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今回はdomsubですっ
もっくん→sub
涼ちゃん、若井→dom
m「ん…、、ぅ”、」
浅い眠りから目を覚ますと、頭にズキズキとした痛みが走る。
カーテンの隙間から漏れている光が、嫌に眩しくて眩暈がした。
時計に目をやると、もう家を出ないといけない時間になっていた。
しかし、ベッドから出ようとする手足は鉛のように重く、起き上がるのを躊躇った。
なんとか足先を引き摺るようにしながら、洗面台に向かう。
鏡に映った自分をしばらく見つめ、ふっと嘲笑する。
目の下にはくまがはっきりと出ていて、心までくすんだ気がした。
ふたたび時計に目をやると、もう項垂れている時間も残されていなかった。
急いで着替え、荒々しくコップに水を注ぐ。
昨日飲んだ時のまま、机に散らばった抑制剤を手に取ると勢いよく口に放り込む。
…僕は、この独特の甘さが口内に広がる瞬間がずっと、大の苦手だった。
嫌でも、自分がsubであることを自覚させられる。
そんな世迷言を言っても仕方ないのだけれど。
自身を鼓舞するように頬を軽く叩く。
m「…いってきます。」
その言葉だけが、1人では広すぎる玄関に静かに響いた。
スタイリストさん「大森さん、次のmステの衣装なんですけど、…」
今日は、今度出る各所音楽番組のもろもろの打ち合わせの日だった。
正直、大森がいないことにはいろんなことが決まらないため、打ち合わせには参加するしかなかったのだが、、
今朝よりも頭の痛みがひどく、話に耳を傾けるだけで精一杯だった。
なんやかんやその場に行ってしまえば、アドレナリンでやり切れることもよくあるのだが。
今日に限っては、身体のだるさが限界を迎えていた。
スタッフさん「ぁ、…ぁの、大森さん?大丈夫ですか?」
m「…んぇ、?ぁ、…すみません。ちょっと、ぼーっとしちゃって、笑」
力を振り絞るような、どこか不器用な笑みで返す。
涼ちゃんと若井も、ちらちらとこちらを心配そうに見つめていた。
なんとか力を振り絞って、全ての事項が決まる頃には、外の景色はすっかり暗くなっていた。
m「…おつかれさまでしたー。」
一刻でも早く帰って、身体を少しでも休めたい。
何かに急かされるように、その場を去ろうとすると、ふと手を掴まれる。
顔を上げると、若井が心配そうな表情でこちらを見つめていた。
そのすぐ後ろで、涼ちゃんも僕の顔色を伺っている。
m「わかい、どした?」
w「…いや、その、ちょっと体調大丈夫かなって。」
m「ん、ちゃんと全部やり切るよ。大丈夫。」
安心させるつもりで言った僕の言葉を聞くと、2人ともどこか苦悶の表情で、そうじゃないとでも言いたげな顔をする。
そして、若井が意を決したように、ゆっくりと口を開く。
w「もとき。…さいきん、どう?お薬は、効いてるの?」
r「…僕たちにも、何かできることないかな?」
そう。
2人とも僕がsubであることを知っている。
そして、薬だけで症状を抑えていることも。
通常、薬だけで抑えると言うのはあまり推奨されていない。
飲みすぎると効き目が薄くなってしまって悪循環になるからだ。
まれに、sub性が低く、ほとんどneutralと変わらない場合には薬だけで普通に暮らせる人もいるが。
残念ながら、僕は前者だった。
そして案の定、年々悪循環に陥っていった。
医者には、初めは早くパートナーを見つけなさいと忠告されていたが、僕の意固地な態度に諦めたのか、はたまた僕の特殊な事情を汲んでくれたのか、最近はあまり何も言われなくなっていた。
2人やマネージャーさんには、体調に変化があればすぐに報告するという約束で薬だけで抑えることを了承してもらっている。
しかし、未だ僕から報告を受けたことがない若井と藤沢は、徐々にこちらを伺うような眼差しを向けることが多々あった。
薄々その眼差しに気づいてはいたが、知らないふりをしていた。
しかし、ついに痺れを切らしたのか、こうして今、2人に捕まってしまっている。
m「ほんとに、大丈夫だよ。ちょっと風邪、引いちゃっただけ。」
僕はできるだけ、なんでもないという顔をする。
すると、じっと顔を覗き込んできた若井と目線が合う。
そして僕の目の下にすりすりと親指を這わせる。
w「…うそ。ずっと寝れてないんでしょ?」
m「いや、…まぁ、でもいつものことだし。」
若井が小さくため息を吐く。
w「…俺ね、心配なの。」
r「そーそー!もうちょっと、頼ってくれてもいいんだよ?」
ぴょこっと若井の肩口から涼ちゃんが顔を出す。
m「うん、ありがと。じゃあこんど、焼肉でも奢ってもらっちゃおうかな、笑」
2人の優しさが、今は少し痛くて、苦しさを押し殺すように冗談めいたことを言う。
r「え〜、それは全然いいけどさぁ。そういうことじゃなくってさぁ、、」
涼ちゃんがその先の言葉を少し躊躇うように、ごにょごにょと口を動かしながら言い淀む。
若井もそれに続いて、
w「おれたちせっかくdomなのにさ、、もときの助けになるかもじゃん?」
そう、2人はdomだ。
僕とは違う、決定的な何かの正体。
それを自覚するたび、彼らとは根底的には相容れないと、そう線引きされたような気持ちになる。
僕たちは親友であり、ビジネスパートナーでもあり、特別な何かの縁で確かに結ばれている。
しかし、その縁に、一滴の不純物が混ざった瞬間、どうしようもない気持ちになる。
全てが泡のように消えていってしまうような。
そんな恐怖が、僕の中にある性が、僕を襲う。
彼らに縋る僕の姿を想像する。
そして、決して超えてはいけない線がそこにある気がする。
全てががらりと変わってしまうような。
僕の唇は、少し震える。
m「若井はそれっぽいけどさ、涼ちゃんは、なんか、ぽくないよね。笑」
r「えー!ひどい!笑僕だって立派なdomだもん!」
m「そう?笑まあ、なんかあったらお願いするかも。」
そう言うと、少しだけ安堵の表情を浮かべる。
僕はその言葉を最後に、足早に自宅へと向かった。
帰りのタクシーの中で、車窓から見える景色をぼーっと見つめる。
先ほど2人に言った言葉が、頭の中で繰り返される。
何度も脳内で再生しては、心がズキズキと痛む。
『まあ何かあったら、その時はお願いするかも』
二人に頼る日は、、そんな日はきっと、一生こない。
だって、僕のは二人の親切心とは違う。
僕の心の底に横たわった、カビの生えかかった醜い欲望を、二人にだけはどうしても知られたくなかった。
もっと言えば、他の誰かに見せることも到底できそうにない。
一度意識してしまうと、どうしようもなく溢れ出す。
ずっと、誰かの肩に寄りかかっていたい。
心も体も甘やかされて、どろどろにしてほしい。
何も考えれないくらいに、躊躇いなく快楽に溺れて、、
骨の髄まで満たされたい。
そんな欲求が、沸々と湧き上がる。
すでに煮え切ってしまった化け物みたいなそれを、心底憎む。
…僕が、こんな身体じゃなかったら、、
そう思わずにはいられなかった。
第一話はちょっと重めだったかも、、。
これから、甘々になる予定だから許してね、泣
あと、コメントくれてる子とかありがとね!!
いつもスマホ越しにウキウキさせてもらってます!笑
じゃあまたね!