったんだと感じる。
その時、左右からコツコツと複数人の足音が聞こえてきた。
ci「…なんやッ!!」
よく目を凝らす。
…右側の暗い方からは我々だメンバー。
…左側の明るい方からも我々だメンバーが見える。
syp「はッ…どういう事や!?」
ci「分から、ん…
ヒュッ!??ケホッゴホッ!!、…ヒュッ!ケホッ」
syp「チーノッ!!大丈夫や、落ち着けッッ!!」
ci「フーッ…ケホッフーッ」
過呼吸を起こした。皆をチーノに近づけるのは良策とは思えない。
syp「ちょ、あんま近づかんといてくださいッ!!一体、誰なんすかッッ!!?」
俺は叫ぶ。
すると
ut??「誰って…酷いなぁ
お前らの軍団長の鬱だよ。」
ut「違うッ!そいつは本物じゃない!
本物はこっちやッッ!!!」
kn??「うるさいなぁ。本物も何も、そっちが偽物でしょ?」
kn「違うッ!お前らが偽もんやッッ!!」
gr??「うるせぇよ。お前ら。早くチーノをこっちに連れてこい。」
gr「お前らには渡さないんだゾ。チーノは我々だに欠かせない、一人の人間や。」
右、左、右、左…
次々と聞こえる会話に目が回る。
チーノはワイの横でブルブルと震えている。
ci「ショッピ…。俺、どぅ、したらぁ…ッ」ポロポロ
『なんや。そんなことで泣くなや。お前なら分かるだろ?本物が。』
そう言おうとした瞬間。
ズキッ
激しい頭痛に襲われ、ワイはその場に倒れ込む。
syp「ハッハッ…ゔッ、はァ゙…ッ」ズキズキ
ci「ショッピッ?!だめッ…タヒんじゃぁ嫌ッ…!!」
きっと時間切れなのだろう。
本能で分かる。ここで目を瞑ったら、元の世界に戻ってしまうと。
だからせめて、俺の思いを伝える。
syp「チーノッ…、よく聞け!
お、前が思…ッている以上に、ッみんな…はお前を必要、としてぃる。
どっちにつ…いて行けッ、ばええか分かッ…るやろ?ッッ…
俺はッ…
俺は、お前がどっちを選んでも、ッ後悔せんよ。
ッお前の思うようにしろ。
な?」ニコ
そうして俺は目を瞑った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目が覚めるとそこは医務室だった。
嗅ぎなれた薬の匂いが鼻をくすぐる。
横を見るとまだ起きないチーノが寝ているベットに、我々だメンバー全員が突っ伏すようにして寝ている。
きっと彼らも連れ戻しに向かってくれていたのだ。
「さて、あとはチーノがどっちを選ぶかやな…」
横を向くとチーノやみんなの頬には一筋の涙が光っていた。
【ci視点】
syp「な?」ニコ
そう言い終わればショッピは宙へ消えていった。
ci「分かるやろって…俺、なにが正解かわかんらんよッ…」グスッ
_皆を信じてええの?
_また自分が苦しくなったらどうするん?
いろんな思考が掛け巡る。
その間も皆は俺に声をかける。
sho??「チーノぉ。こっち来いよ。」
sho「チーノッ!あっちはダメや!こっち来いッ!」
zm??「また食害してあげるからよぉ、こっちだ、こっち」
zm「チーノッ、ホンマにすまんかった…また、俺と一緒にうまい飯食ってくれん?」
tn??「こっちにおいでー楽しいよ、あっちはまた地獄みたいな生活が始まるよー」
tn「地獄はそっちや、チーノ?こっちおいで。辛くなったら話聞くで。」
rbr??「お前、そろそろ決めろよ。早くこっちに来るって言えよッ!!」
rbr「俺ら、お前が必要や。早よ決めろ、とは言わん。」
em??「いや、今です。今言いなさい。どちらに行くのか。勿論こっちですよね。 」
em「チーノくん、囚われちゃあかんよ。考えて、考えるんやで。」
こんなとき、ショッピだったらどうするかな…。
側にいてくれたらなんて言うんかな…。
『お前の思うようにしろ。』
ci「ッッ…!!
俺は… 」
分岐
≫1ルート 『後悔と期待』
≫2ルート 『第二の俺』
お久しぶりです。
なんか短編予定だったのに、めっちゃ長編になっててびっくり。
てか、冬休みですね。 皆さんは予定ありますか?
私はスキーに行きます。
いいですよね、ウィンタースポーツ。
まぁ、逆にスキー以外の予定なんて部活と塾ぐらいしかないですが😭
それでは、次回も早めの投稿頑張ります。
コメント
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ぢいいいの゛おおおおおおおお... え、まっ...両方のみんなって神じゃね????ウオオオオオオオオオオオオオオオオ...!!!!!!! 正直いってどっちも見たいけどもくは新人組大好きやから戻ってきて欲しい...ッまたリアルのsypと絡んで欲しいぃぃぃぃッッッッ((