テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
目を開けるとそこには何も変哲のないルシーカがいた。
「ほう..マリポの継承者か。」
「….誰だ。」
俺はそいつがルシーカでは無いと悟った。
「そう驚くではない。余は此奴に力を与えた【大蛇】じゃ。」
冗談の様に思えたが、大蛇は嘘を吐いている様には見えなかった。
「余は此奴を呪ってなどいない。余は“罪人”として記されているのであろう?」
俺はいつかルシーカに話して貰った大蛇が出てくる物語を思い出した。
「余はその様な事をしておらぬ。男に余の“金”をやった。じゃが男は余から半分の力を奪った。」
信じがたい事実を話され、少しの間固まっていた。
「余はそれを見ていた他の若者に『男を襲っている』と言われ処された。余は死ぬ間際、もう半分の力を空へ飛ばした。その力は時を超え、未来に来た。力はルシーカという輩に入って行ってな…その目印として頬にアザを付けたんじゃ。余に思えばアザなんぞ“大したことなどない”と思っていたが、皆はアザを不気味に思った。余のせいで此奴には迷惑をかけてしまった…」
その様な経路があったなんて驚いた。
「どうして今更ここに?」
暫くの沈黙が続いたが大蛇は口を開いた。
「力が足りなくてな…母に打たれる此奴を守ってやりたかったが出てこれなかったんじゃ…..」
「では何故今は出れたんだ?」
俺は問うた。
「此奴は余の力を使った。じゃからその力から流れ出たんじゃ。此奴には迷惑をかけた。贖罪になってしまうが….余はアビスの力を肩代わりし、ここで死ぬ。」
ずっと裏からルシーカを支えていたのだと思うと胸が苦しくなってくる。何も言えないでいると大蛇の体が光始めた。
「時間だ….マリポの継承者よ、此奴を頼んだぞ…..」
大蛇は俺の手を取り、静かに瞼を落とした。