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そうしてようやくマフラーを編み終える頃には、もうクリスマスイブが数日後にも迫っていた。


……やがて12月24日から始まる三連休の朝が訪れて、彼の車で別荘に向かった。


標高が上がるにつれ、外気が段々と冷え込んでくる。高原へ続く山道を車で登り、懐かしい思い出のある別荘に辿り着いた──。


暖炉に火を入れて、部屋があったまるまでの間を寄り添い合う。


「こうしてると、すぐにあったかくなってくるみたい……」


腰に腕がまわされぎゅっと引き寄せられると、彼の身体の温もりが感じられた。


「ええ、本当に……君とこうしていると、あったかい」


もたせかけた頭が撫でられ、


「もっとそばに……」


首筋が腕に抱えられる。


赤々と燃える暖炉の火に仄かな橙色に照らされた彼の顔が近づいて、


「ん…」


柔らかくキスをされた。


「もっと暖まるよう、グリューワインでも飲みますか?」


「グリューワイン?」


「ホットワインのことです。ドイツなどのクリスマスマーケットではよく飲まれるんですよ」


「そうなんですね…」頷いて、クリスマスシーズンに行われるマーケットを想像していると、


「いつか、行ってみたいですよね?」


彼に言われて、本当に二人で行けたらいいなと思い、「はい…」と笑い返した。


キッチンへ立って行った彼が、手早くオレンジを輪切りにして赤ワインと煮詰めると、甘い柑橘系の匂いが部屋中に薫った。


「どうぞ、熱いので気をつけて」


渡されたマグを両手で包み込む。


カップにはシナモンスティックが添えられていて、微かにスパイシーな匂いが鼻先をくすぐった。


「……美味しい」


ふぅーっと湯気を吹いて一口を飲んだ。


「こうすると、きっともっと美味しい……」


唇が寄せられて口づけられると、


オレンジとシナモンの香りが彼の唇から伝わって、それだけで甘く酔いしれそうにもなった。

「責め恋」美形な医師は、サディスティックに迫る

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