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朝の教室は、いつもより静かだった。
ページをめくる音と、ため息があちこちから聞こえる。
チー牛君は自分の席でノートを確認していた。
その隣には、眠そうな顔のボクっ娘。
ボクっ娘「ふぁぁ……眠い……昨日、帰ってから復習してたら、気づいたら夜中の二時だった」
チー牛君「復習って、お前途中で寝落ちしてたじゃん」
ボクっ娘「うっ……覚えてたの……?」
チー牛君「俺の部屋で寝てたんだから当然だろ」
ボクっ娘「うぅ〜、恥ずかしい……」
チー牛君は少しだけ笑った。
緊張している教室の中で、二人のやり取りだけがほんのり柔らかい空気を作っていた。
チャイムが鳴り、試験用紙が配られる。
教室が一斉に鉛筆の音に包まれる中、チー牛君は淡々と解き始めた。
チー牛君(心の中)「……昨日やった範囲だ。いける」
一方、前の席では、ボクっ娘が鉛筆を握りしめながら紙を睨んでいた。
ボクっ娘(心の中)「これ、昨日の問題と似てる!チー牛君が言ってた“平方完成”ってやつ!」
最初は手が震えていたが、彼に教わった解き方を思い出しながら、少しずつペンが進む。
途中で計算ミスしても、チー牛君の声が頭の中で響く。
『焦るな。ひとつずつ、順番にやれ』
その言葉を胸に、ボクっ娘は最後まで問題を解き切った。
休み時間の会話
チャイムが鳴り終わり、教室がざわつく。
ボクっ娘は大きく息を吐き、机に突っ伏した。
ボクっ娘「終わったぁぁぁ……脳みそ使い切った……」
チー牛君「まあまあ、思ってたよりマシだっただろ」
ボクっ娘「うん!“平方完成”出た!チー牛君が言ってた通り!」
チー牛君「……だろ?」
得意げに少し笑うチー牛君に、ボクっ娘は嬉しそうに拳を突き出した。
ボクっ娘「チー牛君先生、ありがと!ボク、今日はカンペキ!」
チー牛君「……次も気を抜くなよ」
ボクっ娘「はいはい、先生♪」
ふざけながらも、二人の顔には自然な笑みがあった。
昼休み、二人は屋上のベンチに腰掛けていた。
弁当を広げながら、ボクっ娘が空を見上げる。
ボクっ娘「今日、空きれいだね。試験の日に晴れるのって、ちょっと縁起いい感じ」
チー牛君「お前、朝あんな顔してたのに、今はずいぶん余裕だな」
ボクっ娘「そりゃあチー牛君が教えてくれたんだもん。ボク、ちょっと自信あるよ」
チー牛君「……そっか」
彼は少しだけ顔をほころばせた。
その笑顔を見て、ボクっ娘の胸の奥が少し温かくなる。
ボクっ娘「ねぇ、チー牛君。試験終わったらさ……また一緒にアニメ見ようね」
チー牛君「……しゃーなしな」
ボクっ娘「ふふっ、それが聞きたかったの♪」
風が吹き抜け、弁当の匂いと一緒に小さな笑い声が屋上に溶けていった。
数日後、廊下の掲示板前。
試験の結果が張り出され、教室中がざわめいている。
チー牛君は淡々と自分の点数を確認したあと、隣にいるボクっ娘の方を見た。
チー牛君「……どうだった?」
ボクっ娘「見て見て!赤点ギリ回避!!やったぁぁ!!」
彼女は両手を上げてぴょんぴょん跳ねる。
その無邪気さに、チー牛君は思わず笑った。
チー牛君「お前、それでそんな喜ぶなよ」
ボクっ娘「だってチー牛君のおかげだもん!」
チー牛君「……まあ、しゃーなしで教えた甲斐はあったな」
照れ隠しのようにそっぽを向く彼。
そんな彼の袖を、ボクっ娘がちょんと引っ張った。
ボクっ娘「……ありがと。チー牛君がいなかったら、たぶん落ちてた」
チー牛君「……別に。俺が教えたって、お前が頑張らなきゃ意味なかったし」
ボクっ娘「うん。でもボク、チー牛君が隣にいたから頑張れたんだよ」
その言葉に、チー牛君は一瞬だけ動きを止めた。
ふいに心臓がどくんと鳴り、視線を逸らす。
チー牛君「……そんなこと言うな、照れるだろ」
ボクっ娘「えへへ、顔赤いよチー牛君」
チー牛君「うるさい」
ボクっ娘の笑い声が響き、周りのざわめきが少し遠のく。
掲示板に貼られた紙よりも、今の笑顔の方がずっと眩しかった。
帰り道。
二人は並んで歩きながら、コンビニの袋を手にしていた。
中には、ご褒美に買ったアイスが二つ。
ボクっ娘「あのね、チー牛君」
チー牛君「ん?」
ボクっ娘「もし次のテストでもボクが赤点回避できたら……またご褒美ちょうだい」
チー牛君「……ご褒美?」
ボクっ娘「うん。一緒に勉強して、一緒にアニメ見て……あと、しゃーなしでデート!」
チー牛君「……おい、それ最後だけテンション違うだろ」
ボクっ娘「いいでしょ?チー牛君」
チー牛君「……しゃーなし、な」
ボクっ娘は嬉しそうに笑い、アイスをぱくりと食べた。
溶けた甘さが、心の奥まで広がっていく。
小さな幸せ
夕日が沈むころ、二人は公園のベンチに腰掛けていた。
蝉の声が遠くで響く中、ボクっ娘がぽつりと呟く。
ボクっ娘「ボクね、勉強も運動も得意じゃないけど……チー牛君がそばにいると、なんか頑張れる」
チー牛君「……俺も、お前がいると……しゃーなしで頑張れる」
ボクっ娘「ふふ、それお揃いだね」
二人は顔を見合わせて笑った。
その笑顔のまま、空を見上げる。
雲の隙間から覗く光が、まるでご褒美みたいに優しく二人を包んでいた。