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#山中柔太朗
Freesia
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今回の話からメンバーが続々登場します🫣💞
夜の街を泥泥の汗だくで走り抜け、柔太朗が「ここ、セーフティハウス!」と自信満々に手を引いて転がり込んだのは、舜太の所属するグループのリーダー・佐野勇斗の家だった。
「ちょ、待て待て待てい!!! 何事!?」
深夜に突如、泥棒ルックのメンバーと、顔面国宝のきらめきが半端ない謎の男(しかもはだけたTシャツ姿)に不法侵入された勇斗は、絶叫。
しかし、ベランダの外に「王子ーー!」と叫ぶ甲冑の集団が見えた瞬間、野生の勘で察した。
「よし分かった、詳しいことは『しゃべくり007』のトーンで後で聞く! とりあえず入れ!」
プロ根性(?)で瞬時に二人を匿ってくれた。
しかし、リビングに漂うのは、あの情熱的なディープキスによる「気まずさ1000%」の空気である。
気まずすぎて、舜太と柔太朗は、お互いを見ないように斜め45度をキープしたまま微動だにしない。
そんな二人を見て、勇斗は頼れる先輩、いや、もはや実家のオカンばりの包容力で部屋を割り振った。
「よし、柔太朗くんは客間な。舜太、お前は顔が死んでるから俺のベッドで寝ろ。大丈夫、俺のプロテインは分け合える」
布団に入ったものの、舜太の脳内は柔太朗の唇の感触がハイレゾ音質でループ再生され、目が完全にバッキバキ。
何度も寝返りを打つ舜太に、暗闇から勇斗の温かい声が降ってきた。
「舜太、眠れない? ……なんか、あった?」
「……勇ちゃん……」
その、包み込むような優しい声を浴びた瞬間、ここ最近の「大赤字」「アイドルの限界」「異世界の追っ手」というカオスなストレスが限界突破。
舜太は布団を被ってボロボロと大号泣し始めてしまった。
「うわあ、泣くな泣くな……。大丈夫、大丈夫だから」
勇斗はガチで焦りつつも、すぐに声をトーンダウンさせ、包容力の塊のような優しい手つきで舜太を自分の胸元に引き寄せた。
実の弟をいつくしむように、大きな手で何度も何度も、ゆっくり頭を撫でてあげる。
「怖かったな。びっくりしたよな。……もう大丈夫、俺がここにいるから。誰も舜太にひどいことさせないよ」
勇斗の体温と優しい声に触れ、舜太は鼻水をすすりながら、ずっと一人で抱え込んでいた本音をぶちまけた。
「……僕、もうほんまに限界やったんや……! アイドルも赤字もプレッシャーで、一瞬、もうこのまま消えてしまおうかって思うくらい追い詰められてて……っ。でも、柔太朗が……っ」
「そっか……。そんなに苦しかったんだな。気づいてあげられなくてごめん。よく頑張ったよ、お前は本当に偉い」
勇斗の目は優しさで潤んでいて、舜太の背中をポンポンと優しく叩きながら、その痛みを全部引き受けるように、ただただ強く抱きしめ続けてくれた。
いつもはふざけてばかりの最年長が見せた、底なしの深い愛情だった。
しかし、勇斗がどれだけ優しくあやしてくれても、舜太の胸の奥にあるドクドクとした不安と心臓のバクバクは、一向に消え去ってくれない。
頭の中は、あのリビングでのリップ音と、追っ手の前で強引に奪われた熱いディープキスの残像で支配されていた。
唇がまだ、じわじわと痺れている。
「舜太? まだ体、震えてるぞ……。どうしたらその不安、消える?」
勇斗が本当に心配そうに、舜太の顔を覗き込んで眉を下げた。
そんな風に本気で心配してくれる大好きな先輩を前にして、舜太は、熱くなった頭のまま、ぽろりと信じられない言葉をこぼしてしまった。
「……き、す……」
「え?」
「……キス、して……っ」
それは、勇斗への恋愛感情では決してなかった。
ただ、柔太朗にめちゃくちゃに掻き乱された脳内と、奪われた唇の感触が、あまりにも強烈にフラッシュバックして離れない。
その恐ろしいほどの熱を、別の何かで上書きして安心したかったのだ。
あまりの衝撃発言に、あの佐野勇斗が「は、え!?」と完全にフリーズした。
しかし、涙でぐしゃぐしゃになりながら、震える唇で必死に助けを求める後輩の姿を見て、勇斗の迷いは一瞬で消えた。
こいつ、今それくらいパニックなんだな……
男気と圧倒的な優しさが勝った勇斗は、「……分かった。ほら、目ぇ瞑れ」と囁くと、舜太の涙を親指でそっと拭った。
そして、実の弟に最高の愛情を注ぐように、舜太の額や、涙の濡れた頬、そして震える唇に、慈しむような優しいキスを落とした。
「これで大丈夫。俺がついてる。もう何も怖くないからな」
勇斗はそのまま、大きな体で舜太をさらにぎゅーーーーっと力強くハグ。
布団の中で、まるで大きなぬいぐるみが包み込むようにガチガチに抱きしめ、自分の体温をすべて分け与えるようにして、そのまま二人で朝まで寄り添って眠りについたのだった。
──だが。
その一部始終を、半開きになったドアの隙間から、静かに見つめる人影があった。
喉が渇いて部屋を出た柔太朗が、バッチリと、1秒の狂いもなく目撃していたのだ。
しかし王子の表情は、怒り狂うでもなく、ただどこかひんやりとした美しさをたたえたまま、スッと自分の部屋へ戻っていった。
翌朝。
勇斗の家のリビングは、昨日までの比ではない、なんだか形容しがたい静けさに包まれていた。
昨夜のハグ&キスを見られたとは夢にも思っていない舜太は、ただただ自分の失言への恥ずかしさと、柔太朗への気まずさで、お皿を配りながら彼と目を合わせないように必死だった。
「あ、あの! 俺、トーストの焼き加減見てくるわ!」
限界を迎えてキッチンへ逃亡を謀った瞬間。
ガシィィィッ!!!
と、恐ろしい握力で、柔太朗に腕を掴まれた。
「待って。なんで僕を見ないの、舜太」
昨日までのふわふわした天然王子ではない。
声のトーンが低くて、大人の色気がリビングに充満する。
「え、見てるよ? ほら、網膜には映ってる!」
必死に言い訳する舜太だったが、次の瞬間、世界が凄まじいスピードで回転した。
ドォン!!!
気付けば舜太はソファーに押し付けられ、柔太朗の長い腕がその両脇をガチッとロックしていた。完全なる「ソファー・ドン」である。
顔の距離、わずか3センチ。
「嘘つき。昨日の僕のキス、そんなに効いちゃったんだ?」
柔太朗は、舜太の顎を細い指でクイッと強引に上向かせると、どこか余裕を含んだ、妖艶な微笑みを浮かべた。
「昨日の夜のこと、僕、全部見てたよ。勇斗くんに『キスして』っておねだりして、朝まで抱っこされて寝てたでしょ」
「見てたんかーーーい!!! 筒抜けやったーーー!!!」
大パニックで真っ赤になる舜太を見て、柔太朗はクスッと小さく笑った。
その瞳には、嫉妬で狂うような泥臭さは一切ない。
なぜなら、自分が選ばれるという絶対的な自信があるからだ。
柔太朗はさらに顔を近づけ、舜太の耳元でいたずらっぽく、だけど途方もなく重い愛を囁いた。
「別に勇斗に嫉妬なんてしてないよ? だって、あんなのただの『おまじない』でしょ。舜太が本当に求めてたのは、僕の、あの息ができなくなるみたいなキスなんだから」
「ぶ、ぶふぉっっっ!?!?!?」
「でもね、僕の配偶者が他の男の体温でぬくぬくしてたのは、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、お仕置きが必要かなって思うんだ」
嫉妬してない風を装いつつ、完全に「若干、嫉妬している」のが見え隠れする王子様。
柔太朗はじわじわと唇を寄せると、お風呂上がりとは違う、完全に自分のものだと主張するような甘い香りを漂わせながら、舜太の耳たぶに、ちゅ、と深いリップ音を立ててキスを落とした。
さらにそのまま首筋へと、唇を優しく滑らせていく。
「ひゃうんっっっ!?!?!? ちょ、そこはあかんッ!!! 勇ちゃん助けて――」
舜太の脳内が本日二度目の大爆発を起こしたその時、キッチンから「ガッシャーーーン!!!」と凄まじい破壊音が響いた。
「おいおいおいおい!!! 朝から人のリビングで何トレンディヤンデレドラマ始めてくれてんだよ!!! あと柔太朗くん! 『別に嫉妬してないし感』出しつつ、めちゃくちゃ独占欲ダダ漏れだからね!? あと舜太! お前、昨日の夜は混乱してたとはいえ、俺にキス迫ったせいで、王子の愛がとんでもない方向にヒートアップしてんじゃねーか!!!」
お玉を持った勇斗が顔を真っ赤にして仁王立ちでツッコミを入れるが、柔太朗は1ミリも動じず、舜太の首筋に顔を埋めたまま
「ふふ、体まで真っ赤。
可愛いね。勇斗くんの匂い、僕のキスで全部消してあげる……」と妖艶に微笑むのだった。
異世界からの追っ手から逃亡中という大ピンチのはずなのに、王子の「涼しい顔した重すぎる愛」は、完全に誰にも止められない領域へと突入していた。
コメント
3件

初見ですが、めっちゃよかったーー じゅうちゃんの嫉妬してる感じがギャップ萌えしすぎて可愛かったですありがとうございます(色々と)
寺島あおいです🌷 第4話、めちゃくちゃ胸にきました…!勇斗が舜太をぎゅっと抱きしめて「よく頑張った」って言うシーン、涙が出そうになりました。あの優しさ、完全にお母さん兼お兄ちゃんって感じで、頼れる存在だなあと。でもその後のキスのおねだりには驚きましたね…混乱した舜太の気持ちが痛いほど伝わってきました。 そして最後の柔太朗の「嫉妬してないよ」発言!あれ絶対嫉妬してますよね(笑)。冷静なふりしてガッツリ独占欲見せてくるギャップがたまらなかったです。続きが気になります!