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あの濃厚なキスの後、結局シャワーを浴びる時間はなく、2人は簡単に歯磨きをして髪を整えるだけで済ませた。

それでも、若井の頬は少し赤く、元貴も自分の唇がまだ火照っているのを自覚していた。





「……とりあえず、食器洗っとくわ。」


「ん。」


「出る時間まで30分もないからな。」





水を張ったシンクに、使った皿を沈める。

洗剤を垂らし、泡立てたスポンジでベーコンの脂を拭い取る。

カチャカチャという陶器の音と水の音だけが響くキッチン。

けれど、背中に若井の視線をひしひしと感じていた。





「……なに見てんだよ。」





振り返らずに言うと、若井は低い声で返した。





「……さっきのキスから、ずっと我慢してるんだけど。」





元貴は手を止めた。





(やっぱり、こいつ……。)




「……だめだろ。」





冷静を装って言った。





「時間ない。今日はスタジオもあるし。」


「分かってるけど。」


「分かってるならやめろ。」


「無理。」





次の瞬間、背中に若井の胸がぴったりと押し付けられた。

両腕が脇から伸びて、元貴の腰を抱き締める。

泡だらけのスポンジを持った手が水に沈み、ゆっくりと温度を失うのと対照的に、身体は急速に熱を持った。





「滉斗……!」


「……なぁ、もうさ、待てない。」


「……っ……だから、やめろって……」


「声、震えてる。」


「……ちが……」





若井の手が、元貴のズボンのウエストに潜り込む。

冷たい指先が下腹に触れた瞬間、呼吸が止まった。

そのまま下着の中に手を滑らせる。





「……んっ……」


「もう硬くなってんじゃん。」


「……やめろ……っ、滉斗、ほんとに、時間……ない……」


「そんなこと言って、準備できてんのはどっちだよ。」





手のひらが熱を帯びた中心を包み込む。

親指が先端を優しく擦ると、濡れた音が水音に混じった。

元貴はシンクの縁に手をついて、身体を支えた。





「……っ、ちょ、ちょっと……あっ……!」


「元貴。」


「……ん、なに……」


「気持ちいい?」


「……っ……く、そ……」





ズボンと下着を半分ずり下げられる。

冷たい空気が肌を刺し、次いで熱い吐息が腰のあたりに触れた。





「やだ、……滉斗、待っ……」


「待たない。」





そのまま若井がしゃがみ込み、シンク台を背に、元貴の股下へ。

視線が合った。

若井の目は真っ直ぐで、獲物を捉えた捕食者みたいに濁りがなかった。

その目が、さらに元貴を熱くさせた。





「……滉斗……やだ……っ」


「可愛い声、もっと聞かせろよ。」





そして、若井の口が触れた。

唇が、舌が、敏感な先端を包む。

じゅる、といやらしい音が、シンクに響く水音に勝った。

思わず背筋が跳ねた。





「……あっ……、だ、め……っ……!」


「ん……。」


「っ……や、やめろ、時間……ないって……」


「すぐイけるだろ。」





言葉の合間にも若井は舌を這わせ、先端を甘噛みし、裏筋を舌で押す。

喉の奥に含み込んで、吸う。

濡れた手が、シンクの中で泡を弾き飛ばすように握り締められた。





「……んっ……、あっ……滉斗……っ!!」


「もっと声出せ。」


「……く、そ……お前……っ」





身体がどうしようもなく反応した。

若井の髪を、泡のついた手でぐしゃぐしゃに掴む。

水滴がポタポタと床に落ちた。

唇を噛み、声を殺そうとしても無理だった。





「……あ……っ、イキそ……!!」





声が掠れた。

腰が勝手に前に突き出された。

若井がそれを察して、最後に深く咥え込んだ。


けれど――


その瞬間、若井が唇を離した。





「……っ……は、あ……っ……」





何も触れられない先端が熱を持って脈打ち、呼吸だけが荒く続く。

絶頂寸前で止められた快感が、痺れるように身体中を走る。





「……滉斗……っ、ふざけんな……」


「だめだろ、まだ。」


「……っ……くそ……」


「キッチン台、空けろ。」


「は?」


「そこに座れ。」





若井は無理やりシンク横の調理台に手を伸ばし、置かれていた皿を乱雑にどけた。

カチャカチャと陶器がぶつかる音が妙に生々しかった。

元貴の腕を引き、無理やり座らせる。

腰を固定するように抱え込む。


目の前の若井の目が、欲望に濡れていた。





「……お前、もう限界だろ。」


「……っ、だまれ……」


「俺もだ。」


「……あ……」





若井の腰が、押し付けられた。

互いに硬くなった中心が、布越しに触れ合い、擦れる。

その摩擦だけで、今にも果てそうな熱が走った。





「……滉斗……っ」


「中、欲しいんだろ。」


「……や、だ……」


「敬語で言え。」


「……っ……」


「俺に、くださいって言え。」


「……くだ、さい……滉斗の、っ……全部ください……」





若井はそれを聞いて、にやりと笑った。





「いい子だな。」





そして自分のズボンを脱ぎ下ろした。

元貴の脚を開かせ、その間に身を滑り込ませた。

躊躇せず、若井は元貴の奥へと貫く準備をした。






🍏mga🍏短編集🍏#1

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