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目を覚ますと最初に感じたのは、柔らかな布団の温もり。

そして、かすかに漂うカラスバの匂い

ほんのり甘いコロンが混じった、あの胸を締めつけるような安心する香り。



『……んん……』

〖ギュアッ!〗

〖きゃううんっ!〗



薄く開いた瞳に、リザードンとエムリットの大きな顔が飛び込み、 心配そうにじっとこちらを見つめる。



「わっ、ふふっ……おはよう〜」



……おはよう?

ふと違和感を覚え、周りを見渡す。

黒基調の部屋に綺麗に整えられたベットと消毒液とコーヒーの残り香。

ここはサビ組事務所の休憩室だ



『(確か……薬を買って、それから……そのまま意識が……)』



体はまだ熱っぽい。

頭がずきずきと脈打っている。

でも、ここにいるということはカラスバさんかアザミが助けてくれたんだろう 。

じゃないと、こんな場所に来るはずがない。

そう思いながらベッドから降りようとした瞬間、体がぐらりと傾く。

倒れそうになったその刹那、エムリットの念力が優しく体を支え、ベッドに座らせられる。



『あ、ごめんね、エムリット』

〖きゃううんっ〗



エムリットの頭を撫でているとふと気づく。

自分がカラスバのジャケットを羽織っていることに。



『……もしかして、やっぱりカラスバさん……?』



その瞬間、胸の奥で優しい鼓動が響いた。



『……カラスバさんの匂い』



ジャケットの裾にそっと鼻を寄せる。

カラスバの香りがふわりと包み込んでくる。

まるで彼の腕の中にいるみたいで、心が溶けそうになる。



『キスどころか、最近抱きしめてもらってなかったから……なんか、嬉しいなぁ……』
〖ギュアッ!?〗



リザードンが驚いたように目を見開く。

どうやら、昨夜の記憶がないらしい。

リザードンは慌てて近くにあった手鏡を加え、シオンに差し出した。



『ん……? どうしたの?』

〖ギュア!〗



不思議に思いながら鏡を覗き込む。


───次の瞬間、顔が一気に真っ赤に染まった。



『なっ!?なっ……!?なにこれ!?!?』
〖ヂャモ!?チャ!?〗

〖ギュピッ!?〗



悲鳴に近い声に、アチャモとペンドラーが飛び起きる。

首筋、鎖骨、耳の後ろ──

肌に散らばる無数の赤い痕。

そして、くっきりと残った歯型。



『服着てる……下着もズレてないし……えっ、でも……え!?カ、カラスバさんが!?』



昨夜、何があったの!?

全然思い出せない!


いや……もし襲われてたとしても、全然ウェルカムだし? すごく嬉しいけど……でも、とりあえず事実確認しないと……!!

慌ててブランケットで首元を隠し、壁を伝うようにして、カラスバたちがいる部屋へ向かった。







「カラスバ様……カラスバ様」

「!すまん、考え事しよった。それでなんの話やったっけ」

「もう少しでセイカ様達が来られますが、大丈夫ですか?」

「あー……そか、大丈夫や」



そう言いながらも、カラスバの目は泳いでいる。

そんなカラスバにジプソは内心でざわついていた。



「(……もしや、昨晩何かあったのか……?)」



考えられるのはそれしかない。

カラスバはシオンの部屋にはアザミしか入れるなと言っていたし……まさか喧嘩!?


一人で色々想像して慌てるジプソ。

その横で、カラスバは震える手でコーヒーを飲む。



「(あかんあかん、絶対バレる。やけど病人襲いましたなんか口が裂けても言えへん)」

「(……それに会ったら今度こそ止まらんなりそうや……)」



バレてシオンに軽蔑された目で見られるのが怖い。

何より、昨夜ポケモンたちがいなければ、シオンを手酷く抱いていたかもしれない。



「(付けた跡も血滲んどったし…)」



焦った顔のカラスバとジプソをマスカットが不思議そうに見つめていると、エレベーターの到着音が響いた。


すると慌てて姿勢を正しいつもの表情を装う二人。

しかし、エレベーターから出てきたのはセイカではなく──



『……カラスバさん……? 今、大丈夫ですか……?』



──ガタガタッ!!ガタン!!



椅子から盛大に転げ落ちるカラスバ。

シオンはエムリットに念力で体を浮かせてもらい、慌てて駆け寄る。



『だ、大丈夫ですか……!?』

「す、すまん……パソコンにいきなりホラーな映像が流れて驚いてしまったわ」

「(いやそれは流石に苦しい言い訳ですよ、カラスバ様!!)」

『あ、そうなんですね……大丈夫ですか?』

「(通じた!?)」



驚くジプソをよそに、カラスバは椅子に座り直し、何事もなかったようにパソコンに目を向ける。



「……シオン、まだ熱引いてないんやから大人しくしとき」

『あ!すぐ帰るので!…その前にその、少し聞きたいことがあって』

「なんや」



カラスバの冷静な声に、シオンは少し顔を赤らめながら、小さな声で耳打ちする。



『……昨日、何かされましたか……?覚えてなくて……けど、その……首に……』



その瞬間、カラスバの心臓が大きく鳴った。

冷や汗が背中を伝う。

やはりバレていた。

そりゃそうだ。どんなに隠そうも付けたものは消えない。


今、シオンはどんな顔をしているのだろう。怖くて見れな───



「(ん?……いや、まて。今覚えとらんって言ったな)」



覚えていないなら良かったんやけど……なんか、それはそれで……いや、そんなこと言っとる場合やない!

とりあえず、いい言い訳を……!



「──それか、それならアチャモがつついたみたいで跡がついてな」

『えっ?』

〖ヂャ!?〗


ね ぇ 、カ ラ ス バ さ ん ③

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