※グレゾ間に合わないかも(現時点)
「カエデ…本当に大丈夫?」
大丈夫の返事の代わりに、彼女は拳を堅く握った。リボンちゃんも、すっと隣に並び立つ。
(でも確かに…リボンちゃんのクリスタルも、カエデの力も…イズの攻撃では弱まりにくい)
ぼくのサンドとアドレーヌの能力は水に弱い。でも、しっかりとした形を持っているクリスタルとカエデの力なら、水に掻き消されることはないはずだ。
(あの時…ホロビタスターのピラミッドで見た技。あれは…ぼくの“リーフ”にそっくりだった)
「はあぁっ!」
手から湾曲する葉を飛ばす。“リーフカッター”のようなその技の軌道は独特で読みにくい。イズは慌てて攻撃を放つが、それよりも先に葉が命中した。
「お願い、クリスタル!」
被弾の隙をついて、クリスタルが当たる。双方の技を避けきるのは難しいようで、先ほどからやみくもに攻撃を放っている。
「すごい…威力はともかく、攻撃が当たってる…!」
「そうだね。…でも、あたしたちも、見てるだけじゃ駄目。なんとかして、隙をつかないと」
確かに、今は優勢とはいえ、大技を出されれば形勢逆転の可能性もある。それまでに、なんとかして大きな一撃を当てないと。
「…あの水を、止められたら…隙ができるかも?」
「…!それだよ、カーくん!」
ぼくがその言葉の意味を問う前に、アドレーヌは前線に立つ二人に叫ぶ。
「二人ともー!…勝ち筋、見えたよ!」
二人の顔が期待に輝く。と同時に、さっきよりも多量の水をそれぞれいなす。相手も、攻勢に転じようとしているみたいだ。
「時間をちょうだい!20秒…いや、15秒だけでいいから!」
「「了解!」」
返事を聞くと、アドレーヌはもうキャンバスに向き直った。どこかで見た鉛筆の動きに見とれていると、だんだんと迫ってくるような音がする。
「ごめん、打ち漏らした!そっち行ってる!」
カエデの叫ぶ声にハッとする前に、体は動いた。慣れた手捌きで、砂をおこして攻撃を相殺する。
(3…4…5…)
下描きができあがる。アドレーヌは素早く鉛筆を絵筆に持ち替えると、パレットに絵の具を出した。
その間にも強まる攻撃。二人も流石に捌ききれなくなってきた。
(9…10…11…)
水色のボディが出来上がった。いつもより時間をかけ、たくさんの魔力を込めて描いている。
「…そろそろ、かな…!?」
「あと、少し…頑張って耐えましょう!」
(13…14…)
「よしっ、でき――」
絵が実体化するよりも先に、イズが動いた。二人を押しのけ、ぼくたちを狙う。
「アドレーヌっ!」
勢いの強い高波――“サーファータックル”みたいだ――が、完成したばかりの絵を流そうと迫る。ぼくの攻撃では止められない。
(っ…“すなやま”も、間に合わない…!)
――瞬間、
「……!?」
冷気がその場を支配した。
「ふう…間に合ってよかったぁ…!」
アドレーヌの声がした。前を見てみれば、ピラミッド内部でも見たアイスドラゴンのブレスが、イズの攻撃を凍らせていた。
「アドレーヌ…!ナイスタイミング!」
「そっか…水も、凍らせちゃえば怖くない!」
にっと笑う。イズの背後に立つ二人は体勢を立て直した。
「決めて、カーくん!」
アイスドラゴンが氷を飛ばす。それに続いて、ぼくは走り出した。
小さな水は、リボンちゃんが掻き消していく。大波も次々と凍らされて、もうイズは目の前にいる。
「カービィ、いくよ!」
「おっけー、カエデ!」
同じタイミングで、手に力を溜める。ぼくは前から、カエデは後ろから。アドレーヌとリボンちゃんが、信頼の笑みを浮かべた。
「“アッパーリーフ”!」
「“サンドキャッスル”!」
タイミングばっちりに決まった、二人の大技。 それをまともに喰らったイズは、砂浜に片膝をついた。
「リボンちゃん、今だよっ!」
「はい!」
アドレーヌの合図で、クリスタルが輝きだした。抵抗しようとしたのが見えたが、それよりも先に、あの時と同じような光線が射出される。
しばらくすると、その体から、黒い靄が出てきた。
「っ……イズっ!」
心配そうな声のカエデが駆け寄り、倒れるよりも先にその体を抱いた。
「…大丈夫。気を失ってるだけだよ」
安心させるようにリボンちゃんが言った。いつもとは違う、とても落ち着いた声だった。
「…でも、ちゃんとした場所で休ませてあげよう」
「うん。…おーーい、ワープスター!」
叫ぶようにして呼ぶと、星型の相棒は急速で駆けつけてくれた。イズを抱えたカエデを真ん中にして、できる限り揺らさないように飛ぶ。
(…帰ったら、リリルとも話し合いかな。…結局、デデデには注意しなきゃだな)
ここにはない虹のつるぎを握るようにして手に力を込める。
虹よりも強く輝く星の光が、目に痛いほど眩しかった。
第三章-ウルルンスター編 完
Next is…?
おまけ キャラ紹介
イズ
オリキャラ。楽園を目指して旅をする一族の少女。魔力量は平均的。カービィの“ウォーター”のような力を使う。
“黒い影”にやられ、知らない間に憑依されカービィたちと出会う。その後戦うことになったが、何とか助け出された。
一人称は「あたし」。
髪の毛のデザインに一番悩んだ。昔はY氏の戦闘狂少女と丸被りした髪だったため、悩みに悩んで今のアニポケセレナヘアーになった。
尚この後で配色にも悩むことになる。
イズ「名前が某ヒューマギアなのは…」
作者「ゼロワンの話題を振るな(ほぼ覚えてない)」
あとがき
よし何とか両方書き終えた!フジミヤです!
途中で心折れかけましたが…何とかやり遂げたよわたし!やたぁぁぁ!!(謎報告)
いろいろと書きたいけどもうリアルの時間が無ぇ…てことで多分次回は語るぞ!
また次も見てね!あと最近マタアド書けてなくてごめん…
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