芽詩「────受け取れる賞はそれだけなのに。」
芽詩「まだ、まだできる…?」
芽詩「劣等しかない私に何ができる?」
芽詩「手も足も出ないよそんなの。」
芽詩「気がついたらこんなんだし。」
芽詩「天涯孤独。天涯孤独だよ。」
芽詩「ゴミみたいなんだよ所詮私は」
芽詩「目もついてないんだ。幻覚だよ。」
芽詩「ん…っ゛ぁぁぁ…!!!」
芽詩「何もできないね…っ」
芽詩「最期まで、何一つ貢献できなかった。」
芽詩「いい加減、ってとこだね。」
芽詩「……あぁぁぁぁっ…!!!」
芽詩「生まれてきてごめんなさい」
「シアちゃん!!!!」
大きい声が広間に響く。
…普通に迷惑だなぁ…()
「シアちゃんはやめて…」
「ん〜…じゃあなんて呼べばいいの…」
首を傾げて悩むポーズをする。
…わざとらしく。
「普通にシアルでいいから。」
「変なの…あ、ロケットランチャーでも作る?」
本棚から本を取り出す。
…あんな子だけど、実は頭脳派かなぁ
「…いや、パワーワードすぎる」
「だってあっちに科学偏差値90いるもん…」
むすーっと、「敵わない相手」っていうのが分かる顔。
…いや、会ったことあるの?ガセじゃなくて?
「へー…やば」
「顔が良ければすべてよし」
「いや駄目」
「───あ〜ね、コンテスト?」
持っている本をペラペラとめくりながら話す。
…果たして読めているのか。
「そう。私があそこを出ていく頃だったんだけど」
「なんだっけなぁ…詩?」
「詩〜?」
「年に一回開催されるやつなんだけどさ。」
「…んー、まだ雪が降ってた頃かなぁ。」
「私にはね。身内がいて」
「親はずっと前にいなくなってさ。」
「その…妹…っていうよね。」
「その人といてたんだけどさ。」
「…出ていっちゃって。」
「当たり前かもしれないけど。」
「…当たり前なんてないんだよ。」
「当たり前じゃなくて、必然。」
本をぱたりと閉じると、すっと静かになる。
「…でもさ、そのコンテストにいたんだ。」
「数ヶ月ぶり、だよ」
「でも変わっちゃった。」
「優しそうで淡い白色の髪をした男の子。」
「…確か赤も見えたかな」
「瞳は赤くて怖いほどだったけど。」
「…へぇ〜…」
興味をそそられたのか、目を見てくる。
「…私、ほんっと許せないよ。」
「殺人鬼が妹といるなんて。」
「…ほぉ〜…」
「じゃあ、いいこと教えてあげるよ!」
ニコッと笑うと、顔を近づけてくる。
…飲みこぼした紅茶みたいだね。
「…何?」
「その子は今も生きてるよ。」
「…」
「今もふたりはいっしょだよ。」
「固くなった紐をキミがほどいてあげればいい。」
「こわ〜いこわい、殺人鬼だしね〜」
グシャンッ
「っ──!?」
私が持っていた” 仕事 “の領収書をぐしゃぐしゃに破かれる。
「いってきなよ」
「え、そんな…」
「いいからいいから。」
「ボクに任せて♪」
「…っ、えぇ…」
「はいはい!!」
背中を押されて外に放り出される。
「うわっ…」
「ばいば〜い」
「はぁ……分かったよ〜…」
「あはは、ありがとう。」
「……」
「逝ってらっしゃい」
to be Continued。
コメント
8件
うん…白い髪と赤い瞳は…ね…確定よね… というか芽詩さん…かな?誰と話してんだ…?
白い髪で赤い瞳は多分ラヴさん… マチガッテナイハズ…(?)
続きが気になりすぎる() 白い髪で赤い瞳…もしかしなくても((