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20
#sxxn
3e1
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#いるなつ
3e1
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「ひまちゃん、おはよ、」
翌日、人通りの少ない廊下で、すちが気まずそうに声をかけてきた。
「あぁ、おはよ。」
なつは視線を斜め下に逸らし、短く言葉を返した。心臓が嫌なリズムで跳ねる。
(最悪、こんな風になりたかったわけじゃないんだけど。)
すちは何も悪くない。
それなのに、自分の身勝手な嫉妬や苛立ちのせいで、二人の間に重苦しい壁を作ってしまったことを、なつは自覚していた。
(なんで俺、好きな奴にあんな顔させてんだ。)
握りしめたカバンの持ち手に力がこもった。
本当は今すぐ、昨日はごめん、という謝罪と一緒に、この胸を焦がすもどかしさのすべてを、彼にぶちまけてしまいたかった。
「……あの、ひまちゃん。」
「……?」
「俺――」
すちが言葉を繋ごうとした瞬間、予鈴が冷たく響き渡った。
「あ……予鈴。」
「そうだね。……また、後でにしよっか。」
急いで走り出す彼の背中を追うなつの視界が、一瞬だけ滲んだ。
歩みを進めるたび、残された彼の体温が遠くなっていく。
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昼休み。トイレから戻ったなつの目に、最悪な光景が飛び込んできた。
すちの席に、他クラスの女子が数人集まっている。
「碧海くん、今度の連休さ、皆で遊びに行かない?」
「あ、いいよ。どこ行くの?」
すちはいつもの、誰にでも優しい「すち」の顔で笑っている。
朝、廊下で見せたあの表情とは正反対の、眩しい笑顔。
謝りたい。
本当は、今すぐにでも。
朝の廊下、予鈴に遮られたあの瞬間、すちは何を言おうとしていたのか。
それを聞き出せもしない意気地なしの自分が、余計に腹立たしい。
なつは自分の席に座り、教科書を乱暴に開く。
紙の擦れる音が、周囲の浮ついた会話を断ち切るように響いた。
(……あいつ、誰にでもあんな顔して。誘われたらホイホイついていくし。危なっかしいんだよ。)
イライラが止まらない。
特に、すちの肩に馴れ馴れしく手を置いている女子。その手が、無性に鼻につく。
「あ、ひまちゃん、おかえり。今ね、連休に遊ぶ計画を——」
すちが、朝と同じように少し不安そうに、女子たちの輪からなつを招き入れるように声をかけてきた。
「……行かねーよ。俺は忙しいから。」
なつはすちの言葉を遮り、冷たく言い放った。
空気が凍りつく。すちは目を見開いて、言葉を失っていた。
「……そっか。……ひまちゃんが来ないなら、俺もやめとこうかな。」
すちが寂しそうにそう言うと、周りの女子たちが「えー、主役がいないと困るよ!」と騒ぎ出す。
その「主役」という言葉に、なつの我慢が限界に達した。
椅子を派手に鳴らして立ち上がり、すちの腕を掴んで強引に教室の外へ連れ出す。
「……っ、ちょっと、ひまちゃん!? 痛いよ」
階段の踊り場。
誰もいないことを確認して、なつは掴んでいた腕を離し、壁を叩いた。
「……お前、バカだろ。誰にでもニコニコして。あいつら、お前のこと狙ってんの気づかねーのかよ」
「え……? 狙ってるって、どういう……」
「……っ、わかんねーならいい、とにかく、絶対行くなよ!」
叫んだ後、なつは自分の言葉の独占欲の強さに、自分自身で驚いた。
すちは驚いた顔のまま固まっていた。
自分の感情すら制御できず、すちに当たり散らしてしまった情けなさと、直視できないほどの罪悪感がなつを襲う。
「……っ、くっそ、」
なつは吐き捨てるように呟くと、すちの反応を待たず、今度こそ逃げるようにその場を駆け出した。
背後で自分を引き留める言葉が聞こえた気がしたが、今の自分には、振り返る資格なんてどこにもなかった。
コメント
2件

ああ、もう、もどかしい……! すちくんが朝、何を言いかけたのか気になって仕方ないし、なつくんの嫉妬と自己嫌悪が痛いほど伝わってきました。壁を叩くシーン、感情が爆発する瞬間の描写がすごく生々しくて、胸が締め付けられました。お互い好き同士なのにすれ違う感じ、続きが気になります!