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仁人は独り言が多い。
それはもう、メンバーにはもちろん、ファンの中でも有名なくらいには多いだろう。
楽屋でも、
「ねんむ……」
「ラーメン食いてえ〜」
「え、俺イヤホンどこやった」
とか、そこそこの声量でずっと喋ってる。
最初は本気で、おしゃべりすぎだろ、ラジオパーソナリティなれてよかったね。とか思っていた。
でも同棲してから気づいたことがある。
あいつ家だとほぼ喋らない。
独り言なんてなにも言わないし、普通の会話でも静かめな方だ。
本当に静か。
びっくりするくらい。
__________
ある日、そのことについて聞いてみることにした。
『仁人ってさ、家だと全然独り言言わないよな』
仁人は一瞬止まった。
「……そう?」
『うん。現場だとあんなにぺちゃくちゃ喋ってるのに』
じーっと返答を待っていたら明らかに目逸らした瞬間があった。
こいつなんかあんじゃねえか?
『は?おまえなに』
「別に」
『なんで?』
「なんでもないって」
完全にあるわ、やってるわこいつ。
俺はしつこい男だからな。
『なんで?』
「うるさい」
『じんちゃん教えてよ、ね?』
数秒沈黙して、観念したみたいにぽつりと呟く。
「……勇斗が」
『勇斗が?』
「他の人ばっか構うから」
一瞬意味がわからなかった。
『は?』
「いや!だってさ!」
恥ずかしいからか、クッションを抱えて顔半分隠しながら逆ギレしてくる仁人。
「舜太とずっと喋ってたりさ、太智いじったりさ。」
『仁人も入ってくりゃいいじゃん』
「あのさ、それはわかってんだけど」
だんだんとか細くなっていく声。柔太朗かて。
「……ちょっと、寂しいっていうか、その」
こいつやばすぎ可愛い俺の恋人可愛すぎる。
照れ隠しでめちゃくちゃ目掻いてるのも可愛い、目赤くなっちゃうよ。
『だから独り言言ってたの?』
「いや!あの独り言ってか」
普段からは考えられないくらいもにょもにょしゃべっている仁人。
「構ってくれるかなーって」
『……俺に?』
「他に誰が居んだよ」
あー、吹っ切れて可愛いこと言ってくるの反則すぎだよ!
つまるところ、
あの「ねんむ……」も、
「ラーメン食いてえ〜」も
「え、俺イヤホンどこやった」も、
全部、俺宛てだったということ……。
俺が他のメンバーと話してる横で、こっちを横目で見ながら結構な声量で言ってたあの独り言たち。
あれ全部俺に構ってほしくて言ってたんだ。
可愛すぎるだろ。
「うるさい」
思わず声に出てしまった。どこから声に出ていたんだろうか。
『いや、いやいや無理だって、かわいすぎ』
なんでそんな健気なことしてんの。
普通に話しかければいいのに。
「だってさ」
「勇斗、楽しそうだし、邪魔したくないし」
それは優しさで、同時に我慢させてしまっていたことに気づいた。
俺は無意識だった。
グループの空気を上手く回してるつもりでいた。
その横で、自分の恋人が構ってほしい気持ちでいっぱいだったとか、俺最低だ…。
『仁人、ごめん』
「え、は?なにが?」
『気づかなかった、俺仁人大切にしなきゃなのに』
俺が1番好きなのは、メンバーには申し訳ないが目の前のこいつだ。
なのに寂しい思いさせてしまっていた。
「……別にいいけど」
「返事くれるときもあったし」
『それで満足してたの?』
「ちょっとはね」
ちょっと、って。
それ絶対足りてないやつじゃん。
俺は隣に座り直す。
腕を引いて、抱き寄せる。
『次からは普通に呼べよ』
「無理」
『即答すんな!!ほら、はやちゃんー♡って』
「ごめんけど無理だわ」
『どう考えたって独り言のほうが恥ずいだろうが!』
「独り言はただの独り言だから」
正直意味はわからないが愛おしくてたまらない。
『俺さ』
「仁人が1人でぼそぼそ独り言言ってるの可愛くて好きだったんだよなー』
「は?」
『なんか、俺に向けてんだろうなって、ちょっと思ってた時もあったし』
「気づいてたの?」
『たまーにね、返事はしなかったけど』
「なんで返事しないの!」
『確信はなかったんだよね』
今思えば、あれらは全部サインだったんだと気づく。
寂しいって言えないから、
構ってって言えないから。
ねえの代わりの独り言。
『俺もっとちゃんと仁人のこと見るわ』
そう言って、額にキスする。
いつもだったらやめろ!って言われるのに今言わなかったのは、「ちゃんと見てろ!」の返事なのかもしれない。
『他のメンバーと喋ってても、仁人の独り言聞こえたら絶対反応してやっからな』
「気持ち悪いからいいですー」
『は?おまえが構ってほしいって言ってたからだろうが!』
全部可愛い。
その顔を見てまたそう思う。
俺、仁人のことほんとに好きだわ。
健気で、意地っ張りで、寂しいくせに強がって謎に独り言言い始める仁人のことが。
『次独り言言ったら、すぐ抱きつきにいくから』
「ガチでやめろ。」
『寂しかったんだろ?』
「……ちょっとだけ。」
ちょっと、じゃないくせに。
俺はぎゅっと抱きしめる。
『寂しいなら普通に言えって』
「勇斗が忙しいのが悪いから」
『おま、そんなん言って俺のせいかよ!』
「うん」
即答されてちょっと傷ついた…。
仕事ちょっとだけで減らしてもらおうかな、それか1日に詰め込んでオフの日をむりくり作ってもらおうかな。
笑いながらも、胸の奥が温かい。
俺にだけ向けたサインはもう取りこぼさない。
というかそんなサインもう出させなようにしようと思う。
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Xやってます!!!!
@otaku_chan_3154
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誰でも!(時間だったらここ消します)
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