テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おめさ、わのこどなんだど思ってんだよ」
珍しく本気でキレていそうなけいたの声に、流石の俺でも驚く他なかった。
今しがた再生し始めたばかりのYouTubeの音声が、止められることなく俺の手元で流れている。
「は?急にどうしたんだよ」
「むったどわのこど陰キャ陰キャいやがって、むがづぐんだよ、マズで」
うん、ブチぎれてる。おちゃらけて場の空気を和ませるのは状況的にナシだな。
どう考えてもそれで上手くけいたの怒りを鎮められる気がしないし、怒りを逆なでして自分の首を絞めたくはない。
とりあえず、依然としてやたらと明るいBGMを再生している携帯の電源を切った。
「陰キャつったって、撮影の時だけだろ、そんなマジになるなよ」
「わがってんだよ、そったごど。すたばて傷付ぐべな」
「んんん、一回落ち着け、な?何言ってんのかわかんねえし」
「ジュンズ、おめはわば何だど思っちゅんだ?」
「ともだちの青森県民?的な?」
要領を得ない俺の回答に、逆に冷静になったのか、けんたの口がぴたりと閉じる。
しばらく考えるように黙り込んだ後、いつも通りの顔に戻って、また口を開いた。
「ごめん、忘れでけ」
「え、ちょ、ま、なんだよお前、今日おかしいって」
「多分疲れでらんだよ」
「あ、お、おう」
一方的にキレて、一方的にまくしたててくるなんてらしくない。
らしくない、と言い切れるほど、俺はけいたのことを知らないけど。
のそのそとソファから立ち上がってリビングから出ていくけいたの後ろ姿を、どこか置いてけぼりにされたような気分で、ぽかんと口を開けたまま見送った。
深夜の勢いです、数日後には消えてる確率の方が高いです
リクエスト・コメント、リクエストは書くかは別として気軽にしてください