オーターの魔力を吸い、世界樹が彼女の魔力と同じ黄土色の光を放ち始めた時、世界樹は我にかえった。
『オーター。』
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ。」
魔力を限界まで吸い取られたオーターは頬を赤く染めたまま、虚ろな目から生理的な涙を流し肩で息をしていた。
『すまない!私とした事が。こんな筈では。』
「はあ・・・世界樹、様。」
謝る世界樹に息を整えたオーターが名を呼びながら、のろのろと首を横に振った。
「ど、うか・・・謝らないで、下さい。私なら問題ありません・・・から。それよりも。」
『それよりも?』
「私の魔力は・・・・貴方様のお気に召しましたか?」
『ああ。君の魔力は極上だよ。』
「それは・・・・・良かったです。」
フッと儚い笑みを浮かべるオーターを見て、世界樹は自身の中で何かがざわつくのを感じた。
(己の事よりも私の事を。何て・・・・愛しい。)
『・・・・オーター。』
「はい。」
『おいで・・・・私の中に。』
「・・・はい。」
優しい声で世界樹がそう言うと、繋がった結合部はそのままにオーターの左右に開かされていた両足がゆっくりと閉じられ、両胸の突起にくっ付いていた触手も離れていく。
そして途中で止まっていたオーターの身体が再び触手によって運ばれ、世界樹の裂け目のところまで来た。裂け目の中ではモゾモゾと触手が蠢いていたが、オーターはもう怖いとは感じずにゆっくりと目を閉じた。
すると、中で蠢いていた触手が飛び出してオーターの全身を包み込み、そのまま中へと引き込み飲み込んだ。
あとに残ったのは、オーターの魔力を吸収して黄土色に輝く立派な一本の大樹だけだった。