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出久「カリキュラムは僕のハッキングで盗んである。それによると1週間後の午後のヒーロー基礎学で校舎から遠く離れたUSJで1年A組の授業が行われる。担当教師は13号にイレイザーヘッド、そしてオールマイト」
黒霧「校舎から離れたUSJで襲撃を起こすことで他のヒーローからの応援を遮断、私は生徒を散らして連携を断つ。」
死柄木「俺が集めてきたチンピラで生徒と他の教師を足止めし、脳無をオールマイトにぶつける。そうだな…生徒が何人か死んでオールマイトもお陀仏になってくれたら最高なんだが。」
出久「学生とはいえ優秀な金の卵。そう簡単にチンピラにやられるとは思わない。それとオールマイトを今殺すことには僕は反対だ」
死柄木「なんでだ?出久の言う通りオールマイトは6年前の先生との闘いで弱っている。あいつには早めに退場してもらった方が今後の計画が上手く進む。」
出久「確かにそれはそうだけどそれ以前に僕は脳無でオールマイトが倒せる可能性は低いと見ている。目標は低く見積もっておくのに越したことはない、今回の僕らの目的はあくまでヴィラン連合の名前を世に広めることと雄英の信頼をそぎ落とすこと。オールマイトを亡き者にする機会はいくらでもあるし、今は世論もオールマイトの味方をしている。ここからじっくりとヒーローへの信頼を削って世論が僕らの方へ傾いた時に殺してでも遅くはない。」
死柄木「なるほどなぁ。ここで下手に出てヒーロー共に捕まるよりはマシか。まあでもオールマイトを殺す未来に変わりは無い。出久もオールマイトに何やら思うところがあるようだがこれだけは譲れねぇからな。オールマイトは俺の手によって殺す。」
死柄木が軽く緑谷を睨むが緑谷はひるまずに答える。
出久「構わないよ、僕はオールマイトの絶望した顔が見たいだけだから。」
黒霧「それでは緑谷出久。生徒の個性の詳細を教えてください。散らす時の参考にします。」
出久「了解。正直今日は体力測定だったから軽くしか分からなかったけど明日には初めてのヒーロー基礎学がある。そこで個性の詳細をまとめるから少し待ってて」
死柄木「大丈夫なのか。雄英体育祭もまだなのに1年生徒達の個性をわかった上で散らしたような戦略を取れば当然ヒーロー達は勘づくし情報の出処を探そうとする。入学してわずか数日の生徒たちの情報がバレてるとなればまず疑うのは内部の人間。お前が内通者だとバレる可能性があがるんじゃないか」
出久「ああ、それなら大丈夫だと思うよ」
黒霧「と言いますと?」
出久「きっと向こうが勝手に勘違いしてくれるから」
ふふふっと悪戯っぽく笑う出久に黒霧と死柄木は互いに顔を見合わせるが、出久のことだから何か考えがあるのだろうと思うことにした。
死柄木「お前も俺たち側として参加出来ないのが残念だぜ」
出久「今回ばかりは志村華としての僕が居ないとね。全力で何も知らないヒーロー候補生を演じるよ。」
死柄木「もちろん集めたチンピラ共にもお前のことは伝えねぇ。間違って殺されたりするなよ?」
出久「弔くんてば!僕を誰だと思ってるのさ!」
死柄木に1発入れようとした緑谷を死柄木は五指で触れないように軽くいなす。この光景も最早見慣れたものであった。
黒霧「おふたりとも仲がいいですね」
死柄木、出久「あ??」
黒霧「すいません、冗談です」
次の日、緑谷はヒーロー基礎学で生徒全員の個性をしっかりと目に焼き付けていた。(もちろん試合は試合なので対戦相手になった爆豪のプライドはへし折ってきた。)アジトに帰ったらすぐ文字におこして黒霧さんに渡さなきゃななどと考えながら廊下を歩いていると
爆豪「おい」
突然後ろから声をかけられた。
出久「!!君は…爆豪君だよね?何か用?」
彼は自分から率先してA組の面々に声をかけるような人間では無い。今日の対戦でボコボコにしてしまったことでキレられるかと一瞬考えたが彼が発した言葉は予想外のことだった。
爆豪「お前…俺に前会ったことねぇか?」
出久「…??なんのことかな?君とはつい先日初めて会ったと思うんだけど」
爆豪「…..アテがないならいい」
そういうと爆豪は後ろを向いて去ろうとした。
出久(心の声)『かっちゃんがわざわざ声をかけてくるなんて…まさかとは思うけど緑谷出久としての僕を覚えている?少し探ってみるか』
出久「僕、君の知り合いと似ていたりしてたのかな?」
さりげない質問をかける。
爆豪「…昔近所に住んでたヤツと雰囲気が似てると思っただけだ。」
出久「幼馴染??」
爆豪「そんなもんじゃねぇ。…これ以上話す義理もねぇよ。」
そういうと今度こそ爆豪は元来た廊下を歩いて去っていった。
出久「そっか。じゃあまた明日ね。爆豪君」
本当に深い意味はなく聞いてきたのかもしれないが志村=緑谷出久とバレるのは絶対にあってはならない。
出久(心の声)『勘が鋭いな…まあでもいくらそう思ったところで僕の偽造工作は完璧だから意味無いけど』
以後の言動に一層気をつけようと緑谷は思うのだった。
帰り道、爆豪勝己は考えていた。
昔近所に住んでいた1人の女の子のことを。
無個性のデクの坊だったが、人一倍正義感がある優しい女の子だった。
その幼馴染は母親と2人で暮らしていたがある時母親が事件に巻き込まれて死んだ後、児童養護施設に引き取られた。お別れを言う間もなかった。そしてそこから数ヶ月もしないうちに失踪したことをニュースで知った。当時は毎日のようにニュースに流れていたが1ヶ月も経つとその規模もどんどん小さくなり、ついには警察の捜査も打ち切られた。まだどこかにいるかもしれない、ヴィランに誘拐でもされて怖い思いをしているかもしれないのに無個性で身よりもない、全く手がかりのない少女の捜索をあっさり打ち切った警察に失望した。
今でも時間の空いた時間には彼女を探しに行く。
自分の個性をすごいすごい!と目を輝かせながら話しかけてくるその顔。自分のことは二の次で周りを助けるその行動力。頭からずっと離れなかった。
出久『かっちゃんは僕のヒーローだよ!』
まだ何も出来ないガキだった自分にヒーローだと言ってくれた幼馴染。自分の個性が発現してからは彼女のことを無個性だと馬鹿にして遠ざけていたが本当は怖かったのだ。
もし彼女が個性を持っていたら誰にでも救いの手を差し伸べる誰よりも素晴らしいヒーローになると分かっていたからだ。自分なんか足元に及ばないような、そんなヒーローに。
誰よりもヒーローにふさわしい人間だった。
何かが違えば今日のヒーロー基礎学の授業で自分と対戦していたのは緑谷だったのかもしれない。
出久『かっちゃん!!』
志村『爆豪くん?』
爆豪(心の声)『あの志村とかいう女を初めて見た時何故かあいつの姿と重なった。あいつとは名前も髪も瞳の色も個性も何もかも違げぇっつうのに。それにあいつは俺の事を苗字で呼んだりしねぇ。ほんっとにどこにいるんだよ…出久…』
1週間後
死柄木「おはよう、出久、もう学校か?」
出久「おはよう、弔くん、そうだよ」
死柄木「じゃあまた後でな」
出久「うん、また後で」
互いに意味深な笑みを浮かべる。今日という長い一日が始まったのだ。
麗日「おはよう〜!華ちゃん!」
飯田「おはよう志村くん!5分前行動だ!急いで教室へ!」
出久「2人ともおはよう!!飯田くん早速委員長してるね!」
飯田「当然だ!君から託された委員長の職務、全力で全うする!」
出久「うん!僕なんかより君の方がずっと委員長にふさわしいよ!(委員長なんて仕事してたら雄英内で動きづらくなるから丁度任せられる人がいて良かったよ、それにしてもあのクラス投票で2票なんて誰が入れたんだろう…僕は飯田くんに入れたのに……)」
麗日「今日のヒーロー基礎学って何するか2人は知ってる?」
飯田「うむ!先生は昨日、災害救助演習だと仰っていたぞ!」
麗日「救助訓練か〜ドキドキするな。楽しみだね!華ちゃん!」
出久「うん!とっても楽しみだよ…..((ニコ」
死柄木「お前ら、よく聞け。俺達は今日雄英高校に侵入する。目的は俺達ヴィラン連合の名前をヒーロー共に知らしめ、雄英ひいてはヒーローの信頼を失墜させることだ」
チンピラ「マジかよ」
チンピラ「雄英に入るだなんてぶっ飛んでるぜ!」
チンピラ「存分に暴れられるな」
チンピラ「ヒーローの卵とはいえまだ学生。遊び甲斐がありそうだぜ」
死柄木「お前らの中にもこの超人社会に不満を持っているやつが大勢いるだろう。今日の計画はその超人社会をぶっ壊す第1歩だ。今まで日陰でコソコソ生きていた俺達がこの社会に大きな影響を与えることになる。存分に暴れろ!!!」
チンピラ「おおおおおおおお!!!!!!」
死柄木「あ、そうそう。学生とはいえヒーローの卵。年齢じゃなくて個性で判断しろ。ガキ1人殺すごとにギャラを弾ませてやる。」
雄英敷地内、USJ
13号「それでは救助演習を始める前に注意事項を…」
あと10秒
5
4
3
2
1
0
死柄木、出久「ゲームスタートだ」
相澤「全員ひとかたまりになって動くな!!あれは…ヴィランだ!!」
黒霧「13号とイレイザーヘッドですか。本来ならオールマイトがいるはずですが…」
死柄木「なんだよ、大衆引き連れてやってきたというのに…まさかあいつ…」
黒霧と死柄木は驚いた。ワープを抜けて雄英に着いたのはいいが肝心のオールマイトがいないのである。
黒霧「何か予期せぬ手違いがあったようですね」
死柄木「まあいい、子供を殺せば来るかな…」
相澤「こちらのことはバレてるというわけか!!13号!生徒を頼んだ!」
イレイザーヘッドが階段を飛び降りながらヴィランの集団へ突っ込んでいった。
チンピラ「ヒーローが来たぞ!」
チンピラ「ぶっ飛ばしてやる!!」
威勢よくイレイザーヘッドを襲おうとするヴィラン達。だが。
チンピラ「誰だあいつ!ぐは!!」
チンピラ「な!個性が使えねぇ!!」
相澤「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
前衛にいたチンピラたちはイレイザーヘッドの捕縛布によって次々となぎ倒されていった。
死柄木「イレイザーヘッド…思ったより厄介だな、有象無象じゃ歯が立たない」
死柄木(心の声)「てか…どーゆー事だよ…黒兎」
死柄木は静かに生徒の集団の中にいる緑谷を睨んだ
出久(心の声)「弔くん今僕の方睨んだよね怖い怖い怖い!だって仕方ないじゃないか!僕もここに来て初めてオールマイトがいないって知ったんだから!」
飯田「みんな早く!避難を!!」
黒霧「させませんよ」
黒霧「初めまして、我々はヴィラン連合。今回ヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」
黒霧「私の役目はこれ」
ズガーン!!!
黒霧に怯むことなく攻撃を仕掛ける生徒が2人。
切島「その前に俺たちにやられることは考えなかったのかよ!」
爆豪「ふん!クソヴィランが!」
黒霧「危ない危ない、学生とはいえ優秀な金の卵」
黒霧「散らして…嬲り殺す!」
黒霧が身体中のモヤを放出したかと思うとそのモヤは生徒を一気に呑みこんだ。
生徒「!?なんだこれ!!うわあああああああ!!」
ー黒霧の霧の中ー
黒霧「黒兎、どういうことですか?」
予定通り黒霧の霧に吸い込まれ、飛ばされると思っていた出久だったが、唐突に霧の中で黒霧に話しかけられた。
出久「黒霧さん!それ今話すことですか!?」
黒霧「問題ありません。ここは周囲には見えていません。」
出久「…僕もここに来て初めて知りました。イレイザーと13号が僕らに隠れて話していた様子からしてオールマイトは午前中で活動限界時間を超えてしまったようです。オールマイトが午前中に何件も事件を解決したというのはネットニュースになっていましたし間違いないかと。」
黒霧「どうしましょうか…」
出久「生徒を1人逃がしてください」
黒霧「はい?」
出久「これから生徒を1人連絡係に選ぶはずです。プロヒーローが生徒を置いて助けを呼びに行くわけがありませんから、飯田くん辺りかと」
黒霧「そんなことすれば他のプローヒーロー達も駆けつけます。わざわざ校舎から離れたUSJで襲った意味が!」
出久「大丈夫です。遅かれ早かれヴィラン襲撃が外部に知られればオールマイトは真っ先に駆けつける。オールマイトのスピードなら直線距離を飛んでここまで3分といったところですか。本来ならバスで20分かかる道のりです」
黒霧「オールマイト到着からプロヒーロー到着までの差で勝負をつけると…??」
出久「はい、殺せるとは思いませんが怪我くらいなら負わせられるでしょう。」
黒霧「承知しました。」
出久「ではそれ以外は作戦通りに。僕を飛ばして」
その頃
13号「委員長!!君に託します!ヒーローを呼びに行ってください!」
飯田「13号先生!しかし!それではみんなが!」
13号「ここを出れば警報器があります!君の個性を人を救うために使ってください!!」
飯田「…..!!分かりました!」
砂糖「俺達もサポートする!」
障子「行け!委員長!」
黒霧「敵前で作戦を話す馬鹿がどこにいるんですか」
13号「バレても問題ないから言ったんでしょう!!」
飯田「レシプロバースト!」
加速を始める飯田。
黒霧「させない!!」
立ち塞がる黒霧。
麗日「モヤで隠してるけどこんなん来てるってことは本体があるって事やろ!!」
麗日が一瞬の隙をついて黒霧の懐に入り込むと黒霧のベストに触れる。
黒霧「な!触られた!!」
黒霧の体が宙に浮き上がる。飯田を遮るものは無くなった。
麗日「飯田くん!いけぇぇぇぇ!!!」
飯田「うおおお!!みんな!待っててくれ!!」
ゲートを通り抜けるとあっという間に飯田は見えなくなった。
黒霧(心の声)『黒兎、言った通りにしましたよ。本当に上手くいくんですね…!!?』
出久に言われた通りにしたとはいえこれで本当に良かったのだろうかと黒霧は思うのだった。
一方出久は黒霧によって飛ばされていた。
出久「おおっと!!ここは…土砂ゾーン??確か飛ばされていたのは…轟くんだったかな?」
轟「…お前!どけ!」
出久「わわ??」
着地する間もなく轟が広範囲に氷結を放つ
僕はそれを土砂の山に乗り移りながら避ける
そんな時でも出久は分析を欠かさない。
出久(心の声)「わわ!凄まじい広範囲攻撃…うーんでも強力な個性だけど荒削りだなぁ…」
ヴィラン達がどんどん凍っていく。
出久「ちょっと、僕まで凍ってしまうところだったじゃないか!」
轟「結果的にヴィランを一網打尽にできたんだからいいだろ。それに今までのお前の身のこなしを授業で見ていたがこれくらい避けられると判断した。にしてもこいつら俺たちの足止め用の駒ってところだな。個性持て余してるチンピラにしか見えねぇ。おい、そこのお前。オールマイトを殺せるって算段があると見たがそれが何か教えろ」
出久(心の声)『状況判断に長けてるね、さすがナンバーツーの息子。彼はすぐに駒なんて蹴散らすと予想してたから門から1番遠い土砂ゾーンに飛ばしたというのに。これじゃあ意味ないね』
轟「おい、お前志村だったよな。早くエントランス行くぞ、先生に加勢だ。」
出久「うん、わかった。」
轟をエントランスに近づけるのは気が向かないがここで誤魔化せば怪しくなる。ここは素直に轟に従うことにした。
黒霧「死柄木弔、申し訳ありません。1人逃がしました」
死柄木「はぁ?おい黒霧お前がワープじゃなかった塵にしてるぞ?丁度今脳無でイレイザーヘッドを粉々にしてたのに。これじゃあヒーローを大勢呼ばれてゲームオーバーだ。」
死柄木の足元には脳無にねじ伏せられる相澤が居た。
相澤「うっ…」
黒霧(小声)「しかしこれは黒兎の案でして」
死柄木(小声)「あ?何考えてるあいつ」
黒霧(小声)「とにかく従いましょう」
死柄木「しょうがねぇなぁ、じゃあその前に生徒何人か殺しとくか…」
死柄木は頭をポリポリと搔くとゲート近くの生徒達に突進した。
麗日「こっちにくる!」
13号「させない!」
13号がブラックホールを開く。しかし…
黒霧「憐れ、自分自身をチリにしてしまうとは」
麗日「先生!」
黒霧がワープゲートを13号の指先と背中に開いたことで13号は自分自身をチリにしてしまった。
その間に死柄木は一気に距離を詰めていた。
死柄木が麗日の顔に手をかける。
麗日「…!!」
芦戸「麗日ぁぁ!」
麗日の顔に死柄木が触れる…しかし麗日は崩壊しない。個性が発動しなかった。
死柄木「………!!個性が発動しない…ああ、なるほど…ほんっとかっこいいぜイレイザーヘッド」
相澤「…!!」
脳無にひねり潰されたはずの相澤が辛うじて死柄木を見ていた。だがまた脳無に頭を地面に打ち付けられる。
ガン!!!
相澤「ガハッ!!」
死柄木「次は確実に殺す」
死柄木が再び生徒の方へ振り返る。
ばあああああああああん!!
死柄木「………!!!」
しかしその瞬間凄まじい音がしてエントランスの門が吹き飛んだ。
そこに立っていたのは
オールマイト「もう大丈夫!私が来た!」
芦戸「オールマイト!!」
A組の面々に安堵の表情が広がる。
オールマイト「覚悟しろ!ヴィラン!」
死柄木「来たか…社会のゴミ!!」
待ちわびたラスボスの登場だ。
と思ったのもつかの間。
オールマイト「スマッシュ!!」
死柄木「!?」
麗日「!?」
その一瞬でオールマイトは死柄木に囚われていた麗日を救い出しすれ違いざまに死柄木に一発お見舞いした。
死柄木「ガハ!…チートが……!!」
オールマイト「終わりだ!ヴィラン!」
死柄木「チッ!来い!脳無!」
次の瞬間死柄木の命令を受けた脳無がオールマイトに殴りかかった
オールマイト「!?なんだこれは!SMASH!……な!!効いていない!?」
脳無に拳をふるうオールマイトだったが脳無には全くダメージがなかった。
死柄木「お前専用改造人間!超回復と衝撃吸収の個性持ちだ!」
オールマイト「なんだと!!」
オールマイトは何発も脳無に拳を打ち込む。が全くダメージが与えられない。
オールマイト「む!!攻撃が通用しない!それに中々いいパンチを繰り出すな!」
轟「見えた!エントランスだ!」
その頃、土砂エリアに飛ばされていた轟と出久がエントランスに戻ってきていた
轟「なんだ!!あの化け物は!」
出久(心の声)『やはりオールマイトただ1人!!他のヒーローをおいて単身乗り込んできたみたいだ!作戦通り!このままオールマイトにダメージを加えられれば!
』
轟「志村!オールマイトを助けるぞ!」
死柄木「させない…」
オールマイトの相手は脳無に任せた死柄木が突如轟の前に立ち塞がった
轟「!?」
轟は氷結を放つが……
死柄木「ああ、無駄無駄…全部チリにしちまうから…それに炎は使えないんだろう??轟焦凍くん?」
轟「チッ!」
死柄木「ほらよ、チリになれ」
死柄木は氷結を一瞬でチリに変えると素早く轟の間合いに潜り込みその手を伸ばしてきた。
轟(心の声)「こいつの個性はおそらく触れたものをチリにするとかだろう…触れられたら不味い!!」
出久「轟くん!!」
間一髪、出久が轟を後ろから引き倒し死柄木の手を躱す。
轟「志村!」
出久「轟くん!ここは僕に任せて君はオールマイトの元へ!」
轟「…ああ、わかった」
出久「ヴィラン!僕が相手だ!」
出久と死柄木の戦いが始まった
死柄木「おいおい、出久、中々いい演技するじゃねぇか」
ドカッボカッ!!
出久「まあね、弔くんも中々様になってたよ。ヴィランっぽかった。」
ガアン!!
死柄木「そいつは光栄だな、ところで生徒1人逃がすなんて何考えてやがる」
バキ!!
出久「どうせ遅かれ早かれヒーローは駆けつけるんだ。オールマイトは確実にいの一番にここに単身駆けつけるに決まってるんだからおびき出した方が早いでしょ」
ダン!!
…と周りには聞こえない位の声量で堂々と作戦会議をこなす2人だった。
麗日「華ちゃんすごい…ヴィランと対等に渡り合ってる…」
オールマイト「志村少女があのヴィランを抑えてくれている!今のうちに!」
黒霧「おやおや、どうやって倒すおつもりで?」
オールマイト「お前たちはさっき個性を衝撃無効ではなく衝撃吸収と言ったな。なら!!その限度ってのがあるんじゃないか??」
オールマイト「ふん!!!」
ドドドドド!!!
オールマイトが怒涛の勢いで拳をふるう。
早すぎて拳の残像が見えるほどだ。
オールマイト「はあああああああ!!!」
死柄木「嘘だろ!?」
オールマイト「ヴィランよ、こんな言葉を知っているか??さらに向こうへええええ!Plus ultra!!SMASH!!」
どぉぉおおおおおおん!!!
オールマイトに何百発ものパンチを受けた挙句、渾身の一撃をくらった脳無はUSJの壁を突き抜けて空の彼方へ飛んで行った
死柄木「なっ…俺の脳無を!!」
麗日「オールマイト!!!すごい!」
轟「やったか!!」
ヒーロー科の面々に歓喜の声があがる。
オールマイトがゆっくり振り返る。
オールマイト「あとはお前だけだ!!」
そしてオールマイトが死柄木と黒霧に向かって指をさす。
オールマイト(心の声)『というのは建前で本当は活動限界ギリギリ…!!ここで立ち去ってくれ!』
既にオールマイトからはトゥルーフォームに戻る蒸気がたちこめていた。
出久「そうだ!観念するんだ!ヴィラン!」
ここぞとばかりにヒーローっぽいセリフを吐く出久。
死柄木(心の声)『おい!黒兎お前、絶対今のセリフは面白がって言ってるだろ…!!』
黒霧(心の声)『黒兎…遊んでいますね…』
だがここで死柄木は気づいた。
死柄木(心の声)『土埃に混じっているがあの蒸気みたいなもの…あれは確かオールマイトがトゥルーフォームに戻る時にでるものじゃないか…??やっぱり活動限界か…オールマイトに大怪我はおわせられなかったがあと少しおせば、オールマイトの真の姿を!弱りきった姿を世に晒せる…!!』
黒霧「死柄木弔!」
そう確信した死柄木はオールマイトに向かって走り始めた
オールマイト「マジかよ!来るのか!」
バンバンバン!!
死柄木「!?」
オールマイトに突進する死柄木の腕と脚にライフル弾が貫通した。ようやくプロヒーロー達がUSJに応援にきたのだ。USJのエントランスにプローヒーローたちの影が現れる。
飯田「1年A組飯田天哉ただいま戻りました!!」
根津校長「待たせたのさ!!」
ミッドナイト「遅くなったわね!」
プレゼントマイク「イエアアアア!!!!」
ここまでプロヒーローに集結されれば2人に勝ち目はない。
黒霧「死柄木弔!今度こそ撤退しますよ!」
黒霧がワープゲートを広げる
死柄木「痛ってぇ…覚えてろよ…オールマイト…お前は俺が俺の手で殺す!!!」
スナイプ先生「待て!」
死柄木は捨て台詞を吐くと直ぐに黒霧のモヤの中に消えていった。そしてそのモヤもあっという間に霧散してしまい最初から何も無かったかのように消えてしまった。
エクトプラズム「モウニゲラレタヨウダ」
ミッドナイト「一先ず……危機は去ったということでいいのかしら……」
根津「他の生徒の救出に向かうのさ!」
プロヒーロー達による救助活動が始まった。遠くからサイレンの音も聞こえてくる。警察も到着したようだ。
出久(心の声)『オールマイトに致命的なダメージは加えられなかった……けどこれだけ大規模な襲撃を受けたら雄英は今回のことを公表せざるを得なくなる。雄英の信用問題が取り沙汰される上にヴィラン連合の名前も広まるはずだ。あとは散らしたA組生徒達……個性との相性最悪の場所に送り込んだけどどうなったかな。もしかしたら1人くらい殺されちゃってるかもなーんて……。』
オールマイトによりヴィランは撤退を余儀なくされた。
一見ヒーロー側の勝利に見えるが、ヴィラン連合にとっては当初の目的を果たすことができたと言える。しかしこれは始まりに過ぎなかった。この襲撃が本当にヒーロー側の勝利だったのか真偽が問われるのはもっとずっと先の話になるのだった……
その後警察から塚内警部も到着し被害状況の確認、事情聴取などが行われ、雄英高校では緊急の会議が開かれた。
塚内警部「まずは被害状況から。オールマイト氏は怪我が酷いですがリカバリーガールの元で療養すれば数日で回復するそうです。13号も裂傷が酷いですが命に別状はありません。ただイレイザーヘッドは頭部骨折、腕の複雑骨折など直ったとしても後遺症が残る可能性もあるとのことです。」
ミッドナイト「あの脳無とかいうヴィランによるものだそうね。というかあのヴィラン、オールマイトに吹っ飛ばされたらしいけどその後見つからなかったんですって?」
塚内「はい。いくら探しても見つかりませんでした。自力で逃げたか、ヴィラン連合の黒霧と呼ばれたヴィランの個性によるものか……」
根津「USJに取り残されたヴィラン達も捨て駒だったようで大した情報は持っていなかった。有力な情報源はないということさ。」
塚内「その事ですが、その黒霧と死柄木と呼ばれた2人の個性を検索にかけてみましたがヒットはありませんでした。戸籍を持たない裏の人間です。」
エクトプラズム「ソノコトモ、ジュウヨウダガ、イマワレワレガ、ハナスベキコトハ、ホカニアルダロウ」
その言葉で会議に参加していた全員の顔が一層暗くなった。
塚内「そうですね……生徒への被害が今回1番我々が受け入れなければならない現実です。」
重傷者6人
軽傷者10人
無傷4人
塚内「無傷だったのは轟君、志村さん、爆豪くん、切島くんの4人でした。彼らはゲートから遠いエリアに飛ばされたのですがその場で会敵したヴィランにも冷静に対応出来たためほぼ無傷で済んだようです。」
プレゼントマイク「今までの実践の成績を見れば、轟、爆豪、志村は今年の1年の中でも頭1つ抜けてる印象があるな。そんな彼等をゲートから離したところに飛ばすことで脳無とかいうヴィランの邪魔をさせないようにしたってところか。」
塚内「軽傷者の10人もその場で個性を駆使して臨機応変にプロヒーローの到着まで耐えたようです。しかし……」
ミッドナイト「分かってるわ、重症だった6人のことでしょう……?」
塚内「はい、まず蛙水さんと常闇くん。彼らは2人とも火災ゾーンに飛ばされたのですが蛙水さんの個性、蛙は熱に弱く常闇くんも影の個性である以上光の強い火災ゾーンでは実力を十分に発揮出来ず……次に上鳴君と葉隠さん。彼らは水難ゾーンに飛ばされ、上鳴君は葉隠さんがいる以上、感電の危険のある水の中で個性を上手く扱うことが出来ず、葉隠さんは透明の個性を持っていますが水の中にいる以上、姿は見えずとも水の中ではそのシルエットが浮き彫りになってしまいヴィランの襲撃にあってしまったそうです。最後に耳郎さんと口田君。彼らは音に関係する個性であるため、音が全く届かない暴雨ゾーンでその個性を発揮することが出来ずヴィランの襲撃に……」
プレゼントマイク「とにかく!これだけは確かだ。今回の襲撃は雄英の情報が完全に漏れた上での計画的犯行だってな!」
ミッドナイト「本校舎から遠く離れたUSJでのカリキュラムにその授業にオールマイトが来ることも知っていたみたいね。」
スナイプ「何より、生徒の個性を把握した上で散らしている。」
プレゼントマイク「おいおいおい、こんなことは言いたくないが……居るんじゃねぇのか?ヴィラン共に情報を漏らした裏切り者ってやつがな。」
その一言で会議室に緊張が走る
ミッドナイト「ちょっと……マイク!」
プレゼントマイク「だってそうだろ!?そうじゃなきゃなんでこうもヴィランにしてやられてるんだ?」
スナイプ「気持ちは分かる。俺もその可能性を考えているからな。だがここで裏切り者探しは不毛だ。今の時点で誰も内通者じゃないってことを証明出来ないんだからな」
プレゼントマイク「っ!でもよ!」
根津「その事なんだが、少し考えていたことがあるのさ。」
塚内「といいますと?」
根津「確かに裏切り者が居るというのはもっともな可能性なのさ。ただ外部から情報を抜き取られたという可能性も我々は考慮すべきなのさ」
セメントス「そればっかりは有り得ません!雄英のセキュリティは万全でヴィランに突破できるものではありません!!」
他の面々も頷く。
だが根津校長は話を続ける
根津「先程雄英のデータサーバーを点検してみたんだが外から無理矢理アクセスしようとした痕跡を見つけたのさ。今回の襲撃がなければ見逃してしまうほど些細な痕跡だったがね……こんなことが可能なヴィランはただ1人。みんなは『黒兎』というヴィランを知っているかな?」
ミッドナイト「な!」
スナイプ「名前は聞いた事あるが……それは都市伝説とか陰謀論とかそういった類のものじゃ……」
根津「そうさ!ヴィラン名黒兎、個性不明、年齢性別不詳、ある時から突然裏社会に現れ、莫大な依頼料の代わりにどんな情報でも正確に提供する、まさに裏社会の情報屋というわけさ!さらに言えば黒兎に抜き取れない情報は無いとまで言われているのさ!」
名前は知っているが、存在してるとは思わない、そもそも知らない、単なる噂に過ぎない、と皆が口々に言う。
会議室がざわついた。
プレゼントマイク「そもそもそんなヴィランを警察やヒーロー公安委員会が公表していないんだからただの噂じゃねぇのか?どうなのよ、塚内警部」
会議室の面々の視線が塚内警部に集まる
塚内「確かに……黒兎というヴィランを見たものは居ない。」
プレゼントマイクがほら見ろといった顔をする。
塚内「だが、我々警察は確信を持って言う。黒兎というヴィランは実在すると……!!」
塚内警部は断固とした目そう言い切った。
根津「その根拠は?」
塚内「はい、ここ最近我々の捕まえたヴィランが取り調べ中に突然死を起こすという事案が発生しています。」
エクトプラズム「ソレガナニカ、カンケイアルノカ?」
塚内「それらのヴィランにはある共通点があります。1つはただのチンピラだったのにも関わらずここ数ヶ月で中規模程度の事件を何度も起こして我々の手を焼いていたこと。次に一部の金の動きが不明になっていること。最後に全員が何か言葉を口にしようとした瞬間、突然苦しみもがき死亡するということです。」
ミッドナイト「ただのチンピラだった奴らが突然犯罪を成功させるようになったということはそれは奴らに計画を持ちかけるブレイン的な存在が現れたということ、そして使い道の分からないお金はその計画を教えてもらう報酬といったところかしらね。その契約の代償として自分の名前を口にするものを殺害……黒兎はそういった類の個性持ちと考えられるかしら。」
スナイプ「結びつけようと思えば不可解な死亡事件を全て黒兎という存在すら分からないヴィランに結びつけることができるというわけか。」
塚内「ほとんどのヴィランがもがき苦しみ死に絶える中、ある1人のヴィランが確かに黒兎と発言し死に絶えたという報告も挙がっている。」
根津「そして相澤くんからこんな証言があったのさ」
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黒霧『しかしこれは黒兎の案でして』
死柄木『あ?何考えてるあいつ』
黒霧『とにかく従いましょう』
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根津「相澤くんが意識も絶え絶えになりながら聞いたヴィランの会話さ!」
セメントス「確かに黒兎とそういったのですね!?」
塚内「ここ最近、警察の動きが読まれているように感じる事件がいくつもある。我々も内通者の可能性を考え色々な策を講じてきたが効果はなかった。消去法のようなやり方にはなるが、何者かが外部から情報を抜き取っているとしか考えられないのだ。」
ミッドナイト「確かに黒兎というヴィランが存在している可能性は極めて高いかもしれません。」
プレゼントマイク「ま、全て状況証拠だけどな」
スナイプ「だとしたらなんでそんな裏社会一の情報屋ともいえる黒兎が名前も売れてない極小ヴィラン集団であるヴィラン連合に協力している?」
ブラドキング「自分の名前を警察に話そうとするヴィランを口封じしてまで徹底的に自身の存在を我々ヒーローから隠したがっている奴が不自然だな。」
根津「確かにそれは分からないのさ。ただ黒兎なりにヴィラン連合に何か将来性を感じたのか……しかし無名だったヴィラン連合がこのような事件を起こせたのは何か強力なブレーンが背後にいると考えるのが自然だとも思わないかい?」
塚内「我々は今後内通者と外部からの侵入両方の線から捜査を進めていくつもりです。」
根津「今日は一先ず解散なのさ!まずはメディア対応をしなければならないからね…」
会議は一旦終了した。会議に出席していたものが続々と席を立って退出していく。
その会議室から少し離れた部屋でうごめく人影が1つ。
出久「さて、僕も帰ろうっと」
そう緑谷出久こと黒兎は今までの会議を全て盗聴していた。
出久「ふふふ、耳郎さんの個性イヤホンジャック、こんなにも盗み聞きに使えるだなんて思ってなかったな〜」
出久の個性は個性創造。今度はクラスメイトの個性を模倣したのだ。
出久「思った通り根津校長は黒兎の存在に勘づいたようだし、しばらくは志村華という存在も疑われずにすみそうだ。」
出久が本気を出せば雄英のシステムに痕跡なんて1つも付けずに侵入できる。情報を売ったチンピラヴィラン達が警察に捕まる前に殺すこともできる、なんなら存在自体最初からなかったことにしてもいい。
それでもこれらは全て警察とヒーローに黒兎というヴィランの存在を勘づかせ、その偶像を追わせるため。
出久にとってみれば黒兎などという存在も自分の計画を遂行する上での役の1つでしかない。
いくらヒーロー達が調査を進めても黒兎=緑谷出久と気づかれることはないし、最悪の場合そんな役は捨ててしまっても構わない。
出久「いつまで笑っていられるかな…?ヒーロー」
出久は静かに雄英を去りアジトへ向かった。
翌日、雄英がヴィランに襲撃を受けたという発表が雄英自身から発表された。
ヴィランの侵入をゆるし、生徒に危害をおわせてしまった雄英を叩くメディアは多かった。
これは決定打ではない。しかし間違いなく雄英への信頼は少しずつであるが下がったのだった。
出久「雄英襲撃お疲れ様」
AFO「素晴らしかったよ、弔、出久、黒霧」
死柄木「おい、出久、俺の傷さっさと治せよ」
出久「いいけど、一気に治したら体への反動もでかくなるよ。しばらくは不自由だと思うけど我慢して」
死柄木「チェ」
ドクター「脳無も回収してくれたようじゃし、まぁ計画は成功なんじゃないのかい?」
黒霧「はい、出久が脳無に発信機をつけてくれたおかげで座標が分かり回収が出来ました。」
死柄木「生徒にも何人かダメージを負わせることが出来た。テレビも雄英を非難するニュースで溢れている。俺達の勝ちだな。」
出久「うん、ヴィラン連合の初仕事としては大成功だ。でもこれは始まりにすぎない」
死柄木「分かってる、これからだ、これから腐ったヒーロー社会をどたまからぶっ潰す計画が始まる。」
AFO「はははは、期待しているよ2人とも」
雄英襲撃を成功させたヴィラン連合。水面下で肥大し続ける悪意にヒーローが気づくのはまだ先である…
次回、体育祭&ステイン編
出久ちゃんの模倣個性一覧!
「水を出す個性」
「命令」
「約束」
「七変化」
「変貌」
「筋力増強」
「修復」
「イヤホンジャック」NEW!