この作品はいかがでしたか?
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日本への罪悪感と共に生きるアメリカとアメリカに憎悪の感情を向ける日本(日帝)の話。
第二次世界大戦で俺は大日本帝国に勝った。
その後、日帝は行方不明に、代わりに新たな国化身である日本がやってきた。
前の国の化身と戦争をし、原爆を落としたんだ。多少なりとも罪悪感はある。
だから俺は責任を持って日本をこの手で育ててやる事にした。
とは言っても同盟国になり少し支援しただけだが…
それだけで日本は俺に懐いてくれて、基本的に俺の意見は全て尊重してくれるような奴になった。
ただ何となく、最近日本の様子がおかしくなってきた。
休み時間はぼーっとする事が多くなったし、俺が話しかけてもまるで聞こえてないみたいで、何度呼んでも返事をしてくれない。
肩を叩いたりすると、はっと気づき「すみません…!何でしょうか?」と焦って聞いてくる。
疲れが溜まっているのか、考え事をしているのか。定かでは無いが流石に心配だ。
日本がおかしくなった事は他国の連中も気がついている様で、仕事のし過ぎなのではとの噂が流れてくる。
それを聞いた俺は日本の仕事を減らすように指示をした。
そのお陰もあり、普段3時間寝れたら良い方の日本が6時間睡眠が出来るようになったのだ。
6時間睡眠でも全然少ないと思うが、日本にはこれ以上仕事を減らさないで欲しいと言われたのでどうする事も出来なかった。
だが仕事を減してから更に様子がおかしくなった。
だからこそ俺は思う。
日本が変なのは疲れじゃなく考え事をしているからなのではと。
だったら納得が行く。
休憩出来る時間が増えたからこそ、その分自分の頭の中を整理しているのでは無いかと。
日本は一人で何でも解決しようと言う節がある。
誰かに相談をしないからきっといっぱいいっぱいになってしまっているのだろう。
仕方がない。今日の昼休みにでも悩みを聞いてみるか。
そうして仕事に取り掛かるとあっという間に時計は12時を指す。
仕事が一旦終わってすぐさま日本の席に歩み出す。
日本を見ると、昼休みになったにも関わらず未だに仕事をしていた。
どうせ呼んでも気づかないだろうから背後まで行き肩に手をおこうとした瞬間。
物凄い速さで日本の拳が目と鼻のすぐ先までやってくる。
間一髪の所で避けると、日本は慌てた様子でこう言った。
「えっあっ、なんて事を…すみませんアメリカさん!!!お怪我はありませんか!?」
「大丈夫だ、大丈夫。…急にどうした。」
「すみません…アメリカさん、さっき私の後ろに立ったでしょう?」
「だた、その、なんとなく…殺されると思ったんです。」
「は…?」
「すみません…すみません…殴ろうと思った訳ではないのですが、反射的に手が出てしまいまして…」
「…分かった。今から昼食でも一緒に食べないか?」
「良いのですか……?」
「あぁ、日本を誘おうと思ってここに来たんだし。」
「折角優しさで来てくださったのに突然殴りかかって申し訳ないです…」
「もう良いぞ。結局当たってないんだし。それよりパーーっと何か食べて気分上げるぞ!!」
「!! …ありがとうございます!」
と言う事で日本と適当なレストランに入る。
いきなり殴ってくるとか本当に大丈夫か…?
あの様子だと俺が誰か気づいてなかったみたいだし、俺だから拳を出したとかそう言うのじゃ無いだろう。
と言うかそうであって欲しい。
とにかく日本に何かあるのは確かだ。
その原因を突き止め、解決してあげれば元に戻るかも知れない。
「では私はこれを。」
「俺も同じのでお願いする。」
「にしても良いレストランですね〜。雰囲気が素晴らしいです✨」
「そうだろ?以前フランスにおすすめされて来たんだが、雰囲気も味も最高だったんだよ!」
「流石フランスさんですね、美食の国なだけあってこんなに素晴らしい店を知っているとは。アメリカさん、連れてきてくださりありがとうございます。」
「良いってことよ!………日本、少し話したい事があるんだがいいか?」
「何でしょうか?」
「最近日本の様子がおかしいと思うんだが、何かあったか?」
「えっ…おかしいですか、私…」
「あぁ、ずっと考え事をしている気がしてな。なんか悩みでもあるのか?」
「ええ、まぁ、少し…」
「相談くらいなら乗るぞ?話しても良い事なら教えてくれ。一緒に悩んでやろう。」
「………実は、最近夢を見るんですよ。」
「内容は刀を持った血濡れた私と私を囲う様に広がっている炎。近くには大勢の国民の死体があり、炎の先にアメリカさんが立っているというもの。」
「その夢があまりにリアルでして、アメリカさんが怖くて、自分が自分じゃないみたいで。」
「逃げ出したくなるんです。」
「何か内容に心あたりとかあるか?」
「ありません。ですがなぜか懐かしい気持ちになるのです。」
そう言われもうずっと前の記憶が蘇る。
第二次世界大戦。大日本帝国に対して落とした原爆。
日本国民を殺した感覚。
だが俺はなぜ日本が日帝の記憶を持っているのかが分からなかった。
国化身と言うのは息子?に記憶が受け継がれるものなのか。
俺にはそんな事無かったから分からない。
わからないが、何となくそれは無さそうだと思った。
結局昼食を食べ終わっても結論は出ずただ一緒に悩むだけになった。
それから数日経つがなぜかずっと俺の心の中にモヤモヤが残る。
日本に会っても過去の罪悪感でいつものように話しかけられ無くなった。
1ヶ月後のある日の事。居酒屋で飲み会を開くと告げられ参加することにした。
参加国は世界の主要国が多く来ていた。
その中には当然日本もいた。
酒は人の本性を曝け出すもの。
もしかしたら普段お世辞ばかりの日本とも本音で話せるかも知れない。
酒を摂取する量が増えれば増えるほど、みんなの声が大きく元気になっていく。
その中で日本は一人だけどんどん静かになっていった。
それを心配し話しかける。
「おい日本、大丈夫か…?」
「大丈夫に決まっているだろう。アメリカに心配される程やわじゃない。」
「気分が悪いからさっさと失せてくれ。話しかけるな。」
その有無を言わせぬ口調に、言葉が詰まる。
懐かしさを感じると共に自身の体が震えていることが分かった。
“酒は人の本性を曝け出すもの。”
これが日本の本性なのか…??
顔を見るとあの時と同じ鮮血の様な赤い目でこちらを睨んでいる。
ただその目の奥に潜んでいるドス黒い感情にさらされると猛烈な吐き気に襲われる。
そこで俺は自分の勘違いにやっと気づいた。
日帝は死んだんじゃ無い。
記憶を無くして、 ここに戻ったのだと。
そして今、夢を見て、思い出しつつあるのだと。
コメント
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凄い続きが楽しみになる話ですね、、、、続き楽しみにしてます!
最後のアメリカのセリフで鳥肌がなんか身体中ぶわぁぁあと出てきました! 続き楽しみにしてます!!
最高だァァァァァァァァァァァァ続き楽しみにしてます!!!