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「お母さん、お父さん、ただいま」
私は仏壇の前で手を合わせる。
両親は私が高校2年になった時に事故で亡くなってしまった。
私は最愛の両親が居なくなり、寂しい思いをしていた頃に出会ったのが優也だったのだ。
元々住んでいたアパートからは私の物だけを回収し、おばあちゃんちへ帰ってきた。
あの日、苦しみから開放された日。
私はそのまま精神病院へと送られ、半年ほど入院していた。
数ヶ月監禁されていたせいか、人の目線がとても怖くなっていた。
けれどリハビリを続けているうちにだんだん元の状態へ戻ることが出来た。
後日、警察官が部屋を捜索していると大量の薬と凶器、注射器までが見つかったそうだ。
もし優也に逆らっていたら、もし優也が強制的に注射を打ってきていたらと考えるだけで鳥肌が止まらない。
優也の現在は知らない。
警察も私が恐怖を思い出さないようにと詳しいことはそれくらいしか話してくれなかった。
私はそれで十分満足できたが、なぜそこまでして私に執着したのかだけは知りたかった。
優也にしか分からないことだけど。
けれど優也が凶器や注射器を使うことがなかったのは、私のことを大切に思ってくれていたからでは無いかと思っている。
許す気は全くないが、優也のことを嫌いになれない自分がいる。
監禁されていたことはとても辛かったがそんな事が起こらなければ、私が浮気と疑われることをしなければ、普通の恋人になれていたのかもしれない。
過去の記憶を消すことはできないが、今まで体験できなかった感動をこれからゆっくり味わえばいい。
“ 人生は一度きり “
私の第2の人生はまだ始まったばかりだ。