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──────メテヲさん視点──────
「───あぁ、そういえば本来の目的を忘れていた。」
緩んだ空気を冷やす一言。メテヲは軽くダークを睨みつける。けど、彼女はケロッとしていて、本来の目的、というやつはあまり重要そうには見えない。メテヲは先程の話をひとまず置いておいて、その話の内容を尋ねる。
「どう言った要件?」
「あぁ、今晩お前らの母親の処刑が行われるらしいぞ。」
「…はぁ?」
メテヲが呆れて聞き返す。お母様の処刑?笑い話である。お母様は規則やルールに厳しいのだ。もし、もしルールを誤って破ったとしても処刑されるほどのことを無意識でやらかすなんてほぼ不可能だ。ま、結論を言うならばダークの話に信ぴょう性はない、ということだ。子供だましすぎる。それで騙されるの話ぐさおくらいだ、なんて思いながらダークを横目で見ると、そいつはあっそ、といった様子。上手く騙されなくて悔しいのだろうか?と、思っていると、ダークは突然メテヲの服を引っ張り、そのまま引きずり始める。
「ちょ、なにしてんのっ?は、離して、どんな馬鹿力なんだよそれぇー!?」
「とりあえず、来て。連れて来いって言われてんの、こっちは。」
「なんでだよ!?」
「さっきから言ってるだろ、お前らの母親の処刑だと。」
「そんなこと有り得るわけないだろ!?ふざけるのも大概にしてくれ!!」
メテヲがそう叫んでもダークは聞く耳持たずでメテヲを引っ張る。さすがにこの歳になって(はたから見たら)妹に引っ張られる姿なんて情けなくて、メテヲは渋々起き上がって歩いてついて行く。と、言うかこの冗談はさすがに不謹慎すぎる。後できつく言わなければ。そんなことを思いながらついて行けば、いつの間にか外に連れ出され、神殿につれてかれる。そこの神殿は新年の挨拶や、メテヲたちイヴィジェル家の誕生日を祝う時などの特定のイベントでしか使われない、ある意味神聖と言える場所だ。そんな場所に、なんの用事もなく尋ねていいのだろうか?そんな疑問を抱きかけたが、それはメテヲの中で溶けてなくなる。──────いるのだ。そこに。天使と悪魔が。それも少数などではなく、沢山いた。全く知らないやつもいれば、顔見知り程度のやつもいるし、友達もいた。何が起きているんだ。メテヲがぼーっとその場で立ち尽くしていると、慌てた様子の天使が複数体やってくる。
「──────メテヲ様!どこに行っておられたのですか!」
「ぇ、あぁ。ご、ごめんね?」
突然、かしこまった服を着た偉そうな天使に声を荒らげられ、怒られる。反射的に謝るが、本当になんで怒られてるのか分からない。と、言うか現状を把握出来ていない。
「それで、なんの用なの?」
メテヲがなるべく、なるベーく優しい言葉を使って尋ねたが、それでも相手の逆鱗に触れてしまったらしく、あまり良くない顔をしながらも、無理やり笑顔に歪ませた表情で答えてくれる。
「メテヲ様が当主になられましたので、その儀式でございますよ。主役がいないで何が出来ましょうか!」
「へ?ぁ〜…なるほど…?」
つまり、継承の義、ということだろうか?え、お父様を殺したばかりのメテヲが、今、その儀式をするの?慌ただしすぎるだろ、というツッコミは飲み込んだまま奥へ連れてかれ、なんかよくわからん服装を着させられ、何をするのかもわからず民衆の目の前に立たされる。天使と悪魔が入り乱れ、並び、メテヲを見上げる様は奇妙、の一言で片付けられた。いつも天使と悪魔は仲が悪いのに、こういう時は静かにできるのか、とどうでも良いことを思っていると、突如、レッドカーペットが魔法によって浮かび上がり、そしてしまわれる。
──────え、なんで?そんな疑問が浮かび上がると同時に、その答えは即座に出た。
分厚く、美しい装飾が彫られたその扉が重い音を立てて開く。その扉をくぐるものは複数いるが、特段目立っているものは全身に白い布をまとい、顔をベールで覆った方だった。その方は天使と悪魔に取り押さえられ、それらに支えられるようにゆっくりと歩いてくる。横に座っている天使と悪魔はそれを疑問にも思っていないのか、ただ、前を、メテヲ見続けていた。不気味だ。今から、何が起こるというのか。
チラリと脳裏にダークの言葉がよぎる。お母様の、処刑。この不穏すぎる単語が現実だとでも言うのだろうか?あの、笑えない冗談が本当だとでも言うのか?
さっきまで信じられなかった言葉が突如信憑性が出てくる。けど、いや、そんな。否定的な単語は出てくるのに、その続きを、文を紡ぐことができない。この現実を否定する文をメテヲは知らない。
「あは、は…」
乾いた笑いが漏れる。今、メテヲはどんな表情を浮かべているのだろうか?そんなこと、わかるわけが無い。そんな、受け入れ難い現実を拒絶しようとするメテヲを逃すまい、と支えている天使と悪魔と共にベールを羽織ったその方がゆっくりと近づいてくる。まだ、顔は見えない。まだ、お母様とは限らない。そうだ。きのせいに決まっている。その美しい毛並みも、骨張ったその白い手も、きっと、お母様に似ているだけなのだ。
その現実はついに目の前にまでやってきて、隣の悪魔がそっとベールを捲り、その人物を露わにする。
──────小顔な女性よりの中性的な顔立ちだった。透明感がある肌。雪のように白いその髪。彫り師によって彫られた、と言われても違和感のないほどの整った顔立ち。金色の長いまつ毛。深海よりも深い慈愛の青。そのどれもが天女のように美しかった。けれど、その光に影をさすその要素をメテヲは見逃さなかった。目の下に深く刻まれた隈。本来の色ではない髪色。カサカサになってしまっている唇。痩せこけた頬。
───メテヲが知っているお母様よりもだいぶ弱られていた。メテヲが駆けつけようとしたら、慌てて隣にいた天使にとめられる。
「…っ!止めないで!」
「お待ちください!その前に、剣をお持ちになってください…!!」
「は…、?」
予想外の言葉にメテヲは戸惑い、次の行動に移せず、立ち止まる。その天使は過度に装飾が施された絹で覆われた金色の剣を差し出してくる。…そこまで勘が鋭くないメテヲでも、その意味はわかった。けど、そんなことがあって欲しくなくて、思わずその剣を差し出した理由をとう。
「なに、その、剣…」
「?この剣で目の前の方を討ち取り、ようやく貴方様がイヴィジェル家の当主になられるのですよ?」
「…っ!お前!メテヲにお母様を殺せというのか!?」
「当然ではありませんか!その方の主人…貴方様のお父様は負けて、死んだのです。なら、それに付き従ってたこの方もまた、敗者。平等に殺して、それを乗り越えてこそ真の当主になれるのですよ!」
メテヲと天使がしばらく問答していると、あたりの視線が冷たいことに気づく。天使と悪魔が目で訴えてくるのだ。「何をやっているんだ?」「早くしろよ」「困惑している意味がわからない」───。まるで、メテヲの葛藤がおかしいかのように、まるで頭のおかしい奴を憐れむかのような目を向けられる。訳が分からない。けど、もう逃げることなんてできない。そうだ。メテヲはもうお父様を殺したんだ。既に、引き返せないし、その罪が消えることもない。あとは、もう。罪を重ねるだけだった。
メテヲの罪は1人から2人へと変わった。
ここで切ります!皆さまお久しぶりです!最近全然投稿できなくてすみません…。高校が忙しくて…しばらく投稿は不安定になりますし、出すとしても9時までに出せるかも分かりません…。よろしくお願いします。けど!完結までは頑張りますので!ご安心ください!失踪はしません!
それでは!おつはる〜!
#イラスト部屋