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君の心

11 - 僕の1歩

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2025年03月24日

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僕は今、部屋の片付けをしている。もう時刻は0時を回っているけれど、1度片付けを始めてしまうとついつい熱中してしまう。本当だったら今元貴と一緒に新作のゲームをしていたはずなんだけど、忙しいからって泊まりを断られてしまった。無理強いをする訳にも行かないし大人しく引き下がったが、やはり寂しいものは寂しい。だから気を紛らわすために片付けに勤しんでいる。

あらかた埃などを取り終わったところでふと周りを見渡してみる。棚に付いていた埃やテレビの後ろは綺麗になったけれど、代わりに物が散らかってしまった。足場の踏み場が限定されている空間にどうするべきかと頭を悩ませる。

「ん〜…もう眠いし明日でいいかなぁ…。」

きっとここに若井や元貴が居たら怒るだろう。でも今は完全にフリーだ。この惨状を放置して寝ても誰にも文句は言われない。


寝る前に若井達にLINEをしようとスマホを取り出して立ち上がった時、玄関の方から物音がした。気の所為かと思い、トーク画面を開いて文字を打ち込む。間違えて打ってしまった文字を訂正しようと画面をタップした瞬間、頭に走る鈍い衝撃と共に視界が暗転した。


やけにふかふかとした感触に、百合のいい香りがする。ズキズキと痛みを訴える頭を抑えながら目を開けば、豪華な照明が飾られた天井が目に入った。理解のできない状況に何度か瞬きを繰り返していると、隣から見知らぬ女の人の声がした。

「お目覚めになりましたか。」

ビックリして飛び起きれば、メイド服を来た女性が居た。まるで御伽噺のような姿に夢かと思い頬をつねる。そうすると慌てて止められてしまった。

「綺麗なお顔に傷が付きますよ。」

「だ、誰ですか…。」

緊張していて少し声が上擦ってしまった。そんな僕の様子に笑いが零される。

「西山様に仕えさせて頂いている氷室(ひむろ)と申します。藤澤様のお名前は伺っております。」

「あ…ぇ…よろしくお願いします、?」

あまりにかしこまった様子に自分の言葉遣いが分からなくなる。名前を知れたのはいいが、肝心の状況が分からない。部屋の内装も豪華で、広さがある。人体実験でもされてしまうのだろうか。

「分からない、と言った顔をしていますね。」

心を見透かされたようで、驚いた顔を向ければ更に笑われてしまう。

「色々お教えしたいんですが…。 」

バツの悪そうな表情を浮かべる姿に首を傾げる。向けられた瞳が切なく細められたのが更に疑問を加速させた。

「ただ、無事をお祈りします。」

そう言い残して部屋を出ていく背中を唖然と見つめる。閉じられた扉に駆け寄り、ドアノブを回してみるが、ガチャガチャと音を立てるだけで回ってはくれない。そこで初めて気が付いた。誘拐されている、と。

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