ウィーンという機械音と共にモニター室に入る。
「お呼びですか?絵心さん」
そういうと、カップ麺を啜る音と共に椅子が回る
「どうだ。」
「何人かいましたよ。」
「そうか。なら、お前はそいつらを重点的にサポートしろ。」
塩分濃度の高いラーメンの汁を啜り飲む絵心さんはそう言った。
「……食生活見直した方がいいですよ。」
思わず口にしてしまう。
「見直した結果これだ。」
見直した結果が3食カップ麺はおかしいです。絵心さん。
って、言ってもこの人の場合無駄か…
「とりあえず、分かりました。できる限りの事はやってみます。」
そう言って、俺はモニター室を後にした。
「この世で一番魅力的なものは…下剋上だ。」
お前が切り拓いたその道…忘れるな。潔世一
***
「はよ…ざいますヘブッ!」
強烈な顔面アタック…誰だよ。
「あ、ごめ」
なんだ。プリンセスか。
「お嬢様ちょっと…いや、大分痛いです。」
「ごめんごめん。早いな。まだ今日の試合まで早いだろ。」
「いや…そうだけど、一応コーチだし…」
「……ふ〜ん?」
意味ありげな相槌を打ってきた千切に多少の違和感を覚える
「なんだよ…」
「いーや?あの逃げてばっかだった潔がこうやって俺らの元に戻ってきて考え深いと言うか…なぁ?」
「は…?なんか千切お前キモイぞ…」
「は?お父さん目線だろ。」
「は?俺の方が年上なんですけど。」
「ふざけんなよ!8ヶ月しかかわんねぇだろ!」
「は?デケェだろ!8ヶ月は!」
「あの…」
「一ノ瀬くん?」
どうやら言い合いしてるうちに、時間になっていたらしく、グラウンドでは大勢が俺たちを囲んで呆然と立ち尽くしていた。
「あぁ、ごめん…じゃあ、君たちは、チームを組んできたと思うから、ホイッスルが鳴ったら試合を始めてくれ。千切…」
「あぁ。ルールは通常と変わらない。俺たちはそこでお前達の評価をする。
そこで、自分の有用性を俺たちに見せつけろ。
あぁ、それと、お前らは俺らのブルーロック見て育ったらしいから知ってるかもだけど全チーム総当たり戦でやるが、2回負けたチームは得点王1人を残して後全員脱落するから。覚悟しろよ。
敵はいつも向こう側にいるとは限らねぇ。背中を預けられるのは自分自身だけだ。
……その言葉を胸に刻め。」
ホイッスルがなると当時に、未来のストライカー達の雄叫びが上がる。
それを横目で見ながら俺たち2人は
「トラップ雑だな。アイツ…」「ポジショニング微妙だな」
と次々と口にして一人一人の名簿の横にバツを打っていく。
ーーーーーーー桜庭界星1pointーーーーーーー
シュートが決まった。チームYの桜庭界星。
東京都出身 強豪成城高校2年サッカー部所属の彼は、チームの中でのエースでありカリスマ。その圧倒的存在感に押しつぶされない者などそうそういない。
「…予想通りだな。」
「…あぁ。彼は今回で、注目を浴びている選手の1人だ。成長すれば化け物になるのは間違いない。」
「行こう。千切…俺たちの役割はここまでだ。あとは絵心さんが……」
そう、話を切り出した瞬間、俺は一瞬自分の目を疑った。
クロスバーにボールが当たった。
だけど、疑ったのはそこじゃ無い…その前だ。
「アイツ…もしかして…!」
俺は思わず、手に持っていたバインダーを地面に落とし、
悔しそうな顔をする一ノ瀬を見ながら、そう溢す
「くそッ!ちょっと遅いな…」
……いや、違いない。
一ノ瀬はパスのこぼれ球に反応してーー
誰よりも早く反応していた。
シュート体勢でもなく、ファールギリギリでもない。
ただ、誰よりも早くそこに行くべきだと反応していた。
予測…?勘?いや、そんな生ぬるい者じゃない。
アイツは見ていた。いや、見えていた。
0.2秒先の世界を
そう口にした瞬間、あの頃の潔世一が帰ってきたと、周りは確信した。
To be continued
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