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「ごめんお待たせ!」
そろそろ会話のネタが尽きてきた頃合いに急いだ様子で元貴が来た。待ってないよ、と言いながらもちょっぴり感覚が鈍くなるくらいに冷えた指先が時間を語っていた。
若井のオススメだと言うお店に向かっている道中、突然元貴が足を止めた。それに釣られて歩みを止めると1つの箱が手渡される。
「最近大変そうだから、これあげる。」
何それ俺のは?と騒ぐ若井を雑に宥める元貴を横目に、貰った箱に目を落とす。黒色の箱にシンプルに緑色のリボンが蝶結びで装飾されていて高級感がある。
「ありがとう、中身なに?」
「いや開けろよ」
すかさず横から飛んできたツッコミはもときではなく若井からだった。揉めていた2人はいつの間にか横並びになってニヤニヤとこちらを見ている。
丁寧にリボンを解き箱を開ける。中身は黒猫のピアスだった。猫の滑らかな輪郭をなぞるように白い枠がデザインされていて、キラキラと光を反射する。
「すっごいかわいい!あんまり猫のやつ付けないから新鮮だな〜。」
可愛らしいプレゼントに釘付けになっていると1つの違和感に気付く。
「片方だけなの珍しいね。」
両耳セットのイメージがあり、つい言葉にしてしまう。
「そう?結構あると思うけど。」
そんな会話をしていると寒さに耐えきれなくなった若井が騒ぎ出す。急かす彼を一度落ち着かせて街灯を反射するピアスを手に取り、早速付けようすると突然制止の声がかかった。
「あ!!!それ右耳につけて、ほしい…。」
ごめんちょっと声大きかった、と萎むようにボリュームを下げていく元貴に驚きながらも言われた通りに右耳につける。
「どう?似合ってる?」
「「似合ってる」」
2人から食い気味に発された言葉が重なり、顔を見合わせる様子が微笑ましくてつい笑ってしまう。右耳に飾られた贈り物に指先で触れれば不思議と気分が上がる。
「…よし!!今日全部僕の奢り!!早く行くよ〜!!」
m「流石涼ちゃん太っ腹!」
w「涼ちゃんデブなの?」
m「そういう意味じゃねえよ。」
贈られたピアス、実は色んな意味が篭ってます🤤