テラーノベル
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第1話
ー暇72sideー
🌸「おーい、なつ。また寝てんの?(笑)」
耳元で、少し高めの、聞き慣れた声がした。机に突っ伏していた俺、『暇72』は、重い瞼をゆっくりと持ち上げる。視界に入ってきたのは、窓から差し込む午後の柔らかな日差しと、呆れたようにこちらを覗き込んでいる『LAN』の顔だった。
🍍「……んー。昨日、徹夜でゲームしてたから、しょうがない…」
🌸「自業自得!!ほら、次の移動教室理科室だって。置いていっちゃうよ〜?」
LANはそう言って、自分の教科書を抱えて席を立つ。少しクセのある髪が、春の風に揺れた。こいつは昔からそうだ。幼馴染の俺を放っておけないというか、お節介というか。
俺たちは家が隣同士で、親同士も仲が良い。幼稚園から小学校、中学校、そしてこの高校まで、ずっと同じ道を歩いてきた。気づいたらそこいる、そんな存在。
🦈「なつくーん! らんくーん! 早く行こうよ!」
廊下に出ると、少し離れたところから高い声が響く。『雨乃こさめ』だ。小柄な体を弾ませて、俺たちに手を振っている。その後ろで『いるま』が歩いてくる。
📢「こさめ、廊下で走んな。転んでも知らねーよー。」
いるまが冷静に突っ込む。この4人が、いつものメンツだ。
🦈「別にいいもーん、 ほら早く行かないと授業始まっちゃうよ!」
📢「わかったから、袖引っ張んな」
賑やかな会話を背中で聞きながら、俺とLANは並んで廊下を歩く。
理科室での実験中、LANは手際よくアルコールランプの準備をしていた。
🌸「なつ、そこ持ってて。火つけるから」
🍍「ん。」
差し出されたLANの手。指先が少し、震えているように見えた。
🍍「……らん、なんかあった?」
🌸「え? 何が?」
LANは不思議そうに聞き返してくる。
🍍「いや、手震えてる。」
🌸「えっ、うそ。……昨日、生徒会の書類書きすぎて腱鞘炎かも、? 気にしすぎだって(笑)」
LANはいつもの屈託のない笑顔で笑い飛ばした。その笑顔に、俺の胸にわずかに生まれた小さな違和感は、春の陽気の中に溶けて消えていった。
放課後。俺たちはいつものように、駅前のハンバーガーショップに寄る。
🦈「ねぇねぇ、今度の連休、みんなで海行かない?」
こさめがポテトを頬張りながら提案する。
📢「海か。泳ぐにはまだ早くね?」
いるまがコーラを飲みながら答える。
🦈「泳がなくてもいいじゃん! 写真撮ったり、砂浜で遊んだりさ」
🌸「ん!めっちゃいい!!なつも行く?」
LANが俺の肩を小突く。
🍍「んー、……まぁお前らが行くなら」
🌸「よし、決定! 楽しみだなぁ」
夕暮れ時、LANと二人で帰路につく。
影が長く伸び、街灯が灯り始める。
🌸「なつ、俺さ」
ふと、LANが足を止めた。
🍍「ん?」
🌸「俺たち、大人になっても、こうやって一緒にいられるかな」
突拍子もない質問だった。
🍍「当たり前じゃん。えなになに急に(笑)」
🌸「いや、なんとなく。最近、時間が過ぎるのが早い気がしてさ」
LANは夕日に目を細めて、少しだけ寂しそうに笑った。
その時の俺は、その言葉の意味を深く考えることはなかった。明日も、明後日も、同じような毎日が続くのだと、疑いもしていなかったからだ。
🍍「まあ、何かと忙しい時期だし?そんなもんじゃね?」
🌸「……そんなもん?」
🍍「そうそうそんなもん。そんなことより帰ったら昨日の続きな。負けねーから」
🌸「お、受けて立とうじゃん。ご飯食べたら速攻ログインする」
LANは家の中に入っていく直前、もう一度だけ俺を振り返った。
🌸「じゃあね〜なつ!!また明日」
🍍「ん、バイバイ」
その「明日」が、いつか断ち切られる日が来るなんて、この時の俺は、これっぽっちも思っていなかった。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎…♡100
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