〈岩本side〉
蓮が家を出て、
俺はどうすればいいのか分からなかった。
何も出来ず、
もどかしさを感じていた時、
携帯が鳴った。
翔太からのメールだった。
“目黒くんとちゃんと話し合え!
ふっかの事、好きなんだろ?
今度こそ幸せにしないと許さねぇから!”
岩 “翔太、、”
翔太なりの気遣いだろう。
メッセージを読んですぐ、
ドアがガチャリと音を立てて開いた。
目 “照、ごめんね。”
気まずそうな顔をした蓮が顔を出した。
岩 “いや……、俺の方こそごめん。”
蓮は俺の正面に立って、
真剣な目つきで話し始めた。
目 “照?
もしも、もしもね?
照が昇進するってなったら、
1番にその事を伝えたいのは誰?”
岩 “え、?”
目 “もし、照が体調を崩して、
誰かの助けが必要ってなったら、
1番最初に連絡するのは誰?”
岩 “……、”
俺が真っ先に思いついたのは紛れもなく、
ふっかだった。
目 “多分、俺じゃなくて、
深澤さんだよね。”
岩 “…うん、”
目 “……俺、ずっと信じたくなかった。
照が離れるのが怖くて、
現実と向き合う事、避けてた。
俺、最低だった。”
岩 “蓮は何も悪くねぇよ。
こんなことになったのは、
全部俺のせいなんだし。
本当にごめんな。”
目 “謝んないでよ。
良い奴になるのはしんどいって言うけど、
悪い奴になるのも疲れるんだよね。
だから、お互いのためにも、
もう終わりにしよっか。”
岩 “蓮……ごめん…。”
目 “謝んないでって、笑
俺たちは円満別れ、でしょ?
深澤さんのとこ、行ってあげな?”
岩 “……分かった。”
目 “今までありがとう、照。”
岩 “こちらこそ、ありがとう。”
俺はそう告げて家を飛び出した。
〈目黒side〉
深澤さんの元へ走っていく照を、
俺は薄暗い空の下で見届けていた、
渡 “あれ、解決した?”
目 “渡辺さん、、なんで、!?”
渡 “照の背中押してやろうと思って。
でも、その必要無かったみたいだな。”
目 “悪くないですね。
誰かの幸せを願うのも。”
渡 “だろ?
やっぱ、君は優しいんだよ。”
目 “……俺、頑張ります。
…渡辺さんを好きになれるように。”
渡 “はっ、?”
目 “悪くないと思いますよ?
振られた者同士、
傷を舐め合うのも。”
渡 “そう、かもな、笑”
〈渡辺side〉
さっきよりも明るくなった
目黒くんの表情に、
俺は嬉しくなった。
渡 “じゃ、
最後に背中押してやるか。”
目 “ですね、笑”
俺はふっかに電話をかけた。
深 “もしもし……大丈夫、?”
渡 “全然平気。
今、照がそっちに向かってる。”
深 “え、!?
なんで、、どういうこと、??”
渡 “あいつもやっと気づいたんだよ。
ふっかの事が好きだって。
お前ももう素直になれよ。
俺たちは、2人の事応援してるから。”
目 “そーですよーー!
せっかく別れたんだから、
思う存分幸せになってくださーい、笑”
深 “え、え、、?”
渡 “ふははっ、笑
とにかく、
幸せになれよな!!”
そう言って電話を切った。
〈深澤side〉
翔太と目黒さんからのいきなりの電話に、
俺は戸惑いが隠せなかった。
深 “2人、、なんで、、?”
2人に何があったのか、
そんなことを考えていると、
インターホンが鳴った。
ドアを開けると、
俺の大好きな香りが、
ふわっと漂ってきた。
深 “照、、”
照は部屋に入るやいなや、
俺を抱きしめた。
岩 “ずっとこうしたかった。
ふっかのことが好きだ。
お前のこと、幸せにしたい。
もう1回、俺と付き合ってください。”
俺は照を抱き返して言った。
深 “ずっと待ってたよ。
俺も照が好き。
こちらこそ、よろしくお願いします。”
俺たちは永遠を誓って、
目を瞑り、キスを交わした。
今までで1番、
幸せな瞬間だった。
〜終〜
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