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冷蔵庫を開け、作れそうなものをいくつか思い浮かべて順番に調理を進めていく。
自分で作ったものを食べてみんなが笑ってくれるあの瞬間は、何度見ても嬉しいものだ。
〇〇「あと一品くらい・・・あ、そうだ!冷蔵庫に――」
??「こんな時間から精が出ますねぇ」
〇〇「うわっ!びっくりした・・・アラスター!突然後ろに立つのやめてってば・・・」
静かだったキッチンで突然聞こえた、特徴的なノイズ混じりの声。
振り返れば目の前に赤いコートが飛び込んできて、危うく皿を取り落とす所だった。
アラスター「これは失礼、驚かせましたか?にゃはは!」
〇〇「よく言うよ、その気満々だったくせにさ」
悪びれる様子もなく良い笑顔を浮かべるアラスターに小さく息を吐き、調理台に向き直る。
意外にも料理好きらしく、こうしてアラスターがキッチンに現れることはたまにあった。
今もこうして後ろから私の手元を覗き込み、からかうように野次を入れてくる。
〇〇「あ、ちょっと!つまみ食いしないでってば、もう・・・」
アラスター「失礼な、これは味見ですよ?
シェフに不手際がないか確認するのも、オーナーである私の務めでしょう?」
〇〇「ふふ、なにそれ・・・はははっ何回味見するのさ!」
味見と言いながら数回、アラスターの口元へとフォークが運ばれる。
どうやら、味には何の問題もないらしい。
〇〇「アラスターもお酒飲みに行くの?お腹すいてるなら何か作ろうか」
アラスター「いえ、私は部屋に戻るので結構です。
良い驚き顔も見られたことですし、ね」
〇〇「・・・・・・へぇ」
私の真似のつもりなのか、目を見開いてひょうきんな顔で固まるアラスター。
軽く笑いながらその顔へとフォークを投げつけてみるが、優雅に指先で受け止められる。
それどころか、“落とし物ですよ”と手元へ返されてしまった。
アラスター「楽しみは明日の朝食に取っておくことにします。
それでは、良き夜を」
〇〇「はいはい、また鹿の生肉でしょ?気合い入れて準備しますよ。
おやすみ、アラスター」
一体何をしに来たんだか、と小さく肩をすくめる。
冷めてしまう前にと、できあがったおつまみの皿を持って私もキッチンを後にした。