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これは……とても悲しい物語です。
Aくんは、ある日突然……交通事故に遭ってしまいます。その事故で、彼だけが亡くなってしまったらしいです。
「えっ!?」と驚きの声を上げる彼女に向かって、 彼はこう言い放ちました。
『今まで黙っていてごめんなさい!実は僕、幽霊なんです!』
その一言を聞いた瞬間、私は思わず叫んでいました。
「うそつき!!」……私が大声で怒鳴ると、目の前にいた少年はビクッとした様子を見せた後、「あー……」とかなんとか意味のない言葉を呟きながら頭を掻いて苦笑いを浮かべていました。
私はまだ少し混乱しながらも、落ち着いて考えようと必死になっていました。
そうだよ……よく考えてみたら、おかしいじゃん……。
なんであの子が……Aくんが生きてるわけがないんだよ……。
だって……Aくんは、もう……。
あれ……? じゃあ……今のって……誰……? 私の疑問に答えるかのように、その人物はゆっくりと口を開きました。
その声を聞いて、ようやく私は確信することができました。
やっぱり……あなたは……。
『……久しぶりだね』
目の前にいる少年がこちらを向いて微笑みかけると同時に、私は無意識のうちに涙ぐんでしまっていました。
どうして……? どうして今頃になって……会いに来てくれたの……?……ねぇ、教えてよ……。……私ね……あなたのことが大好きだよ……。あなたと一緒に過ごした時間は何物にも代え難いくらい楽しかったんだよ……。毎日が幸せすぎて怖いくらいに感じたこともあったけど……それでも私は満足できたよ……。
あの時は素っ気無い態度を取ってごめんなさい……。
本当は、嬉しくって仕方がなかったんです……。ただ照れ臭くて……恥ずかしかっただけなんです……。
あの日以来、あなたは私の前から姿を消してしまいましたよね……。あれほど酷い怪我を負っていたのだから無理もないとは思っていたけれど……やっぱり寂しいものはありました……。
それからしばらく経って……ふとした時に、私は思いました……。
もしかしたら、これは夢なんじゃないかなって……。
目が覚めたら、またいつも通りの日常が始まるんじゃないかと思っていました。
だけど……目を閉じても、眠ろうとしても、どうしても眠ることができませんでした。
そのうちに、段々と意識がはっきりしていくようになって……同時に、これが夢じゃないということに気付き始めていました。
あなたが亡くなった後になって……やっと私は、今の今まで忘れてしまっていたことに罪悪感を感じ始めていました。
今更遅いかもしれないけれど、あなたが私のためにしてくれたことは一生をかけても返しきれないほどの恩がある。
あの日、私を助けてくれたことに対するお礼がまだ言えていなかった。
だけど、あなたは自分の名前さえも言わずにどこかへ行ってしまった……。