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約23年前の秋。それが守達の両親_神示凪、桃樫波の出会いだった。
それぞれ偵察部隊隊長、桃太郎機関隊長だった二人が出会った場所は戦場。
側頭部と横腹を負傷し、瓦礫で作られた物陰で隠れるように座り込んだ凪へ手を差し伸べたのは仲間ではなく敵である筈の波だった。
『_お前は桃だろう。何故私を…鬼を助けようとする 』
長く艶のある黒髪を揺らし、紅い瞳を細めて怪訝そうに言う凪に波は隣にしゃがんで笑って返した。
『一目惚れ!』
凪曰く、この時の波の焦げ茶の髪の隙間から覗く優しげな漆黒の瞳に目を奪われ、きっかけとなったそう。
この時から二人の関係は始まり、段々と凪は波に絆され、惚れていった。
いつしか凪は鬼であることを周りに隠して表面は『普通』の人間として波と生活し始めた。
桃の情報を鬼機関へ送りながら『人』として生活する日々。
その中で20年前、凪が身籠った事が判明した。
『凪、俺…お父さんになるの?』
『あぁ、これからもよろしく。波』
波は嬉しさのあまり何もかも疎かになって足の小指をぶつけて悶絶していたことが何度もあったそう。
守が生まれた後も度々はしゃいでは痛い目にあっていたと言う。
『守、お父さんだよ~!』
波と守は顔だちがとても似ていたらしく、近所でも『似ているね』と噂になっていた。
その後、守はすくすくと育ち、守が5歳の時に海が誕生。
『まも、の…いもうと?』
『そう。守の妹。守はお姉ちゃんになったんだよ 』
『まも、おねえちゃん!』
『守っていこうな!お姉ちゃん!』
『うん!』
桃太郎との交流もあったが、守の印象に残っているのは数人のみだった。
赤子の時に海も遊んでもらっていたらしいが、海はよく覚えてはいない。
そして、守が10歳、海が5歳の時。
守の鬼の力が覚醒した。
桃太郎は鬼を殺す存在。 守は死を覚悟していた。
だが、桃である波から出た言葉は違った。
『逃げよう』
すぐに荷物をまとめ、家から出た。
その後は他の鬼と同様桃から逃げる日々。
波は桃との実践訓練要員として働くことになり、数々の隊員を鍛えた。
その5年後、桃華が誕生。
その時には守はただの中学生として力を隠して学校に通い、親友と呼べる友達も出来ていた。
『桃華、かわいいね。お姉ちゃん』
『本当にな』
年の離れた妹を可愛がり、世話を焼くまだあどけない海の姿は今でも思い出として守の脳裏に浮かぶ。
勿論それに微笑む父と母の姿も。
『母さん、親父、いつもありがと!』
母の日や父の日、誕生日などにに何を贈ったか、今でも鮮明に思い出せる。
それに両親がどのような言葉をかけてくれたかという事も。
だが、幸せというものは簡単に崩れてしまう砂の城の様な儚く、脆く、不確かなもので。
『おや、じ』
ある日、守が家に帰ると玄関に血に染まった父親の姿があった。
『うそ』
こんにちは。作者です。やっと守達の過去が書けた!と歓喜しております。
あとがきとの温度差が酷すぎてグッピーどころか人住めなさそうですが大丈夫ですよね!
そういえば、現実も結構温度差がありすぎて風邪引いてるんですけど、読者様方はいかがでしょうか?
次も読んでくださると幸いです!