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「そのコトバを俺は知らない-reboot-」
attention
🦍社二次創作
軽度のグロテスクシーンあり
🍌メイン
完全リメイク作品(設定等変更多)
「Episode 1 少年」
俺はおんりー。歳は、確か今年で15。俺に愛情を注いでくれる両親はもう居ないし、気の許せる仲間も、穏やかに暮らす環境もない。
南北戦争は俺が4歳の頃に開戦し、以降激しい内戦が繰り広げられ、民間の人々にも多大な被害が生まれ続けている。
勿論戦災孤児も増える一方で、俺もその1人。
開戦まで穏やかな生活を営んでいた俺達家族。しかし、戦争の最前線となった結果、俺は北軍によって、なす術なく両親や家を奪われた。
唯一守ることができた俺の宝物がある。
それは、4歳の誕生日に父から貰った、上質な刃渡りの長いナイフ。
俺はナイフを机の引き出しから取り出し、悔しい思いを胸に家を後にし、そこから約5年間孤児として放浪する。
家を失ったのは4歳で、当時は身体や精神、頭脳等の全ての面において大人とあまりにも大きな差があった。
だから、ひたすら外で生き延びる方法を模索し続けた。
初めの方なんてのは死にそうになっていた。
なんせ家族に大切に育てられてきていたのに、唐突に一文無しかつ1人での暮らしを強制されたのだから。
今の目標は、両親を救い、戦争を終わらせる事。
戦争なんて大嫌いだ。俺は、大人が憎くて仕方がない。
「へぇ、あっちの軍は幼子までも利用するのか。悪趣味だね。」
大きな革張りの椅子に深く座っている金髪で筋肉質な身体を持つ男は笑みを浮かべた。
「…俺からしたら考えられない。」
そんな男の横に侍っている、サングラスをかけて何やら手元の端末を操作している男。
「ぼんさん、僕の部屋に入室するときはノック必須ですよ?」
その男の名は、ぼんじゅうると言う。
「まあまあ。」
相変わらずのらりくらりと躱されてしまう。
「…なんですかそれ。」
男が手元の端末を指差すと、ぼんじゅうるは端末を差し出し、こう続けた。
「おらふくんが貸してくれた。どうやら日本という国にはこんな娯楽があるらしいよ。」
受け取ったそれは、折りたたみ式の端末だった。
上側の小さな画面の中で絵が走っており、下側の部分のボタンで操作できるものだった。
「軍の”総帥”のドズルさんも、偶には息抜きしましょうよ〜」
彼は務めて明るい声を出し、ドズルを茶化すようにして労いの言葉をかけた。
「…戦争は刻一刻と変化するんですよ。敵軍は近頃総力戦に移行し始めています。悠長に遊んでいる場合じゃないんです。」
モニターを眺めるドズルは、少しやつれていて、目元にはくまができている。
そんなドズルを、長年の親友であり続けたぼんじゅうるは心配していた。
戦争が始まった10年前から、ドズルはおかしくなった。ぼんじゅうるは言葉にできないもどかしさを感じながら、何もできぬ日々を過ごしてきた。
「そろそろ持ち場に戻ったらどうです?menが可哀想ですよ。」
冷徹な男の瞳からは、温もりは感じられない。
いつも通りぼんじゅうるは引き下がり、
「へいへい。」
と腑抜けた返事を返し、その場から出ていく。
1人残されたドズルは、少しだけ感傷に浸った。そして、再びモニターに目を移し、書類を読み始めた。
俺は、人生で初の危機的状態に瀕していた。
「ねえ、ボク。名前なんていうん?」
少し変わった訛りと、この地域では見ない、白髪。そして、俺の記憶の中の海の様な群青色の瞳。まるで王子様のような青年だ。
俺は床に押し倒され、首元に銃を突きつけられていた。
「…おんりー。そっちは?」
「おらふくん。北軍の狙撃兵でーす。」
やはり敵だ。青年が身に纏う軍服には、北軍の紋章が縫い付けられている。
それにしても、俺に接近し、殺せる可能性がある敵は久々に見た。
「それで、君はなんでこんなに若いのに軍隊の隊員やってるの?」
「…親が居ないから。」
「あそぉ、それは災難やったなぁ。僕も友達がこっちで居なくなってしもたんよ。」
あまりにもこの場の緊迫感にそぐわない、のんびりとした喋り方。
殺さないと。ただその一心で、腰に括り付けていたケースから取り出したナイフで、青年の首を切ろうとする。
「…無駄だよ。」
首元に近づけたナイフは、玩具を扱うようにしていとも簡単に手で静止された。
「僕は絶対に死なない。あの子を見つけるまでは、死ねない。」
青年は、笑ってそう言った。
空が少しずつ暗くなっている。青年の髪色のような、真っ白な雪がはらはらと舞う。
「さ、もう夜だし、君は帰りな。」
青年は俺を子供のように扱う。
そしてそのまま自然体で立ち上がり、去って行った。
俺はその様子を呆然と見つめるしかなかった。
次回「Episode 2 一条の涙」
投稿日決めても間に合わないので、これからは不定期気まぐれ投稿に戻します。