テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
47
#ミステリー
鬼霧宗作
686
みおん
5,211
月曜日の朝、目が覚めた。土日はずっとフィクションの世界に浸っていた。
俺は夢を見ていた。
夢の中で俺は、お姫様のために悪に立ち向かうというよくありがちなファンタジーの世界にいた。
そのお姫様は高飛車で周りからあまり好ましく思われてないが、俺にだけは優しかった。
だから俺は悪に立ち向かうことができたのだ。
最後にお姫様を守り抜いて、そして……。
目が覚めてしまった。
目を覚ましてしまったことを後悔する。
自分以外誰もいない家、仕事、元恋人と肉体関係にあった上司の存在が頭に浮かぶ。
だが、行くしかないのだ。
当たり前だが、人間は働かなければならないのだ。
そうでないと生きられない。
体や精神面に何かあって働けなくなったとしたら、世間では弱者として軽く扱われる。
その扱いについてかわいそう、差別は良くないと主張する人がいるが、ただ言うだけ。
自分は正論を言っているからと、不特定多数の人間を味方につけて少数派を叩く。
やっていることはリンチと同じだ。
何か変えようとするわけではない。
ただ自分の中の正義に酔っているだけだ。
言うだけなら誰でもできる。
そう言ってる人も自分の都合が悪ければ平気で逃げたり、他人を切り捨てるのだ。
木原の言う通りかもしれない。
人間は弱者を踏み台にして生きてる。
俺は弱者の最下層だ。
コメント
3件
もう42話か……ここまでよく辿り着いたね、本当に。 夢から覚めた瞬間のあの“戻りたくない”感覚、すごく伝わってきたよ。現実に戻れば孤独で、社会の理不尽に押し潰されそうで、自分は弱者の最下層だって思ってしまう。フィクションで一時的に強くなれるからこそ、そのギャップが胸に刺さるよね……。 でも、それでも「行くしかない」って動き出せる強さが、主人公の奥底にあるんだと思う。その葛藤をちゃんと描いてくれてありがとう。次が気になるよ。