テラーノベル
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深夜の静けさに、ボイルされたような白熱灯の光がデスクの上をぼんやりと照らしている。ヘッドホンの向こう側で、いつもの賑やかな声が響いていたはずの空間が、ふとマイクのミュートとともに奇妙な静寂に包まれた。
彼はモニターの端に映る自身の無言の顔を、どこか冷めたような、それでいて少しだけ哀しげな眼差しで見つめていた。画面のチャット欄には、夜更かしのリスナーたちが流す無数のスタンプや、いつもの軽口が絶え間なく流れていく。その鮮やかな色彩の濁流の中にいながら、なぜか彼の足元だけは、底の見えない冷たい水に浸かっているような隔絶感があった。
「……おつかれ」
誰に宛てるでもなく呟いたその声は、ヘッドホンの吸音材にすっと吸い込まれて消えていく。画面の向こうの仲間たちと笑い合い、茶化し合い、最強の瞬間を何度も共有してきた。その熱狂の渦がどれほど心地よくて、どれほど救いだったか。だからこそ、このゲームが終わったあとに訪れる静けさは、残酷なほどに輪郭がくっきりしていた。
いつかはこの画面の明かりが消え、それぞれの道へと歩き出す日が来る。そんな当たり前の事実が、夏の終わりの夕立のように胸の奥を濡らしていく。
彼はかすかに苦笑すると、無造作にマウスを動かし、配信の終了ボタンに手を伸ばした。
「じゃあ、またな」
と言い残して世界を閉ざせば、部屋に残るのはただの暗闇と、自分の静かな呼吸音だけ。それでも、モニターの黒い画面にうっすらと反射した彼の横顔は、わずかに優しく、どこまでも儚い夜の形をしていた。
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まろい
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コメント
1件
まろいさん、2話読みました…🤍🥀 配信の熱が冷めたあとのあの静けさ、すごく胸にくる描写でした。画面越しの賑わいと、自分の足元だけ冷たい水に浸かってるみたいな感覚、すごくわかる気がする。最後の「またな」で終わる夜が儚くて切なくて、でも優しくて…。 この空気感、すごく好みです。続き、静かに読みにきますね🌙