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菊池さん大変でしたね...色々と笑 藤澤さんから湧き出るオーラが凄すぎたんですよね。きっと... 大森さんまで好きにさせちゃうんですからね😆 テレビミセス最高すぎてました。ボブの話で1人で舞い上がってました テレビミセス色々最高でした...
ふまくんに「お疲れ様でした、ナイスファイトです(*•̀ᴗ•́*)و ̑」って伝えたい🤣 💛ちゃん罪なお人だ🤭 最近ご本人様の可愛いの更新がえげつないですよね!テレミセは💙様の発言と目が笑ってない2人のところ鬼リピです🤤あの後の楽屋はどんなだっただろうと妄想が膨らむばかりです🤔
3人の幸せな甘い新婚生活に癒され、💛←💜も大好きでニヤニヤし🤭 もうこのお話、大好きすぎます🫶 私も作者様と同じでテレビ🍏、もう💙💛過ぎて、幸せでした🙏 ボブ好き発言とか、新郎新婦ごっこにいちゃつくな発言とかとか🫣 補給されましたよね💕
ふたたびふまくん視点。なっがいのはごめんなさい。
ふま→💛感強めなので苦手な方はご注意を。
リビングに入るとテレビを観ていた若井くんが俺に気づいて、わざわざ立ちあがって挨拶をしてくれた。
「お疲れ様です。……元貴たちは?」
「お疲れ様です。玄関でいちゃついてる」
素直に俺がそう答えると、若井くんはなんとも言えない表情になった。申し訳ないと言いたげな、それでいて俺を探るような視線を向けられ、首を傾げる。若井くんにそんな目を向けられる理由が分からない。
「……あんまり元貴を挑発しないでくださいね」
「え?」
お願いというより警告に近い声のトーンでそう言うと、訊き返した俺には何も言わずに、未だ姿を現さない二人がいるであろう玄関に向かって声を張った。
「涼ちゃん、タイマー鳴りそうだよ!」
廊下の奥の方であ! と声が聞こえて、とたとたと足音が響く。
「ありがと若井! あ、菊池さん、好きなとこに座ってください。今飲み物出しますね」
「俺出しとくから」
「ありがと。ね、プリンいただいたの、あとでみんなで食べようね」
「うん。美味しいからって二つ食べないでよ?」
「食べないよ! ……たぶん」
「たぶんかよ。いいよ、俺の分あげる」
「えっ、いいの?」
「食べる気じゃん」
おいおい、若井くんとのやりとりもなんか恋人っぽいよ?
というか若井くんもここに入り浸りな感じ? 勝手知りたると言うより、もはや自分の家のような扱いするじゃん。
そんな二人を眺めながら取り敢えずソファに腰掛ける。広いリビングダイニングに、大きいテレビ、整然としているのにあたたかみのある空間。他人の家なのに疎外感を覚えないのは、藤澤さんの癒し効果だろうか。
俺が渡したプリンを冷蔵庫にしまって火にかけていた鍋の中身を確認し、冷蔵庫からお茶を取り出す若井くんにおいしそうにできたと嬉しそうに笑う藤澤さん。後ろから鍋の中を覗き、微笑む藤澤さんを優しく見つめる若井くん……うん? 空気甘くない?
「お茶でよかったですか? お酒もありますけど」
「ありがとう。お酒はみんなが飲むなら後でいただこうかな」
「涼ちゃんは飲みたがると思うのでそのときに」
お茶を受け取り、横に座った若井くんを見つめる。
「結婚したのって、元貴くんと藤澤さんだよね?」
「そうですよ」
「じゃぁ若井くんはキノコ要員?」
「なんすかそれ」
「いや、随分ここに馴染んでるなって」
「あぁ……。ここ、俺の家でもあるんで」
「は?」
相変わらずちょっと分からないことを言う。怪訝な顔をした俺に、若井くんは少し考えた後、
「ここ、社長が結婚祝いにくれたんですよ。で、二人はここに住んでるんですけど、俺の部屋もあって」
週一くらいで帰ってくるんです、と答えた。
なるほど分からん、し、こんなすごいところくれるんだ? すごいねおたくの社長。
「第二の住まいってこと?」
「そんな感じです。実家みたいな?」
全然分からないけれど、三人の家ってことらしく、それなら若井くんが慣れ親しんでいるのも分かる。若井くんと藤澤さんの二人が作り出す甘い空気感は別として、新婚家庭でもリラックスしている理由はわかった。
それにしても、事務所をあげて二人の仲を公認して護ってくれるって素晴らしいね。
ところで、と若井くんが不思議そうな顔をする。
「キノコ要員ってなんですか?」
「元貴くんがキノコ祭りやってるから来ないかって」
「あぁ……なるほど、そうやって誘われたんですね」
納得したと頷いた若井くん。なになに、こわいんだけど。
「変なこと訊きますけど、菊池さんって涼ちゃんのこと狙ってたりします?」
「……なんで?」
「狙ってないならいいんですけど……もしそうならやめて欲しいなって思って」
口調は穏やかで苦笑を浮かべている割に、若井くんの目は笑っていない。まるで俺が平穏な日々を壊す破壊者だとでも言わんばかりだ。元貴くんがこの目をするなら分かるけど、なんで若井くんまで?
誓って言うけれど、藤澤さんと付き合いたいとは思っていない。思っていない、よな? そんな風に詰められると、自覚していないだけで俺は藤澤さんが好きなのか、って気がしてきてしまう。
「……邪魔する気はないよ」
仲良くなりたいというのは本音だ。あの大森元貴が全幅の信頼を寄せる二人のうち、異常なほどの執着を見せる彼に興味があるのは嘘じゃない。
だからといって奪いたいと思っているわけでもない。ただ、知りたいとは思ってしまう。彼の何がそうさせるのか、その魅力に迫りたいとは思ってしまう。
「……もう一度言いますけど、あまり元貴を刺激しないでくださいね」
小さな溜息と共に今度は明らかに警告される。
なんとも言えない感情を抱きながら返事に窮していると、元貴くんがやってきた。シャワーを浴びてきたらしい彼は首にタオルを掛けたまま、こちらには目もくれずまっすぐに藤澤さんのもとに歩み寄る。
「今日は何?」
「煮込みハンバーグだよ……ってお風呂入ってきたの? お客さんいるのに」
「風磨くんだからいいの」
「よくないよ、若井がいてくれたからいいものの……」
「味見したい」
「んもう、聞いてるの?」
うしろから抱きつく元貴くんに呆れたように言いながら、スプーンで鍋からひと匙すくうと、ふぅ、と少し冷ましてから元貴くんの口にそれを運んだ。
息するようにイチャつくじゃん。これを間近で見せられる若井くんはどんな気持ち……ってなるほどね、なんも感じないのか、あまりにも日常すぎて。そりゃ誰も聞かなくなるわ、惚気話。
若井くんは気に留めることなくニュースを観ていて、俺も視線はテレビに向けたまま、耳だけ二人に傾ける。
「ん、おいしい」
「ほんと? これね、元貴のお母さんが教えてくれたんだよ」
「だからか。食べたことあると思った」
「おふくろの味になってる?」
「まぁ。……でも、これは奥さんの味、でしょ」
誰アレ。ほんとに大森元貴? 俺の知ってる大森元貴じゃないんだけど。
「愛込めまくってるからね!」
「愛は俺のにだけ込めてくれればいいから。若井と風磨くんには込めなくていいから」
あ、やっぱ大森元貴だわ。
「気にしたら負けですよ」
チラリと俺を見る若井くんの助言はもっともだ。肩をすくめて見せると、小さく笑われた。
おそらく元貴くんは、俺にこれを見せたかったのだろう。他人の入る隙などないと、爪の先程の余地もないと示したかったんだろう。
そんなつもりはないと自分では思っているけれど、彼にも若井くんにも気づかれていた、俺自身が気づいていなかった俺の奥底にある感情を抑制するために。
……まぁ、そんなことで諦める俺ではありませんけどね?
気づかせたのはそっちなんだから、もう少し抗わせてもらうよ?
藤澤さんが作ってくれた夕飯は、お世辞抜きに美味しかった。そして元貴くんの言う通り、キノコのオンパレードだった。キノコの入った煮込みハンバーグにキノコのナムル、キノコのスープ。全部絶品だったけど、これが毎日となると確かに飽きるかもしれない。
でも、美味しいと素直に呟いた俺にふわふわの笑顔を向けて、よかったとご機嫌な藤澤さんを見ていたら、キノコはもういやだなんて口が裂けても言えない気持ちもよく分かった。毎日でも食べたいくらいだと言ってしまいそうになるくらいの愛らしさだった。
そうならなかったのは、ひとえにずーっと元貴くんが藤澤さんにべったりだったからだ。その様は藤澤さんが困惑するくらいで、なにかあったの? と心配さえしていた。若井くんは呆れたように元貴くんを見て、俺を見て溜息を吐いていた。
そして今、俺に最大のチャンスが訪れている。
お酒を入れる前にそれぞれお風呂に入ろうと言うことになり、まずは俺が入らせてもらった。下着はコンビニで購入したもの、着替えは若井くんのシャツとハーフパンツを拝借した。どうせなら藤澤さんのを借りたかったけれど、当然阻止された。
俺の次に若井くんが入りに行き、三人でテレビを流し見しながら映画の話や音楽の話をしていると、大森くんのスマホが鳴って、舌を打ちながら席を立った。去り際に俺を一瞥する彼に、ごゆっくりと手を振る。忌々しげに眉を寄せるも、出ないわけにはいかない相手なのだろう、隣の部屋に引っ込んだ。
「藤澤さんって、料理上手なんですね」
「そんなことないですよ、お口にあったなら良かったです」
「いやいやほんとに。元貴くんが羨ましくなるくらいですよ」
「もー、褒めてもお酒くらいしか出ないよ……あ、出ないですよ」
慌てて言い直した藤澤さんに、いいのに、と笑う。
「俺の方が歳下だし、敬語、なしにしません?」
「いいの?」
「もちろん。風磨呼びでいいし、俺もタメ口でいい?」
「もちろん!」
うーん、かわいい。
見た目がどうこうより、仕種とか反応がかわいいんだな、この人。
「急に元貴が誘ったんだよね? 迷惑じゃなかった?」
「全然。あ、それよりいつの間に結婚したの? まじでビビったんだけど」
「んーと、いつだったかな、ちょっと待ってね」
そう言って藤澤さんは立ち上がると、小さな棚の上に飾ってあった額縁を持って戻ってきた。
婚姻届……うわ、二宮くんが証人じゃん。なんも言わなかったなあの人、ついこの間会ったのに。
「提出はできないんだけどね」
宝物に触れるようにそれを撫で、藤澤さんは少しだけ寂しそうに笑った。今の日本でこれを書いたところで法的効力はない。公表することで多少なり活動に影響は出るだろうから、世間には秘匿する関係だ。明らかにすることで悪い方にばかり傾くとは思わないが、世間はいつだって非情で残酷だ。
下手な慰めなんてできない。きっとたくさん話し合って、現状を選んだんだろうから。だけど、これだけは知っていて欲しい。
「……しあわせそうに見えるよ」
「え?」
「元貴くんも藤澤さんも。すごくしあわせそうで、結婚っていいなって思った」
そんなものがなくたって、二人は確かに結婚していて、誰よりもしあわせそうだと言うことを。
「……ありがとう」
泣きそうに笑った藤澤さんを、思わず抱き締めそうになるがどうにか堪える。抱き締めたタイミングで元貴くんが戻ってこようものなら、追い出されるだけじゃ済まないだろう。
「……たまにね」
ぎゅ、と額縁を抱き締めて藤澤さんが呟いた。
「しあわせすぎて、こわくなる」
「え……」
「こんなにしあわせでいいのかなって。いつか、壊れちゃうんじゃないかって」
満たされているからこその不安を吐露する藤澤さんは、元貴には内緒ね、と微笑んだ。
たまらないな、と思った。ともすれば全てを手にした人間の嫌味にもとれる不安なのに、この人が言うとどうしてこんなにも儚く映るんだろう。
先ほどは抑え込めた衝動があふれ出して、藤澤さんの肩に手を回そうと手を伸ばす。
「涼ちゃん」
静かな声が俺を止めた。
振り返ると、ほかほかと湯気を纏った若井くんが入り口に立っていた。
「お風呂、入っちゃいな」
「あ、うん。元貴が戻ってきたら先飲んでていいからね」
「何してんのあいつ」
「電話かかってきたみたい」
「あー……了解。涼ちゃん秘蔵の日本酒あけとく」
「それは待っててよ!」
はいはい、と言いながら、待っててよ? と念を押す藤澤さんをお風呂へと見送り、若井くんは冷めた目で俺を見た。
「……言いましたよね、刺激しないでって」
「いなかったからノーカンにして」
「次はないですよ」
「なにがないの?」
こっっっわ。なんでこのタイミングで戻ってくんの。
「ねぇ、なにがないの?」
一ミリも笑っていない笑顔を浮かべ、元貴くんが俺を見下ろした。若井くんは慣れているのか無視をするのが適切な反応なのか、涼ちゃん風呂行ったから先に飲んでよ、と話を変えた。
納得がいかないという顔をして若井くんを睨んでいたが、机の上にある婚姻届に気づいて、それを丁重に持ち上げた。
「言ったでしょ? 俺のだって」
「分かってるって」
「ほんとかよ」
思いっきり舌を打つ姿は信じられないくらいガラが悪い。棚の上に飾り直すと、お酒と水を持ってきた若井くんから水をひったくって飲み干した。若井くんは不機嫌な元貴くんに溜息を吐いて、
「席を空けるお前が悪い」
とぶっ込んだ。ムッとした元貴くんが噛み付く。
「仕事の電話だったの!」
「だとしても。分かってて連れてきたならちゃんと自分で見てろよ」
若井くんの言葉に、元貴くんは奥歯を噛み締めて押し黙った。険悪な雰囲気に少しだけ申し訳ないなと思いつつ、俺のせいだしなぁと頭を掻く。
だけど、元貴くんがしょんぼりしながら、
「……ごめん」
と謝れば、若井くんはやわらかく笑って元貴くんの頭を撫でた。こっちはこっちで仲睦まじい空気感出すじゃん……。
「ん。元貴も飲むでしょ?」
「うん」
「菊池さんはビールでいいですか?」
「はい、大丈夫です」
「なんで敬語」
いやまぁ、空気を悪くした反省を込めて、ね。
ふと目を覚ますと、だだっ広い、無駄に枕がたくさんある場所にいた。どこだここ、と頭が混乱するが、すぐに元貴くんたちのベッドだと思い至る。
あのあとお風呂から出た藤澤さんも交えて結構な量のお酒を楽しんで、いつの間にか寝落ちしたらしい。運んでくれたのかと流石に申し訳なくなり、ベッドからおりて扉を少し空けてリビングを覗く。誰かの気配がする。
音を立てないように部屋を出ると、ダウンライトが灯る中、ソファに座る藤澤さんと目が合った。そろそろと近づくと、藤澤さんはへにょ、と眉を下げた。
「……起こしちゃった?」
密やかな声で問い掛けられ、慌てて首を振る。
「いや、目が覚めて。っていうかごめん、ベッド……」
「いいのいいの、気にしないで。枕多くて寝にくいかもだけど」
元貴こだわりの枕たちなの、と小さく笑う藤澤さんの腰にしがみつくように、膝枕で眠る元貴くんを見下ろした。子どもみたいに安心し切った顔ですやすやと寝息を立てる元貴くんの頭を、藤澤さんが優しく撫で続ける。心底愛おしいっていう目で見つめながら。
「俺がお風呂入ってる間、元貴、なにもしなかった?」
「え?」
「風磨くんに、攻撃みたいなこと」
驚いて目を見開いた俺の反応を見て、なにかしたんだ? と藤澤さんは苦笑した。明確に何かされたわけではないけれど、このお呼ばれ自体が攻撃といえば攻撃だろう。
「なんか今日様子変だったし、焦ってるみたいだったから」
ベッタリとくっついていたことを言っているのかは定かではないが、藤澤さんから見るといつもの彼ではなかったようだ。
「なにもされてないよ、大丈夫」
「ほんとうに?」
「……ほんとうに」
少し警告めいたことはされたけれど、あれは俺が踏み込みすぎたからだし、若井くんが止めてくれたからなにもなかった。
「それならいいんだけど……もしなんかしてたなら、代わりに謝るね。……ごめんなさい」
しっかりと頭を下げる藤澤さんに、己の抗いの無意味さを悟る。若井くんが制止しなくても、元貴くんの牽制がなくても、俺の足掻きなんて本当に無駄だったんだ。
他の誰でもなく、藤澤さんの方からシャットアウトされたんだから。
「このままベッド借りちゃっていいの?」
「うん。若井と寝たかったらそっちでもいいよ? 面白い寝言が聞けるかも」
「……それはそれでおもしろそうだけど、せっかくだしこだわりの枕を楽しませてもらおうかな」
目が覚めたときに横に俺がいたときの若井くん反応も気になるけれど、眠るところを邪魔するのも忍びない。
「おやすみなさい」
やさしく微笑んでくれた藤澤さんに、俺も笑顔で応じる。
少しだけ胸の奥の方に疼く痛みには気付かないフリをした。
終。
恋愛感情ではないような、そうでもないような。
新曲MV可愛すぎだし、テレミセの若様どうしちゃったのほんと。