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本気にさせたい恋

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本気にさせたい恋

28 - 第28話  抑えられない想い①

2024年09月16日

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翌朝。

彼女が看病してくれたおかげでかなり体調が良くなったので会社へ出社した。

目が覚めた時、いつの間にか帰っていて部屋に彼女がいなかったのは少し寂しかったけど。

でも彼女が買って来てくれた冷蔵庫にあるフルーツが、彼女がいてくれたことを証明してくれるようで、満たされた気持ちで朝食を食べた。

風邪で休んだ分、仕事が溜まっていた為、早めに出社して仕事をいくつか片付ける。

しばらく時間が落ち着いて、ようやく一本の内線をかける為に電話を手にした。


『もしもし望月です』

「もしもし。早瀬です」

『あっ、お疲れ様です』

「お疲れ様です。昨日はお世話になりありがとうございました」

『あっ、いえ・・』

「で、早速なんですが、ちょっとプロジェクトのことでご相談したいことあるので、この後ご都合よろしい時間にお時間頂きたいのですが」


仕事に早く出たせいもあって、彼女に昨日のお礼を言うきっかけがなくて、確実な形でまずは彼女にコンタクトを取る。


『あ、あ~。今・・ならちょうど都合つきますので今からなら大丈夫です』

「では・・今なら第2会議室が空いてると思うので、今からそちらで会議大丈夫ですか?」

『了解です。では向かいます』

「よろしくお願いします」


ある意味仕事が同じ職場でこういう時は有難い。

お互いの立場上、仕事の相談として合うのは不自然でもないし、彼女も抵抗しない。

まぁ、オレ的にはそんな目的じゃないけどね。

今すぐ会いたいオレの目的と、仕事上の呼び出しで好都合。

昨日の今日で普段見れない普段知ることの出来ない彼女の姿を知れて、一日経った今もオレはご機嫌なまま。

風邪をひいてこんなに嬉しかったことなんてなかった。

まぁこの結果もオレ的には嬉しいことばかりだから逆に怖いくらいだけど。

酔った彼女を介抱しつつも彼女と初めて一晩過ごせたワケだし、風邪をひいたところで、今度は彼女が看病してくれるだなんて、そんな最高のシチュエーションないでしょ。

やっぱ彼女に勇気出して声かけてよかったな。

これも修さんのおかげか。

あれ以来、確実に彼女との距離も縮まってると思うし。

こんな風に約束を取りつけて彼女と会社で会うことが出来るなんて、昔のオレには考えられないこと。

オレは思わずそんな嬉しい状況を改めて実感して、思わずニヤけてしまってる自分に気付いて、会議室近くになって、急いで気を引き締める。


「失礼します」


そして会議室に着いて中に入るとすでに彼女の姿。


「お待たせしました」

「いえ。私も今来たとこなので」

「そうですか。ならよかった」


カチャ。

念の為会議室のドアの鍵をそのまま締める。


「鍵?」


案の定、それに気づく彼女。


「気になります?このプロジェクト極秘に進めてることだから、誰かに邪魔されて漏らされても困るので」


ようやくあなたとまた二人きりになれるのに、ここで逃げられても誰かに邪魔されて雰囲気ぶち壊されるのも嫌なんで。


「あぁ。そっか。そういうことなら。とりあえず早瀬くん体調無事戻ったみたいで安心した」


だけど、彼女は疑いもなく納得して、それどころか逆にオレの心配をしてきてくれる。

なんだよ、それ。

すでに嬉しすぎて仕事どころじゃないんですけど。


すぐにオレに背中を向けて座ろうとする彼女に。

オレは気持ちが抑えられなくなって、そのまま後ろからそっと抱き締める。


「えっ?ちょっと早瀬くん!?」

「昨日は・・ありがとう」


戸惑う彼女の耳元でオレは気にせずそっと囁く。


「早くお礼が言いたくて」

「いや、だからって、今じゃなくても・・・」

「ホントは。昨日こんな風に抱き締めたかった」


オレ的には今でも遅いくらい。

ホントは昨日風邪なんかひいてなければすぐにでも彼女にこうやって触れたかった。


「はや、せくん・・・。仕事中だし・・」

「わかってる・・。だけどもう少しこのままでいさせて」


オレは仕事中でもそうじゃなくてもどんな時でもあなたをこうやって抱き締めたい。

あなたにずっと触れていたい。

だけど、すぐに振り払うこともなく、戸惑いながらもそんなオレを受け入れてくれている彼女にまた嬉しくなって。


「でも風邪うつしちゃいけないし、オレも余裕なかったから。だけど・・・ホントはもっと触れたくて仕方なかった」


風邪うつしたらせっかく看病しに来てくれた意味なくなるし、そこは仕方なく欲望を抑えたけど。

でも、今はもう治ってるから、その気持ちは抑えなくていいよね?

ホントはどんな時もあなたの気持ちもあなたのそのすべてを、オレのモノにしたい。


「昨日は来てくれて嬉しかった。おかゆもありがとう」


オレの為にわざわざおかゆも作ってくれて一晩中看病してくれたってことは、期待してもいい?

あなたの中でオレが少しでも存在し始めているってことだよね?


「か、風邪早く治ったみたいでよかった!」


だけど、彼女は照れているのか必要以上に明るいテンションで言葉を放つ。


まさかそんな感じでこの場を切り抜けようとするつもり?

オレ的には早くあなたにその気になってもらいたいんだけど?


「透子の看病のおかげ」


そう優しく囁きながら彼女の肩にそっとアゴを乗せて更に近付く。


逃がさないよ。

もっとオレを意識して?


「なら・・良かった・・」

「ホントはまだまだ看病してもらって甘えたかったけど。透子に迷惑かけるし仕事も気になるから頑張って早く治した」


不本意だけどね。

だから体調が大丈夫な時にその分取り返させてもらうから。

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