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……( '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎ 最っ高……、、 え?なにそれ……、、 赤葦の愛が重いねぇ……w 受けの愛が重いとかもうさいこu((殴
○自己中心的な赤葦くんが出てきます。死ネタです。
「ねぇ、木兎さん。心中しませんか。」
名案をひらめいた俺は笑みがこぼれないよう得意なポーカーフェイスを保ったまま木兎さんにそう告げた。
俺は木兎さんが好きだ。
いつからだったか正確には覚えていないけど、
当たって砕けろという思いで告白した木兎さんの卒業式の日。
あの日からずっとあなたを離してあげる気はない。
木兎さんが望むならなんだってあげます。
トスでもお金でも食べ物でも…あ、でも俺以外の恋人は無理です。
あなたの欲しいものは全部あげるから、俺にあなたの全てをください。
だなんて本人に言ったことは無いけどきっと木兎さんのことだから笑って「いいぜ!」って言ってくれるんだろうな…。
木兎さんとの付き合いも10年を越し、一通りの木兎さんは俺が独り占めできていると思っている。
ただ、気づいてしまったんだ。
俺がまだ手に入れることが出来てない木兎さんがいることに。
正確に言えば俺はまだ木兎選手を手に入れられていないということ。
明るいムードメーカーであり、力強いスパイクを放つ日本を代表するバレー選手の1人である木兎選手の活躍は試合だけに留まらず、バラエティ番組から頻繁にオファーがくる様な陽気な性格も持ち合わせていた。
そんな彼は世界中から愛されている。
そう、だから俺は世界中から愛される木兎さんを、木兎選手を、俺だけのものにしたい。
どんな手を使ってでも悪魔に魂を売ってでもこの人の全ては俺のものにしたい。
他の奴には1ミリたりとも分けてやらない。
でもどうすればみんなの木兎選手を俺のものにできるのか1週間程考えた結果俺は1つの方法にたどり着いた。
なんだこんな簡単な事だったのか。
そして冒頭に戻る。
2ヶ月前の試合で足に大きな怪我をした木兎さんは引退を余儀なくされた。
もう二度と跳べなくなった木兎さんだが色々な方法でバレーに関わろうとしていた。
それでもバレーができないという事実は変わらない。
今日、かつて共に日本を背負って戦った仲間が活躍する試合を見て木兎さんが
「もうバレー出来ないなんてな…」と呟いた時俺はすかさず心中を提案した。
弱った木兎さんにつけ込んだのだ。
「心中…?」
「一緒に死のうってことです。」
「いやそれは知ってっけど!」
木兎さんが驚くのも無理はないか…。
さてここからどうやって説得しよう…?
「なんで赤葦まで死ぬ必要があるの?」
おっとこれは予想外。1人でならいいとでも言うのか、この人は。
「木兎さんは俺が木兎さん無しで生きていけるように見えるんですか?」
「…見えない」
「それに、俺だってあなたがバレーするのが好きなのと同じくらいあなたのバレーが好きなんですよ。」
「赤葦…」
バレーができず相当弱っていたのか、バレーが出来なくなった時点でそれも視野に入れていたのかは分からないが簡単に説得することが出来た。
決行は明日。
今すぐでも良かったけどお互いに準備も必要でしょう。
そしていつも通り2人でベットに入る。
これが最後の夜になる。
木兎さんが眠ったのを見計らって枕元に置かれた木兎さんのスマホを手に取った。
画面を開くとパスワードを入力してくださいと表示される。
そこに俺の生年月日を入れると1発で開いた。
ロックが解除されたスマホから連絡先も写真も俺以外のものは全て消した。
翌日。
「おはよ、あかーし」
俺より先に目覚めた木兎さんに起こされ目を開くと朝日に照らされキラキラと輝く銀色の髪と黄金の瞳が目に入る。
眩しいな。
「おはようございます。」
体を起こしてキッチンへと向かい朝食を作った。
これが最後の晩餐ならぬ最後の朝飯だ。
「最後の飯ですけど、こんな簡単なので良かったですか?」
木兎さんなら焼肉でも食べたがるかと思ったのに…
「赤葦が作ったご飯ならなんでもいいよ。全部美味しいから、たとえ毒入りでも食える。」
これからやろうとしてることで少しでも木兎さんを苦しめないために彼の食事に混ぜた鎮痛剤がバレていたのかと思い一瞬ギクッとしたがただの例え話だったようだ。
食事を終えると早速準備に取り掛かった。
準備といってもキッチンにある包丁での刺殺を予定しているので大した準備は必要ない。
ただ俺は心中することが1番の目的では無い。
世界から愛される木兎選手を確実に手に入れるために手は抜けない。
「木兎さん、遺言…じゃないですけど、発見された時ちゃんと俺らが愛し合ってたって分かるようにメッセージを残しておきませんか?」
こんな感じで と俺は『俺、赤葦京治は木兎さんを愛しています。』と書いた紙を見せた。
そうしたら木兎さんは
「それいいな!」といって同じように近くにあった紙に書き留めた。
「思い残すことはないですか。」
「おう!」
これで心中する手筈は整った。
「木兎さん、俺にあなたを殺させて貰えませんか。すぐに後を追いますので。」
「うん。いいよ。…もし怖気付いたらお前だけ生きてもいいよ」
後半は小さな声で呟いていた。
「そんなことしませんよ。俺は木兎さんがいなきゃ生きていけないって言ってるじゃないですか。」
俺は包丁を握り彼の胸の辺りに斜めにして突き刺した。
さすがはアスリート、鍛え抜かれた筋肉は固くて刺すのにも一苦労だ。
あぁ、俺、今 木兎さんを刺してるんだな…
気づけば涙が流れていた。
「木兎さん、好きです。好き、好き、好き。本当に愛してます。」
痛いのは木兎さんの方なのに、ずっと覚悟を決めてたのに涙が止まらない。
「あかあしッ…俺も…愛してる…」
木兎さんはそう言って手を俺の包丁を握る手に重ねるとそのまま動かなくなった。
涙は止まりそうにないけど目的を果たしてすぐに俺も後をおわなければ。
チンタラしている暇は無い。
まず俺が木兎さんへの愛を書き留めた紙をシュレッダーにかける。
木兎さんの方だけはよく見えるリビングの机の上に置いた。
軽く部屋の中を散らかしておこう。
これで木兎さんが嫌がる俺を刺して無理心中したように見えるだろう。
このことが知れ渡れば、世界中から愛された木兎さんは世界中から軽蔑される。
世界から愛される木兎選手を殺して俺だけのものにすることができるのだ。
仕上げに自分のスマホを取りだし、ロック画面に木兎さんの生年月日を入れて開ける。
メールを開いて高校の頃からお世話になっている先輩に『助けてください』と送る。
死体が腐って異臭騒ぎなんて発見のされ方は嫌だからな。
俺と木兎さんの関係を知る彼には第一発見者になってもらうつもりだ。
俺がどうしてもなることの出来なかった同級生というポジションで木兎さんと仲良くしていた彼へのちょっとした嫌がらせでもある。
このメッセージに気づいたらきっと家まで駆けつけてくれるだろう。
鍵は開けてあるから入ってきて見つけてください。
俺と木兎さんの愛を。
木兎さんが俺の事を愛していたってことの証言者になってください。
俺は自分のスマホを力いっぱい床にたたきつけてから木兎さんの隣にいった。
ちなみにスマホを叩きつけたのはメッセージを送ったことに気づかれて木兎さんにスマホを奪われたように見せるためだ。
木兎さんの隣に座るとまだ暖かい木兎さんの腕を俺の肩にかける。
床に置いていたもう一本の包丁を掴み、さっき木兎さんにやったように自分の胸に突き刺す。
痛い、痛い、怖い。
でも俺は幸せです。
あなたと過ごせて、あなたの全てを俺のものにできて、もう別れのときのことを考えて不安になることもない。
木兎さん…
「愛してます。ずっと…」
俺は包丁を握る手に力を込め思いっきり刺した。
end.