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米屋の漢字ずっと間違えてた……修正しました、すみません(; ̫;)
わああ…!!読み終わったけどマジでやばかった…!!😭💕 最初の真っ白な空間から始まって、「8月32日」って日付が出た時点で背筋ゾワッとしたよ…!時計が壊れてるんじゃなくて、世界そのものが異常になってる感じがめっちゃ怖かった…。 そして出水が「殴る」シーン、マジで鳥肌立った…!!「お前の帰る場所はこんな冷たい箱庭じゃないだろ」って台詞、心臓掴まれたかと思った…😭💔 米谷が自分の生存本能で出水の姿を借りてたってオチも天才的すぎる…!! 最後の「ただいま」「おかえり」で完全に涙腺崩壊したよ…!!だってそれができるのが本物の絆だもんね…✨ 続き絶対読みたい…!!次はいつ公開されるの〜!!?😭🌸
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くろ
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きのこ
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真っ白だった。上を見上げても、下を見下ろしても、360度どこを向いても境界線のない完全な白。地面と空の境目すら存在しないその空間は、影という概念すら拒絶しているようだった。
「……おい」
米屋陽介は、自分の声がどこにも反響せずに、冷たい白の中に吸い込まれていくのを聞いた。
気がついたときには、この場所にいた。直前まで自分が何をしていたのか、何を考えていたのか、記憶の表面にモヤがかかったように思い出せない。ただ、自分がボーダーのA級隊員であり、米屋陽介という人間であることだけは確かだった。
「トリガーオン」
ポケットの中にあったホルダーを握りしめ、いつもの文句を呟く。
身体が淡い光に包まれ、見慣れたボーダーの戦闘服へと換装された。手元には、ずっしりとした重みを持つ弧月が現れる。
「トリガーは動く、か。ってことは、ここは近界のどっかなのか?」
米屋は弧月を構え、周囲を警戒した。だが、襲ってくるような近界民も、トリオン兵の気配も一切ない。
とにかく歩くしかなかった。一歩、二歩。進んでいる感覚はある。だが、周囲の景色が1ミリも変わらないため、自分が本当に前進しているのか、それとも同じ場所で足踏みをしているだけなのかが分からなくなる。
「おーい! 誰かいないのか! 出水! 太刀川さん!」
叫びながら、米屋はひたすら走り続けた。
数時間、あるいは数日が経っただろうか。時間の感覚すら白の中に溶けていく。
どれだけ走っても、何も見つからない。出口も、壁も、他人の気配も。それどころか、眠気も空腹感もない。
そこにあるのは、精神が狂いそうなほどの絶対的な静寂と、圧倒的な孤独だけだった。
「くそっ、なんなんだよここは……!」
「——米屋陽介が、近界に寝返った?」
ボーダー本部の一角、A級隊員たちの作戦室が集まる廊下で、その噂は瞬く間に広がっていた。
ある日、米屋陽介は突如として姿を消した。三門市の警戒区域内はおろか、彼の自宅、行きつけの店、ボーダーの施設、そのどこを探しても、何も見つからなかった。争った形跡も、ベイルアウトのログもない。
あまりにも不自然で、あまりにも完璧な消滅。
それゆえに、ボーダー内部では「自発的な逃亡」、すなわち「近界への寝返り」という最悪の憶測が真実味を帯び始めていた。
「あいつ、少し前から独自の動きをしてたって噂だしな」
「C級のアタッカーを個人的に指導してただろ? あれも何か裏があったんじゃないか」
通りすがりの隊員たちの無責任な囁きが、作戦室のドア越しに出水公平の耳に届いていた。
「……あいつが」
出水は、持っていた紙コップを握りつぶした。茶色の液体が床に滴り落ちる。
出水の瞳には、激しい怒りの炎が灯っていた。
「あいつが寝返るわけねーだろ、バカどもが」
出水は席を立ち、乱暴にドアを開けて廊下へ出た。囁き合っていた隊員たちが、出水の殺気立った視線に気づいて気まずそうに目を逸らす。
上層部は米屋を行方不明として処理し始めていたが、出水だけは諦めていなかった。時間を見つけては、米屋のロッカーを調べ、彼の足取りを追い、彼が最後に残したかもしれない「何か」を必死に探し続けていた。
だが、現実の時間は無情だった。
どれだけ探しても、手がかりは何も見つからない。
日付は無情に進み、夏の終わりがすぐそこにまで迫っていた。
「——っ!」
激しい呼吸とともに、米屋は跳ね起きるように目を覚ました。
背中に触れる柔らかい感触。白い、無機質な床ではない。
「……え? ここ、俺の部屋か?」
視界に飛び込んできたのは、見慣れた天井だった。
壁に貼られたポスター、机の上に散らかったノートや漫画、クローゼットの扉。そこは間違いなく、三門市にある米屋自身の自室だった。
「夢、だったのか……あの白い空間は……」
米屋はベッドから起き上がり、安堵の息を吐き出した。生身の衣服を着ている。身体に異常はない。
冷や汗を拭いながら、何気なく机の上のデジタル時計に目をやった。
その瞬間、米屋の思考が完全に停止した。
デジタル時計の液晶画面には、脳が理解を拒絶するような数字が表示されていた。
【8月32日 08:15】
「……は? 8月、32日……?」
時計の故障かと思い、米屋はポケットからスマートフォンを取り出した。しかし、スマートフォンの画面にも、全く同じ【8月32日】という文字が、冷酷に浮かび上がっていた。秒針は動いている。時間は進んでいる。だが、日付だけが、現実には存在しないはずの領域に踏み込んでいた。
嫌な予感が全身を駆け巡る。
米屋は急いで部屋のドアを開け、廊下に出た。
「親父? 誰かいないのか?」
返事はない。家の中は、不気味なほどに静まり返っていた。
玄関を飛び出し、外の街へと駆け出す。
外の景色も、いつもの三門市そのものだった。
アスファルトの道路、並び立つ住宅、電柱。
だが、何かが決定的に異常だった。
音が、ない。
夏の盛りであるはずなのに、蝉の声ひとつ聞こえない。車のエンジン音も、遠くの話し声も、風が木々を揺らす音すらない。
そして、何よりも。
「誰も……いない……」
街を走る歩道にも、信号待ちの交差点にも、人の姿が一人もなかった。まるで、世界から自分以外の人間が忽然と姿を消してしまったかのような世界。
米屋は息を荒くしながら、三門市の中心部へと走った。
目指すのは、ボーダー本部だ。あそこに行けば、誰かいるはずだ。この異常な状況の理由が分かるはずだ。
しかし、警戒区域の境界を越え、本部の巨大な基地が見えるはずの場所に到達したとき、米屋は愕然として足を止めた。
「……ない……」
そこに、ボーダー本部のあの巨大な基地は存在しなかった。
ただ、どこまでも平坦な、何も建っていない更地が広がっているだけだった。
ボーダーがない。誰もいない。日付は、8月32日。
米屋は、ポケットの中のトリガーを握りしめた。
「トリガーオン」
戦闘服へと換装される。やはりトリガーは動く。だが、この世界で、自分は何と戦えばいいのだろうか。
現実の世界。日付は8月31日。
三門市の空は、どんよりとした曇り空に覆われていた。
出水公平は、米屋の部屋の前に立っていた。
家族の許可を得て、何度も訪れている部屋。
「明日からは、新学期か……」
出水は小さく呟いた。
明日になれば、学校が始まる。嫌でも、日常の歯車が回り出す。米屋のいない席がある教室へ、自分は行かなければならない。周囲の人々は、時間が経つにつれて米屋のことを過去の人間として処理していだろう。それが耐え難かった。
「もう9月になっちまうってのに、お前はいつまで夏休み気分なんだよ」
ぽつりと吐き出した独り言は、静まり返った部屋の壁にぶつかり、虚しく跳ね返ってきた。
いつだって、くだらない軽口を叩き合ってきた。課題が終わらないと騒ぐ米屋を呆れ顔で手伝ってやるのが、いつもの夏の終わりだった。それなのに、小言をぶつけるべき相手はここにはいない。
出水は米屋は学習机に歩み寄り、机の上のデジタル時計を見た。
時計の表示は8月31日23:59。
そして、夜の0時を迎えた瞬間。
時計の表示は、静かに、そして当たり前のように9月1日へと切り替わった。
出水が自分のスマートフォンを確認しても、日付は正常に9月1日を示している。
部屋の空気も、時計の液晶も、何一つとしておかしなところはない。超常的な異変などどこにも起きておらず、ただ淡々と、冷酷なまでに正常な時間が流れている。
「てめぇ、本当にどこに行っちまったんだよ……」
出水は、あまりの何もなさに、ベッドの縁に深く腰掛けて頭を抱えた。
事件の目撃者もいない、部屋に争った痕跡もない、不可解な手がかりすら見つからない。ただ親友一人が、最初から存在しなかったかのように綺麗に消え去ってしまったという絶望的な事実。それだけが、9月1日の冷たい静寂の中にぽつんと残されていた。
新学期が始まった。
やはり、米屋陽介は現れなかった。
学校の始業式、出水は隣の空席をただ見つめていた。先生もクラスメイトも、米屋の失踪について触れようとはしない。それは腫れ物に触るかのような、静かな拒絶だった。
その頃、米屋は、終わらない8月32日の世界で、限界を迎えていた。
「おい!! 誰かいないのかってんだよ!!」
米谷は、誰もいない三門市の中心部で、弧月を振り回していた。
幻踊の刃が、無人のビルの壁を切り裂く。破片が飛び散り、アスファルトに転がる。
しかし、どれだけ街を破壊しても、次の瞬間、米屋が目を離した隙に、その破壊の痕跡は綺麗に修復されていた。
まるで、この世界そのものが、米屋の記憶にある「綺麗な三門市」を維持しようとする強力なプログラムのように。
「はぁ、はぁ……」
米屋は、切り裂いたビルの壁に背中を預け、荒い息を吐いた。
体の中心が、ずっと重い。固定された世界。そして、いつからか、頭の奥で高音の不快な耳鳴りが鳴り止まなくなっていた。
「がはっ……っく!」
突然、猛烈な頭痛が米屋を襲った。
視界が激しく歪み、周囲の景色が、一瞬だけ「あの真っ白な空間」へと戻りそうになる。
米屋はこめかみを強く押さえ、地面に膝を突いた。
(なんだ、この頭痛……。トリオン体なのに、なんでこんなに痛ぇんだよ……)
通常、トリオン体であれば、肉体的な病気や原因不明の頭痛に悩まされることはない。ダメージを受ければトリオンが漏出するだけだ。だが、この痛みは、脳そのものが直接、内側から破壊されているかのような、生々しい、本物の痛みだった。
「出水……」
仲間の名前を呟く。そうしていなければ、自分の存在がこの静寂に溶けて消えてしまいそうだった。
米屋は、ふらつく足取りで再び立ち上がり、自分の部屋へと歩き始めた。
どこに行っても誰もいないのなら、せめて、一番落ち着くあの場所で、世界の終わりを待とうと思ったのだ。
「くそっ、頭が割れそうだ……」
米屋陽介は、自室のベッドに倒れ込み、激しい頭痛に耐えながらこめかみを押さえた。
いつからか、耳の奥で無機質な電子音が鳴り続けている。トリオン体のはずなのに、体の芯が泥のように重い。換装を解除して生身に戻っても、腹も減らなければ、爪も伸びない。時間が、この部屋の、この街のすべてが、自分を閉じ込めたまま腐敗していくような錯覚に陥る。
「……出水、お前なら、こういう時どうするよ」
天井を見上げ、ぽつりと呟く。
現実の時間が進んでいるのなら、今日はもう9月1日だ。新学期が始まってしまう。みんなが自分を置いて、前へ進んでいく。近界に寝返ったなんて噂を流されて、そのまま忘れ去られていくのだろうか。
「——本当に、バカだな。お前は」
突如、部屋の入り口から声がした。
ドアが開く音も、気配もなかった。ただ、空間の隙間から染み出すように、聞き慣れた声が鼓膜を揺らしたのだ。
米屋は跳ね起きるように視線を向けた。
「……出水!?」
そこに立っていたのは、間違いなく出水公平だった。
いつも通り、少し着崩した制服。気だるげにポケットに突っ込まれた両手。だが、何かが決定的に違っていた。
出水の瞳には、いつもの飄々とした輝きが一切なかった。まるで、光を反射しないガラス玉のように、冷たく、酷く悲しそうな目で米谷を見つめている。
「お前……っ、どうやってここに来た!? 探したんだぞ、どこに行っても誰もいなくて——」
待ち望んだ相棒の姿に、米屋の胸に一気に熱いものが込み上げる。孤独の恐怖から解放された安堵で、考えるより先に体が動いた。ベッドを蹴り、出水に向かって駆け寄る。その距離が、あと一歩に迫った、その瞬間。
——視界が、爆発した。
ゴッ、という重鈍な衝撃が米屋の左頬を捉えた。
出水がポケットから右手を抜き、一切の手加減なしに、米屋の顔面を拳で殴りつけたのだ。
受け身も取れず、米屋は床に激しく転がった。
壁に背中を打ち付け、呆然と息を吐き出す。痛い。頭が狂いそうなほどの激痛が頬を走り、口の中に生臭い鉄の味が広がった。トリオン体なら、こんな生々しい痛みはしないはずだ。
「……いっ、てぇ……! なに、すんだよ……出水……っ!」
痛む頬を押さえ、荒い息を吐きながら親友を見上げる。
出水は殴った右手をだらりと下げ、倒れた米谷を冷たく見下ろしていた。その肩が、かすかに震えている。
「言っただろ、陽介。お前は本当にバカだ」
出水の声は、低く、どこか遠くから響いているようだった。
「なんでこんな、何もないところで立ち止まってんだよ」
「な、にを……」
「誰もいない、何の変化もない、終わらない世界。そんなところで、一人で何を守ろうとしてんだ」
出水が一步、足を進める。その足元から、自室のフローリングが、パラパラと灰のように崩れていくのが見えた。
「ここは、お前がいるべき世界じゃない」
出水の瞳から、すっと感情が消える。それは出水公平の形をした、米屋自身の命の底から湧き上がる拒絶の宣告だった。
「お前の帰る場所は、こんな冷たい箱庭じゃないだろ」
「待て、出水! お前、何を言ってい——」
「早く行け。新学期もう始まってんだよ」
ドン、と。
出水の左手が、米屋の胸を強く突き押した。
その瞬間、世界のすべてが反転した。
ガラガラと音を立てて、天井が, 壁が、出水の姿が、凄まじい速度で崩壊し、暗黒の底へと落ちていく。視界が真っ黒に染まり、米屋の体は、底のない奈落へと引きずり込まれていった。
「——がはっっっ……!!!」
激しく肺が空気を求め、米谷はベッドの上で上半身を跳ね上げた。
「ごほっ、けほっ……! はぁ、はぁ, はぁっ……!」
狂ったように脈打つ心臓。全身を突き刺すような、重く、悍ましいほどの本物の激痛。
視界が激しく明滅する。白く、無機質な部屋。漂う消毒液の匂い。耳元でうるさく鳴り響くのは、規則的なバイタルモニターの電子音。あの耳鳴りは、この機械の音だったのだ。
「……陽介……? 陽介!!」
視界の端から、誰かが飛び込んできた。
椅子を派手にひっくり返し、米屋の肩を掴んで覗き込んできたのは、赤く充血した目で、ひどくボロボロの顔をした——本物の出水公平だった。
「てめぇ……! 目が覚めたのか!? 医療班! 誰か呼んでこい、陽介が起きた!!」
出水が狂ったように叫んでいる。
米屋は、繋がれた何本もの医療用チューブの重みを感じながら、ゆっくりと自分の左頬に手を当てた。
そこには、包帯が巻かれていた。殴られた痛みではなく、三門市での突然の襲撃、あるいは新型トリオン兵の未知の攻撃を頭部に受けた、本物の負傷の跡。
「……出水……。つーか、お前、さっき俺のこと……殴ったろ……。超、痛ぇんだけど……」
「はあぁ!? 殴るわけねーだろバカ! お前、頭やられて、丸1週間意識戻らなかったんだぞ! 死ぬかと思ったんだぞ、てめぇ……っ!」
出水は怒鳴り散らしながら、乱暴に目元を拭った。
米屋の頭の中に、急速に本物の記憶が蘇ってくる。
そうだ。あの日、自分は境界付近で不意の強襲を受け、トリオン体が強制解除されるほどの深刻な頭部へのダメージを負ったのだ。現場が瓦礫に埋もれていたため発見が遅れ、それが「寝返り」などという最悪の噂を生む原因になっていた。出水が必死になって彼を捜索し、瓦礫の底から救い出し、本部の医務室まで付き添っていたのだ。
あの最初の「真っ白な空間」は、脳の機能がシャットダウンしかけていた瞬間の象徴。
そして、あの誰もいない三門市も、8月32日という日付も。
すべては、死の淵を彷徨っていた米屋の脳が、現実のショックや死への恐怖から自分を守るために作り出した、ただの精神世界に過ぎなかった。
そして、あの世界に現れて自分を殴り飛ばした出水は、米屋自身の「生きたい」という生存本能が、最も信頼する相棒の姿を借りて見せた、最後の安全装置だったのだ。
米谷はベッドの脇にあるデジタル時計に視線を向けた。
そこに表示されていたのは、赤く点滅する【9月1日】の文字。
(ああ、そうか……)
米屋は、包帯越しに痛む頭を抑え、いつものように不敵に、けれど少しだけ困ったように笑った。
あの日付のない白い世界から、あの8月32日から、自分をここまで引きずり戻してくれたのは。
間違いなく、自分の胸を突き飛ばした、あいつの拳だったのだ。
「わりぃ。……ただいま、出水」
「……おう。おかえり、陽介」
窓の外からは、いつもと変わらない、現実の三門市の眩しい朝の光が差し込んでいた。新しい日常が、今、確かに始まろうとしていた。