テラーノベル
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あの激しい雨の夜から、数日が経った。スタジオで泣きじゃくったちぐさは、翌日から何かが吹っ切れたような、どこかすっきりとした表情をしていた。メンバーの前でも、無理に声を張るようなことがなくなり、自然体で過ごしているのが隣にいてよく分かった。 そして今夜も、俺は自室で動画編集の作業を続けていた。
💚「ふぅ……。よし、これで一本完成っと」
書き出しのボタンを押し、背伸びをして椅子の背もたれに深く体重を預ける。時計の針はもうすぐ深夜の1時を回ろうとしていた。コト、と小さく優しいノックの音が響く。
🩵「ぷりちゃん、まだ起きてる?」
💚「ちぐさか。おう、入っていいぞ」ガチャリとドアが開き、ちぐさがひょっこりと顔を出した。その手には、もうお馴染みとなったコンビニのカフェラテが2つ握られている。
🩵「今日も遅くまでお疲れ様。はい、差し入れ」
💚「サンキュ。お前も作業してたのか?」
🩵「うん。でも、ぷりちゃんの顔が見たくなっちゃって」
ちぐさは俺の隣のパイプ椅子にちょこんと腰掛け、カフェラテを一口飲んだ。その顔をじっと見つめてみる。あの雨の日のような目の奥の強張りは、もうどこにもない。そこにあるのは、心からの安心感に満ちた、穏やかな表情だった。
💚「ちぐさ」
🩵「ん? なあに?」
💚「……最近、ちゃんと眠れてるか?」俺の言葉に、ちぐさはふふっと小さく吹き出した。
🩵「うん、すっごくよく眠れてるよ。ぷりちゃんにあの日、たくさん話を聞いてもらって、抱きしめてもらったから。……心が、すごく軽くなったんだ」
ちぐさはそう言って、クシャッと目を細めて笑った。あの日、俺がずっと見たいと願っていた、心からの“本物の笑顔”だった。その瞬間、胸の奥から熱い感情がせり上がってくるのを抑えられなくなった。もう、ただの『メンバーの一人』としてあいつを守りたいわけじゃない。自分のこの特別な感情に、これ以上嘘はつけなかった。
💚「なぁ、ちぐさ」
🩵「うん?」
💚「俺さ、お前がそうやって、心から楽しそうに笑う顔が世界で一番好きなんだわ」
🩵「……ぷりちゃん?」
俺は椅子をごとりと鳴らして立ち上がり、ちぐさの前に一歩踏み込んだ。そして、驚いて見上げるちぐさの両肩を優しく掴む。
💚「みんなのためのアイドルとしての笑顔もいいけど、俺が欲しいのは、俺の前だけで見せるお前の顔だ。……もうメンバーとしてだけじゃなくて、一人の男として、お前の全部を俺の隣で守らせてほしい」🩵「え……っ」
ちぐさは一瞬、大きく目を見開いた。みるみるうちに、その白い頬が、そして耳の裏までが真っ赤に染まっていく。
🩵「それって、つまり……」
💚「お前のことが好きなんだよ、ちぐさ。これからは恋人として、ずっと一番近くでお前を支えさせて」
直球すぎる俺の告白に、ちぐさはカフェラテを持った手を小さく震わせた。コクンと生唾を飲み込む音が、静かな部屋に響く。 ちぐさは視線をあちこちに泳がせたあと、意を決したように俺のシャツの裾をぎゅっと掴んだ。
🩵「……ずるいよ、ぷりちゃん。そんなの、俺だってずっと前から……っ」
消え入りそうな声で呟いたちぐさが、ゆっくりと顔を上げる。その瞳は潤んでいて、熱っぽい視線が俺を捉えて離さない。
🩵「俺も、ぷりちゃんが好き。メンバーとしてじゃなくて……特別な人として、ずっと隣にいたかったの。あの日、抱きしめられた時から、もう頭の中ぷりちゃんのことばっかりで……!」
そこまで一気に言うと、ちぐさは恥ずかしさに耐えかねたように、俺の胸に自分からおでこをコツンとぶつけて隠れた。愛おしさが限界突破して、俺はちぐさの身体を腕の中に強く引き寄せた。あの日、悲しみを分かち合うために抱きしめた時とは違う。これからは恋人として、お互いの体温を確かめ合うための抱擁だ。💚「ははっ!両想いじゃん。じゃあ、決まりな」
🩵「うん……っ」
💚「これからは、しんどい時も、甘えたい時も、全部俺にぶつけろ。お前のその可愛い笑顔は、もう俺だけの特等席だからな」
乃希
24,042
@ きみ以外なんて選ばないよ
4,818
俺の腕の中で、ちぐさはもう一度、クシャッと目を細めて最高の笑顔を咲かせた。
🩵「うん! ぷりちゃんだけの特等席。……これからもずっと、僕の隣で見ててね」
窓の外には、雲ひとつない綺麗な夜空が広がっている。お前が笑ってくれるなら、俺はどこまでだって強くなれる。世界で一番眩しい恋人の笑顔を、俺は一生、隣で守り続けると心に誓った。
あなたにもありませんか?
辛いのに無理して笑ってしまうこと
嫌なのに嫌と言わないこと
溜めすぎるといつかは爆発してしまいます
自分を大切に
俺の好きなお前の笑顔
ー完ー
コメント
3件
ああ、もう、すごく良かったです……! 雨の夜のエピソードから続く、ちぐさちゃんの「心からの笑顔」がここで見られるのが本当に胸に沁みました。ぷりちゃんが「世界で一番好き」ってストレートに伝えるところ、読んでてこっちまでドキドキしました。両想いになってからの「お前のその可愛い笑顔は、もう俺だけの特等席」って台詞、最高すぎます……! お互いがお互いを特別だと思ってた距離感の積み重ねが、ようやく報われた感じがして、本当に温かい気持ちになりました。続きも楽しみにしてます!