TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

胸糞、汚い

一覧ページ

「胸糞、汚い」のメインビジュアル

胸糞、汚い

8 - 兄弟パロ

♥

1,726

2025年05月07日

シェアするシェアする
報告する

幸せになれずにモヤモヤします

6人兄弟 設定 ・ 紫さん会社住み ・ 橙黄連れ子

赤さん嫌われ要素有 (初書き大目に見てね)

赤紫要素強め。 黄赤好きな方注意



14の時、母さんが再婚した。

俺は中3でその下のさとみところんはまだ13歳。兄ちゃんは高校生で寮暮らし。

男とばっか遊んで家に帰ってきてすらいなかった母親に急に


「再婚したの。新しいお父さんと弟よ、仲良くね」


なんて言われて「誰が仲良くするか」なんて思ったりもした。さとみところんより一回りも小さい、橙色と黄色の髪をした双子。歳は多分9さいだったかな?名前は覚えてない…、ろくに挨拶もしなかったし


さとみところんは仲良くなってた。簡単に絆されてて俺は裏切られた気分だったんだ。だって急に来た奴に「家族」なんて思えるはずがないのに

俺はあの日から家族に馴染めなくなった

それも全部あいつらのせいだ。






16歳。俺はもうあの家に帰ってない。

友達の家やら女の子の家を転々としてる。自分の顔がいい自覚はあったから道行く女の人に「お姉さん」なんて声掛けまくった

簡単に乗ってくる人が多くて母さんみたいでなんだかちょっとだけ吐き気がした。でも母さんとは違って働いてたし、俺のこと好きって言って養ってくれた

すっかり家族のことなんて忘れかけてた頃、兄ちゃんから連絡が来た。


「莉犬くん、今どこにいるの?」


寮生だった兄ちゃんは高校を卒業して、住み込みで会社で働いてた。だからバレるなんて思ってなかったし、連絡が来るなんて考えてもみなかった


「なに、家族からなんかきた?」

「え、ぁー、まぁ、?笑」

「無視すればいいのに」

「兄ちゃんからだし」


兄ちゃんは唯一まとも、な気がしてる。あの2人とも大して関わってなかったし、俺に対しても優しかった記憶がある


「家、帰りなよ」

「えー、俺の家ここだよ?w」

「嘘つけ、w」


今泊めてくれる女の子は優しいし、こうやって軽口も言えるくらいに仲良いから正直居心地が良くて帰りたくない。2年くらいの仲になるし


「家ー、がここなら実家?に帰りなよ~」

「実家、 笑」

「私が嫁取りの挨拶しようか?」

「やめてw」


実家ってw まぁ、間違えではないのかな。行かなかったら怒られるかな。兄ちゃんのために帰るならまだいいかも。


「ん、てか俺が嫁側なのかよ」

「ドレス姿が見たい」

「きもーいw」


迷惑かける訳にも行かないし、ちゃんと帰ろ

帰って何かあっても逃げればいいし、いざとなればどっか遠くに行けばいっか




どうしよ。久々すぎる

鍵、はあるけどなんか使うの躊躇うし


「ふぅー、よし。いくかっ」


音が立たないようにゆっくりと扉を開けた

しーんっと物音一つしない。変に静かだ


「莉犬にぃ?」

「へっ…」


入ろうかどうかと玄関前で悩んでいたら昔とさほど変わらない声で俺の声を呼ぶ下の弟の声がした


「あ、ころちゃん」

「おかえり」

「あ、うん、ただいま?」


気まづ。2年も家に帰ってなかったし


「えっと、家入らないの?」

「あ、うん。ちょっと…」


兄ちゃんに連絡してからにすればよかった。最悪、順番間違えた


「ころにぃ!!ゲーム準備できましたよ!」

「あ、るぅとくん」

「…!!莉犬にぃ!!」

「うぁ゛ っ 」


ほんとに最悪。1番嫌いな奴にバレた


「なんでいるんですか?」

「ちょっと、兄ちゃんに」

「? リビングに行きましょ!僕寒いです」

「いや、俺もう帰るし っ!」


こいつらと一緒とか地獄でしかない。帰ってこいって約束は守ったしもういいよね。帰ろ

振り返って玄関の扉を開けようとした時、俺が開けるよりも先に扉が開いた。


「莉犬くん …」

「あ、」


扉の先には兄ちゃんがいて、久々に会える唯一好きな人のはずなのに俺は人生で1番最低最悪な気分だった




「なんで家に帰ってなかったの?」

「……… 」

「答えなきゃわかんないよ、莉犬くん」

「ごめんなさい…」


家族全員でテーブルを囲むように椅子に座った。俺の前に座る兄ちゃんは困ったように俺の方を見てる


「なぁ、莉犬。お前どこいたの?」

「友達のとこ」

「それは、安全な?」

「友達に危険も安全もないでしょ」

「そうだな… 」


仲良いの人を勝手に危険人物扱いされてついムキになって低い声が出た。連れ子の2人、ジェルとるぅとがちょっとびくりと身体が震えてた


「家に帰ってくる気はないの?」

「ん、ごめん。今んとこはない」

「そっか、莉犬にぃがそれでいいなら」

「いい訳ないです!現にこうやって話し合いになってるんですから!」


一番下のるぅとがやっと帰れそうだったのに口を出してきた。


「ちょ、るぅちゃん。やめとき」

「ジェルにぃ、でもっ!」

「ごめんね、るぅちゃん。ちょっとだけ静かにしてて欲しいな」


それを宥めるジェルに、静かに促す兄ちゃん

家ではこの図が普通なんだろうな


「…なんにも知らないくせに っ」


俺が勝手に逃げたくせに仲良くしてる5人がこの家では容易に想像できた。それに俺が居なくて兄弟を取られた気がして、嫉妬と不愉快さのあまりにも思ったままの言葉が出た


「莉犬にぃが居なくなるのが悪いんじゃないですか!今だってまるで僕とジェルにぃが悪いみたいに…」

「るぅと。ちょっと黙っとけ」

「さとにぃ… ッ」


末っ子でわがまま。今まで散々甘やかされてたんだろうな、嫌いだ


「俺帰る。もう連絡して来ないでね」

「え、莉犬くん?!」

「もうこの家にも帰らないから」

「ちょっ、」


慌てる兄ちゃんと弟たち。こんな状況にしたるぅとはそっぽ向いて座ってる。同じ弟のジェルですら慌てて俺に駆け寄ってんのに


「莉犬くん、帰るのはいいよ。でも連絡しないのとこの家に帰らないのは許容できない」

「なんで、そんなの俺の勝手じゃん」

「確かに莉犬くんの自由だけどね。まだ莉犬くんは16歳。未成年だから」

「別にこれまでと同じ生活するだけだから」

「せめて、1週間に1回はこの家に帰ってきて欲しい。どこに行くのも止めないからさ」


俺の事を考えて1番いい形で終わらせてくれようとしてるのも分かるし、どこに行くのか聞かないのも止めないって言ってるのも俺に気遣ってくれてるのがわかる

でも、


「ごめん。俺やっぱジェルとるぅとが家族だって認められない」

「……」


全員無言だ

これまで言ってこなかった。自分から避けて会わないように言わないようにしてた


「同じ家にいるのですら無理なの」

「…せいで、」

「莉犬にぃのせいで!!」


るぅとが俺目掛けて飛んできた。あと1歩、という所でさとみがるぅとを捕まえてくれた


「るぅと、やめろ。」

「でもっ!せっかくこうやってななにぃが帰ってきてくれたのに」

「るぅちゃん…」

「なんで莉犬にぃたった一人のせいで全部台無しになるんですか!莉犬にぃが来るまではななにぃもさとにぃもころにぃも優しかったのに莉犬にぃが帰ってきたらみんなそっちに行って!!」


うるさい。


「いいじゃないですか!!莉犬にぃ一人くらいいなくなっても!!」


うるさい


「僕たちのこと嫌いって言って馴染めてないのは莉犬にぃの方なんですから!莉犬にぃなんかこの家に居なくったって!」

「うるさい!!」


「空気が悪いのは全部お前たち2人が来たからだろッ!!急に来て再婚とか言ってさぁ、お前らなんか要らないんだよ!!」

「な゛ っ」

「この家でどうせ上の兄ちゃん達に甘やかされて来たんでしょ?我儘放題の末っ子とか俺はいっちばん嫌いなんだよ ッ゛」


はぁ、はぁ と肩で息をする。

思っていたこと、今まで押し込めてきたことぶち撒けた。もっと言いたいことはあったけど兄ちゃんの目を見開いてびっくりした顔を見た瞬間息が詰まった


「酷いです!僕らは何にもしてないのに」

「再婚だって、お父さんとお母さんが勝手にしたことで、僕たちだって、僕たちだって!」


そんなのは俺らだって同じだ。でもそれでも今まで悠々自適と暮らしてきた弟たちが許せなくて、家族なんて認められなかった


「るぅとくん。」

「ななにぃ?」


俺が口を開くより先に兄ちゃんが口を開いた。

「ぱんっ」と音がして、目の前に広がる光景には兄ちゃんがるぅとの頬を叩いていた


「え… 、?」


その場にいた兄ちゃん以外の全員が困惑の表情を浮かべて兄ちゃんを見ていた

叩かれた当の本人は泣き出しそうに目に涙を溜めていて、それに群がる俺と兄ちゃん以外の兄弟達。兄ちゃんは何も言わずただみんなを見下ろしていた


「ななにぃ、なんでや?」

「兄ちゃん、?」


さとみとジェルに聞かれてもただ無言

俺の知ってる兄ちゃんは人を叩いたこともましてや怒ったことすらもない優しい人だ。少なくとも俺の目の前でそんな事するような人ではなかった、と思う


「るぅとくん」

「ぁ… ッ」


聞いたこともないような低い声。初めて聞くそれは威圧的で自分の名前じゃないのに、足がガクガクと震えた

でもそれはみんな同じようで身体を強ばらせ、息を呑んでた


「お母さん達が再婚したせいで色んなことがめちゃくちゃになってるのは俺達だってそうだよ。急に来て「これからは兄弟」なんて言われたって受け入れられる訳ないの」

「ッ゛、でも!!」

「莉犬くんが言っちゃいけないこと言ったね」

「…っ、そうです!!それに 」

「でもそれはるぅとくんも同じでしょ?莉犬くんだけじゃない、それに先に「居なくなればいい」なんて酷いこと言ったのはるぅとくん。これはどっちも悪いことだよ」

「なん゛」


俺の気持ちを代弁するかのように淡々と言葉を並べ、ゆっくりと反論の余地を無くしていく

さっきの低い声はなく、いつも通りの声のはずなのに威圧感は消えず、まだどこか怖く嫌な汗が体から吹き出してくる


「ななにぃ、るぅとも悪気があったわけじゃねぇし。それに実際莉犬の方から居なくなってんだし」

「さとみくん。この際だからはっきり言うけど末っ子だからって甘やかしすぎだよ」

「甘やかしてはっ」

「なんで居なくなったのか、聞いた?その後追いかけた?莉犬くんの気持ちちゃんと聞いたの?」

「だって、莉犬が 」

「俺には「仲良くしてます」なんて送ってたのに帰ってみればこれ。家に帰らずに仕事してた俺も悪いと思うけど、なんで言わなかったの」

「それは… ッ゛」


仲良くしてます 、 そんなの初めて聞いた。俺が居なくても俺がみんなを支えなくても良かったんだ。俺が居ない方が


「るぅとくん。甘やかされて我儘放題なのはいいけど言って良い事と悪い事の区別くらいつけてね」

「はい… ッ」

「莉犬くん」

「おれ゛!!もうこの家帰らないの!!アルバイトだってしてるし、1人で生きていける!」


急に向けられた俺への言葉が怖く。吐き捨てるように叫んだ

兄ちゃんは何も言わず、下からの視線は冷たい。帰りたい、早くあの家に


「それでもいいよ」

「にぃちゃ っ」


意外にも兄ちゃんは許してくれた。他のは意外そうに目を見開いた程度で何か言ってくることは無かった

呆気なく俺の縁切りは認められた


「俺ももうこの家には帰らない」


優しい兄から絶対に言われることがない言葉

みんなの視線が1人に集中している


「俺も、もうこの家には帰らないよ」

「ななにぃまで、なんでっ!」

「そうだよ、兄ちゃん考え直してっ」


確認かのように同じ言葉を2度告げた兄ちゃんの顔は何も変わらず、仕事の報告をしているようでちょっとだけ怖かった

俺の時は止めなかったくせに、止められたい訳でもないけど


「俺、一応社宅に家あるから。お金のことなら心配しないでちゃんと毎月振り込むから」

「お金とかじゃなくて」

「なんで、莉犬にぃが居なくなるからですか?だからななにぃも ッ゛」


俺のせいなのか。また俺兄ちゃんに迷惑掛けてるのか、家族仲までめちゃくちゃにして


「違うよ」

「確かに俺の唯一は莉犬くんだった。でも、それだけじゃない」


兄ちゃんと俺はお互いにこの家族で唯一心を許せてたらしい。新事実だ

今更知ったところでもう仲は戻らないけど


「るぅとくんもジェルくんも、ころちゃんもさとみくんもみんなの事が今は嫌いなの。家族がいなくなるって言うのに止めもしない、それどころか居なくなった時に探しもしなかった」

「…… 、」

「そんな人と家族ではいられない」


なぁんだ、結局俺のせいじゃん。俺のせい?いやみんなのせいなんだろうけどきっかけ作ったのは俺だし


「ごめん。俺もう帰る」

「俺も、会社に帰る」


残された弟達はもう何も言わない。ただ俯いて、床を見てる

ただ1人るぅとは俺の方を睨みつけてるけど俺の知ったことでは無いし


「あ、そうそう。るぅとくん」


これが俺と弟達が聞いた兄ちゃんの最後の言葉。俺の気持ちと兄ちゃんの気持ち全部が詰まった、最低で最悪で、それでいて俺が今まで1番言いたかったこと


「全部台無しになって壊れたのはるぅとくんとジェルくん、2人が来てからだよ。俺達家族を君達の家族を壊したのは莉犬くんじゃない、紛れもなく2人のせいだよ」


いつもと変わらない、優しい兄ちゃんの笑顔がその時だけは冷めた笑顔に見えた


兄ちゃんも同じ気持ちだったんだね。

この作品はいかがでしたか?

1,726

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚