なぜ俺が究極のぼっちになったかというと今年行われたクラス替えなんかが理由ではない。
理由は明確で簡単なことだ。
俺が極度のコミュ障でインキャだからだ。
俺は人と会話をするのが苦手だ。
小さい頃から人見知りで口下手だった。この世界は人と会話をし、普通にコミュニケーションが取れないと上手くやっていけない世界なのだと小さい頃から思い知らされている。
今誰かに話しかけられるようなら、きっとあがり症も出て「めっちゃきょどってて暗くて変な奴」と思われるかもしれない。
または俺の反応を見てクラスメイトからイライラされるに違いない。
まぁ俺なんかに話しかける奴なんていないと思うが…
数週間前まではクラス替えを機に自分を変えてみんなとコミュニケーションを取れるようになろうと自分の中で息巻いていたが、いざ新しいクラスに身を置くとその意思はシャボン玉のようにどこかへといつの間にか消えてしまった。
このように臆病で極度のコミュ障の俺は今年も安定的にぼっちなのだ。
というか自分の人生の中で友達が出来たためしがなかった。
学校生活というのは友達がいないと苦しい。学校行事や授業中など1人でやれないことばかりだ。
とくに嫌だったのは、修学旅行と体育の時の教師が悪魔のように囁く「2人組を作って」という言葉だ。
修学旅行は全く仲良くないクラスメイトと一日中ずっと一緒にいるのは辛いし、体育の時の「2人組を作って」という言葉はまさに地獄だった。
俺がペアに誘える奴なんて居るはずないだろ!といつも心の中でキレていた。
結局は今もそうだが体育のペアは教師と組んでいる。
そう俺はとても悲しい奴なのだ。
今もこうして教室の自分の席で1人虚しくスマートフォンで戦闘もののゲームをしているのだから。
ぼっちは辛いが、この戦闘もののゲームをするのは楽しい。
このゲームはすごく人気というわけではなく、マイナーなゲームだが俺は凄く気に入っている。
ゲームの内容は平凡な高校生が異世界へと転生し、最初は1人ぼっちで戦いに挑んでいたが、戦っていく度に様々な個性的な仲間と出会い、一緒に強敵を倒し仲間達と友情を育んでいくというものだ。
俺の現実世界でもこんな風に簡単に友達が出来るといいのだが。
現実はそう上手くはいかないらしい。
(おっこの敵強いな)
このクエストは特に難しくなかなかクリア出来ていない。早くクリアした時の快感を味わいたいものだ。
「ねぇそのゲーム好きなの?」
いきなり自分の後ろから男子の優しく澄み切った声が聞こえてきた。
一瞬、自分に話しかけているのか思ったが、今までの経験が答えを導き出した。
きっと俺ではなく、近くの席の奴に話しかけているのだと。俺なんかに話しかける奴はいないと。
そう思い俺はまたゲームへと集中した。
「三咲君ってそのゲーム好きなの?」
だが今度は明確に俺の席の前に座って俺の苗字を呼び、金髪の男子が話しかけてきたのが分かった。
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