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徒花の過去?です
メイデンに便乗しました
結構重いかもー
(徒花の幼少期頃に戦争してる設定です)
多分、愛されはしていたと思う。
古い記憶、狭くても古くてボロイ家で暮らしていた。
なんとか暮らせた生活は、2歳の頃の戦争のおかげで暮らすことすら出来なくなったようだ。
3歳。この日は何故か、よく覚えている。もう誰もいない公園に連れていかれて
「少し待っててね」
と言われて、ただ律儀に待っていた。
親は戻ってこなかった。夕方頃になってどこか察して、その日は公園で寝た。
また、次の日、その次の日も公園で過ごした。
水だけはなんとか水道から流れたものの、
食べ物なんかあるはずもなかった。
配給の日が来た。
山積みの食料の中から、パンを2、3個盗んで誰もいない路地裏に逃げた。
1口かじった時、安堵感か、涙が零れた。
そこからは壮絶な日々だった、サイレンがなれば物陰に身を潜めて、ゴミ箱を漁ったり、盗んだり、怪我なんか常にしていた。
たまに同じような境遇のやつに殴られ、食料を盗られる事はあれど、それを見ていた大人は誰もその事について取り上げようとはしなかった、無かったことにしようとしていたのだ。
捨てられて初めての冬。
息も凍るような寒さの日だった。
パンは盗られ、火を起こすための道具も今や雪の中。森の中に寝転び、雪に埋もれながらただ、来るのを待っていた。
助けを待っていたつもりだったが、今となってはおそらく、死を待っていたのだろう。
こんな時代だ。子供一人の死骸が落ちていようと
ああ、可哀想に。
の一言で収められてしまう。
これからも暗い未来に子供らしく思いを馳せる気もなく、ただ地面で体を冷やしていた。そんな時。
光沢のある、やけに装飾が多い服を纏った男が傍に来て、私の顔を見るためか、しゃがみこんだ。
もう迎えが来たのかと思った。違った。
彼はどうやら国王陛下らしい。後ろの女はただの付き人かと思えば、軍人らしい。
そっと抱えあげられた。人の温度が心地よかった。
その後は保護という体で、しばらく軍の施設で世話をされた。国王陛下とやらは、たまに様子を見に来て、少し話をして、また帰っていくような感じで会っていた。
やがて7つになる頃、国王陛下と話していた時、少しの愚痴を聞いた。
「最近情報屋が少ないんだよねぇ、危険だからやりたがる人もいないし。」
「……じゃあ、なる」
「え」
「情報屋に、なる」
「え、ちょっと?」
「なり方、教えてほしい」
「えー………」
……という訳で、情報屋になるため、訓練を始めた。来る日も来る日も。
今でもただ一つの信念。それは…国王陛下の役に立つこと。それのみだ。
コメント
6件
うーん変わらず重い ただ救いはある方…?なのか??
重い、重いです 先輩、重いです()