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あっぷるぱい
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橘 柚
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第1話「彼女が来た日」――続き
校舎の中へ入っていった潔。
その後ろ姿を――
十一人の男子たちは、しばらく見つめ続けていた。
「……行っちゃった」
凪がぽつりと呟く。
「当たり前だろ。入学式なんだから」
玲王が答える。
「……でも」
凪は校舎の中を見つめたまま動かない。
「もうちょっと見てたかった」
「お前、もうそんなに気に入ったのかよ」
玲王は呆れながらも、視線は潔が消えた方向に向いていた。
「……まぁ、俺もだけど」
「…………」
凛は何も言わない。
ただ、潔が歩いていった方向をじっと見ている。
千切がそんな凛を見て、少し笑った。
「糸師くんも気になってるんじゃない?」
「……別に」
「ふーん?」
「…………」
否定したものの、凛の視線は戻らない。
一方――
生徒会長の冴は腕を組みながら、静かに考えていた。
(……潔世一)
まだ名前しか知らない。
なのに。
なぜか頭から離れない。
そのとき、士道が冴の肩を軽く叩いた。
「なぁ、会長」
「なんだ」
「あの女、絶対お前らの好みだろ」
「……何を言ってる」
「だって全員、同じ顔してたぜ?」
士道がニヤニヤする。
「惚れた顔」
「…………」
冴は答えなかった。
だが――
耳がほんの少し赤くなっていた。
「ほらぁ!」
士道が笑う。
「会長も惚れてんじゃん!」
「うるさい」
冴が士道を睨む。
その横で蜂楽が楽しそうに笑った。
「ねぇねぇ!」
「なんだ?」
「潔ちゃん、どのクラスかな?」
「……知らん」
烏が答える。
「入学式のあとにクラス分け発表あるやろ」
「じゃあ見に行こう!」
「お前ら全員で行く気か?」
烏が呆れる。
すると――
黒名が小さく呟いた。
「……行く」
「黒名までかい」
「潔、気になる」
「俺も」
乙夜が手を挙げる。
雪宮も苦笑する。
「僕も少し気になるかな」
氷織は肩をすくめた。
「まぁ……僕も見に行こかな」
「おいおい」
烏は頭を抱えた。
「お前ら、まだ名前しか知らんのやぞ?」
その瞬間。
凛が歩き出した。
「行くぞ」
「凛?」
「クラス発表を確認するだけだ」
そう言って、先に歩いていく。
玲王が笑う。
「はいはい。確認するだけね」
凪も続く。
「俺も行く」
千切も。
「僕も」
そして――
結局。
全員が潔のクラスを確認しに行くことになった。
***
一方その頃。
潔は掲示板の前で、一人で自分の名前を探していた。
「えーっと……潔、潔……」
「あった!」
「一年A組……!」
嬉しそうに笑う。
その瞬間。
「……あ」
後ろから声がした。
潔が振り返る。
そこには――
凪、玲王、千切、蜂楽、雪宮、氷織、烏、黒名、乙夜、凛、士道。
そして少し後ろに、冴。
全員が立っていた。
「……?」
潔は目をぱちぱちさせる。
「みんな、どうしたの?」
蜂楽が真っ先に近づいた。
「潔ちゃん、A組なんだ!」
「うん!」
「俺もA組!」
「本当!?」
「うん!」
蜂楽が嬉しそうに笑う。
「じゃあ同じクラスだね!」
「よろしくね、蜂楽くん!」
潔が手を差し出す。
蜂楽は一瞬固まった。
「……え?」
「握手!」
「……する!」
ぎゅっ。
潔の手を握る。
蜂楽の顔が一気に赤くなる。
「…………」
その光景を見ていた玲王。
「……俺も」
「え?」
「いや、俺も同じクラスだから」
「あ、本当だ!」
潔が笑う。
「じゃあ玲王くんもよろしく!」
「……おう」
潔が手を差し出す。
玲王も握る。
(……柔らか……)
慌てて手を離す。
「……っ」
千切がそれを見て、少し笑った。
「じゃあ僕もよろしく」
「もちろん!」
潔は千切にも笑顔を向ける。
「千切くん、髪綺麗だね!」
「……え?」
「すごく綺麗。私、好きだな」
「…………」
千切、完全停止。
「……そ、そう?」
「うん!」
「……ありがと」
千切は顔を逸らした。
耳まで真っ赤だった。
その横で凪がぽつり。
「……潔」
「ん?」
「俺も同じクラス」
「えっ、本当!?」
潔が凪を見る。
「よろしく!」
「……うん」
潔がニコッと笑う。
凪はしばらくその顔を見つめ――
「……やっぱ可愛い」
「え?」
「なんでもない」
「?」
そして。
その様子を少し離れたところから見ていた凛。
「…………」
冴。
「…………」
士道。
雪宮。
氷織。
烏。
黒名。
乙夜。
全員が思っていた。
――まずい。
――このままだと、本当に好きになる。
だが。
もう遅かった。
全員、とっくに落ちていた。
そして潔は――
「みんなと同じクラスなんて嬉しいな!」
満面の笑み。
本人だけが。
自分が全員の恋心を加速させていることを、まだ知らなかった。
コメント
4件
あの〜すいません 第3見た方すいません(;_;) 生徒会長、いました
ああああ第5話読み終わったよ〜!!😭💕💕 全員が潔ちゃんのクラス見に行くの、もう完全に恋する男子の集団やん!?🤣💖 蜂楽くんが握手で顔真っ赤にするシーン、千切くんが「髪綺麗だね」でフリーズするところ、玲王くんが手離すの慌てちゃうとこ……全部尊すぎて鼻血出るかと思った🥺✨ 本人だけが恋心加速させてるの知らない構図、天才すぎるでしょ!次回が待ちきれないよ〜!!🌸