テラーノベル
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「目黒蓮さん、私のお腹にはあなたの赤ちゃんがいます」
ワイドショーで流れた。
顔は分からないよう加工してあったが、肉声でハッキリそう言った。
事務所の電話は鳴りっぱなし。
撮影現場には雑誌記者が押し寄せて来る。
渡辺は家で1人でそれを見ていた。
どこか遠くで電話が鳴っている。
ノロノロと電話を探す。
バッグの中の電話に出る。
渡辺ーはい。
目黒ー翔太くん!嘘だから!信じないで。テレビに出てた人、知らないし、そんな関係・・プツ。
渡辺は電話を無理やり切った。
今は目黒の声を聞いていたくない。
信じたいけど、今は無理。
家にいたら、目黒がやって来る。
家の鍵だけ持って外に出た。
携帯は、テーブルの上に置いてき
た。
目黒が、渡辺の家に入ると、テーブルに携帯が置いてあった。
その横に、指輪とチェーンがあった。
目黒ー翔太くん・・。
どこを探せばいいか分からない。
でも、1人で泣いてる気がする。
目黒は、この後、弁護士と一緒に会見を開く。
事実無根であること。
女性の目的があるとして、それは何か聞くためである。
目黒は岩本に連絡した。
渡辺が消えた、携帯と指輪を置いて。もし、午後の練習に来たら、引き止めていてほしい。
岩本は分かったと言う。
だが、渡辺は練習に来なかった。
撮影現場には、体調不良で休みをもらっていた。
完全に消えてしまった。
目黒は家で、渡辺の携帯と指輪を眺め、渡辺を思う。
この間の素直で可愛い渡辺は、どこで泣いているだろう。
辛かったら言うと約束したのに、また1人で目黒の話を聞かず、どこかへ行ってしまった。
ザ・リッツ・カールトン東京にいる。食事もせずソファで丸くなっている。
女性の手が優しく渡辺の頭を撫でる。泣きながら頭を振る。
女性は、渡辺のそばに座り、身体を寄せ、涙を拭う。
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