jungkook side.
「落ち着いたか?」
「…はい。」
いやいや、落ち着けるわけないじゃん…
もう…意味わかんないって…
何かさ、腰のあたりがなんか変な感じだし…
「じゃあ、明日までの宿題な、このプリント35枚両面、全部解いておくこと。宿題してなかったら、どうなるかわかってんだよな?」
特大のウィンクをぶちかましてくる先生。
いやいや…35枚って…え、何?
「…鬼畜…スパルタ…殺す気ですか…?」
「いや、よく見てみろ、読解問題じゃないだろ、ただの簡単な基礎計算プリントだ。まぁ、1時間くらいあれば終わるから。あ、あと答えが違っていても、あれだから。あー、面倒くせー。」
…あれって…どれ?
でもまぁ、よからぬことだというのは分かる。
はぁ…。
「よし、時間だからとっとと下降りるぞ。残業をするほどのサービス精神は俺には欠片も無いからな。あー、早く帰りてー」
「……。」
早くしろと急かされ、階段を降りる。
そしてリビングに居た母さんが僕たちに気づく。
「お母さん!!少しだけお話させてもらってもよろしいでしょうか~?」
…え。
「勿論ですっ!!あのぅ、どうでした?グガは…」
「それがですね、基礎の計算で躓いているようで…ですから、僕が責任をもって、お子様を鍛えて差し上げましょう。」
「あら、本当ですか!!」
「勿論ですよ!!お子さんは一度基礎を定着させれば、絶対に伸びる子です!!確実に成績も伸びるでしょう!!そして、今月である程度基礎を定着させ、発展問題に移りながら、最終的には志望校に合格できるほどの学力定着を約束しましょう!!」
…えっとー…
誰だ…この人…
「お子さんは、頭が悪いのではありません!!今までの勉強方法、環境が悪かったのですよ、お母さん!!お子さんは、絶対に伸びます!!ですのでどうか僕に任せてください!!」
「ありがとうございますっ!!先生に頼んで正解でしたわ!!」
…一人称、”俺”から”僕”になってるし…
キャラ…作りすぎ…
何、さっきの”やる気ない面倒くさいだるい教師”から”熱血爽やか系教師”になってんだよ…
「グク君、明日から一緒に頑張ろうねっ!!」
「……。」
このテンション…逆に腹立つ…
「じゃあ、僕はそろそろおいとまします!!では、また明日!!」
「ありがとうございます~、本当にグガ、良かったわね~」
「…」
「あ、グガ、お使いにスーパー行くついでに先生をお見送りして差し上げて!!せっかくだし。」
「…え、いや…遠慮…」
「ほら、お使い内容はこのバッグの中に紙切れ入ってるから、先生のお見送りのついでに、ね!!」
「…嘘でしょ…」
「好きなお菓子好きなだけ買っていいから!!お財布に入ってるお金全部使ってもいいわよ!」
「行ってきます。」
…あーあ、高校生になってまでお菓子に誘惑されるなんて、情けない…
ガチャ。
お使いのバッグを渡され、玄関に押し出され、背後でドアが閉まった途端。
「あー、だりぃー…」
……だから、この徹底されている洗練されたキャラ変更は何なんですか!?
「あ、お前、口外禁止だから。」
「…何がですか?」
「授業内容。聞かれたら、数学の基礎練習を徹底されたって言え。」
「…はぁ、分かりました。」
先生の後ろをちょこちょこと歩いていると、突然先生が振り返る。
「おい、何でいつまでも付いてくんだよ…気持ちわるい、ストーカーか?」
「…誰が先生なんかをストーカーするんです?そんな悪趣味何て無いですよ。」
「じゃあ何で付いてくんだよ。」
「お使いですって。先生のお見送りのついでに行って来いって。」
「ああ、面倒くせぇ…」
「…はぁ。こっちの方が面倒くさいですって。」
「…お前、お使い行くのか?」
「はい。」
「この後、暇だよな?」
「…いえ、用事あります。」
「どうせ寝るとかそういう用事だろ。」
「…っっ…!!」
「図星だな。お前、暇だろ。」
「はぁ…暇人ですみませんでしたね。」
「じゃあ、買い物、付き添ってやる代わりに、その後で俺に付き合え。」
「嫌です。」
「あ”あ”?何でだよ?」
「嫌な予感がするんで。」
「…宿題増やすぞ。」
「…どこについていけばいいですか?」
…はぁ。
宿題で脅すとか…もう…だめじゃん、教師として。
とりあえず、面倒くさそうにため息をついている先生とスーパーに入り、流れに身を任せて何となくで先生にかごを持たせる。
「お前…今、ちゃっかりかご渡しただろ。」
「…何の事でしょう?」
「…面倒くせぇ…」
とりあえず、野菜コーナーから必要なものを先生のかごに放り投げていく。
…何か、さっきから先生がかごを後ろ膝にぶつけてくるんだけど…
はぁ。
リストに書かれていた野菜を全てかごに入れてから、お菓子売り場に行く。
好きなだけ買っていい、お財布に入ってるお金なら全部使っていいって言われたから、好きなのをどんどん入れていく。
どんだけ買うんだよって言う先生の声を無視しながら、ポイポイと好きなのを入れていく。
「おい、俺は筋トレをしに来てんのかよ!?」
見ると、先生の持っているかごには、大量のお菓子やらが。
重そう…
「じゃあ、会計行きましょ。」
「…お前、後で覚えてろ…」
後で覚えてろとか、ドラマとか漫画の世界でしか聞かないんですけど…
会計してから、袋を持ち、外に出ると。
「あ、グガ。ん、あ、ユンギ先生も!!」
「…あ、ソクジン先輩…」
丁度、通りかかった幼馴染であり、先輩でもあるジン先輩と出会う。
「…おう、ジンか。久しぶりだな。」
「ユンギ先生!!相変わらず、怠そうですね。」
あ、そっか、ジン先輩も確か、先生に習って、学年で10番以内の成績を取ったって誰か言ってたような…
「…ああ。お前、コイツと知り合いか?」
「ええ、グガとは幼馴染です。」
「…コイツの家は知ってんのか?」
「ええ、勿論、近所ですし。なんなら隣の家。」
「だよな。」
しばらく考え込む先生。
「ソクジナ、お前、暇だろ。」
「え、まぁ暇ですけど。」
「それなら、これをコイツん家まで届けろ。家にはコイツの母親が居るはずだから、インターホン鳴らしてその荷物を届ける事。」
「え?分かりました…」
「母親から、グガはどうしたの?と聞かれたら、んー、”家庭教師の先生と課外学習で数学を勉強してる”と言え。分かったか?」
「あ、はい。」
「じゃあな。勉強、頑張れよ。」
「はーい…」
先生は、お使いの商品が入った袋をジン先輩に預けると、僕を手招きした。
「…えっと、先生?」
「大丈夫だ、ジナは信頼できる。それより、早く行くぞ。」
「えっと…どこに?」
「さっき、約束しただろうが。後で付き合ってもらうと。」
「…あ。」
先生はにやりとほくそ笑んで、歩き始めた。
行く先、不安です。
≪ 次回予告 ≫
結構…アダルティ…?
はい。結構刺激的です。
18禁です。
ご注意を。
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