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私は今日学校の屋上から落ちて死んだ。でも、顔が良すぎる王子に言われて魔法少女になった?ことで私は死ななかったことになったらしい。
「、、、いや夢だろ流石に!」
そんなわけないでしょうと。
私の大声に道を行く人が数人振り向いた。はずかしい。あんな夢を見たこともはずかしい。てか、さっきのはどっからどこまでが夢なんだろう。机に紙が入ってたあたりから?私はいつから花壇で寝てたんだろう。考えれば考えるほどよくわからなくなっていく。
「、、、まあ、いっか!」
「、、、なにこれ」
家に帰って制服を脱いで下着姿になった私は手を洗おうと向かった洗面所の鏡を見つめた。
右の鎖骨のあたりにピンク色のキラキラした石?みたいなのが埋め込まれている。爪を引っ掛けても全然取れない。割ってみようかとも思ったけどなんだかそれはやっちゃいけない気がしてやめた。
「どーしよう、これ」
幸いにも制服を着ていれば見えない位置にある。でもずっと放置するわけにはいかないし、、、病院に行く?皮膚科かな?なんて考えていたら玄関の扉が開く音がした。
「ただいま〜」
お母さんが帰ってきたみたい。とりあえず1人部屋にしては広い自室に戻り部屋着に着替えてお母さんを出迎えた。
「おかえり」
まあ、考えるのは明日でも良いか。
学校でずっと石のことを考えてみた。昨日の学校の間はなかったよな。家に帰ったらなんかできてて、ってことはあの変な夢が関係してるのか?
なんて考えながら気がついたら授業も全部終わっていつも通り侑李といっしょに電車で帰った後、駅で別れた。
石、王子、魔法少女、、、これに何か関係があるんだろうか。ぼーっと歩きながら考える。もしかして夢じゃなかったのかな。それとも普通に病気?変な夢見るし、変な石生えてくるし。
「うーーーーん、、、ん?」
ふと足を止めた。あれ、こんな道通るっけ?
ぼーっと歩いていたからか、気がついたら通ったことのない道に出てしまっていたらしい。でもなんか変だな。なんでこんなに人がいないの?さっきまで放課後デートしてるカップルの会話とか公園で遊ぶ小学生の声とかたくさん聞こえてたはずなのに、今は怖いくらい静かだ。それにやけに空が赤い。まだ日が暮れる時間じゃないのに。スマホは圏外だし、どうなってるの?
そんなことを考えていたら、、、
ドゴーーーーーーン‼︎‼︎‼︎
「!?!?!?」
今まで聞いたことないくらいでっかい破壊音が後ろでした。
「な、なになになに」
思わず振り返った私は息を呑んだ。そこには、、、
5メートルくらいの大きさのなんかプニプニしてそうでプリンみたいな形した黄色の化け物がいた。体のあちこちにまんまるの目がついていてパチクリとコチラをみている。
「ヒ、ヒイイイイイイ!!!」
今までこんなキモいのみたことない!なんなのこれ!?スマホの圏外もこいつの仕業か!てか誰もいないの???
なんて考えていて気がついた。スマホもバックもない。なんなら制服を着ていない。私が制服の代わりに身に纏っていたのはピンク色のフリフリした服だった。髪にはリボンがついていて、袖は白いレースのひらひら。外側に跳ねた形のスカートはものすごく短い。なんだこれ。プリキュアか?私はプリキュアになったのか??もしかしてあの夢は夢じゃなくて現実だったの???あたふたしていたらプリン星人(勝手につけた)が口っぽい穴から緑の塊を噴射してきた。
「うわっ」
絶対避けれないと思ったけどそのままやられるわけにもいかないのでなんとか避けようとジャンプしてみた。すると、
「うわぁぁぁぁ!!」
ちょっと飛んだだけなのに私の体は数メートル先に飛んでいった。初めての感じに体が対応できず、その先の地面をゴロゴロ転がった。めちゃくちゃ痛い、、、。
「あれ?初めましての顔だね。」
私以外の人の声が聞こえた。声のする方を見ると電線の上に髪の長い人が見えた。私の服とは違って赤と白の服。上半身の肌の露出高めだな。下半身は後ろの方に腰から長めのマントみたいなのが見える。
「もしかして新人ちゃんかな」
その人影は素早く電線からまだ倒れたままの姿勢の私のすぐ近くに降り立った。
「私工藤杏梨。魔法少女はじめて一年半くらい。高三。よろしくね。あんたは?」
「、夢井夢。高一、です」
「、姉妹いる?」
「、いや、一人っ子ですけど、、、」
「、、、そっか」
杏梨さんは私の手を取り起こしてくれた。吊り目のキリッとした人だ。
「みた感じ今日がはじめてのお仕事かな?先輩の私がいろいろ教えてあげる!」
そういって杏梨さんはどこから出したのか爆弾を両手に持った。
「私はこれを使って戦うの」
そう言って両手の爆弾をプリン星人に投げると私の手を取って走り出した。
「わぁ!」
杏梨さんは「ここでいいか」といって屋根がついてるタイプのバス停にしゃがんだ。私も杏梨さんに習ってしゃがむ。杏梨さんはふふッと笑って
「耳塞いで」
言われるまま耳を塞いだ。
ドッカーーーーーーーン‼️‼️
爆発音と一緒にバス停の外に緑色の小さな塊たちがびちゃびちゃと音を立てて地面に着地した。
「やれたかな?」
2人でそっとバス停から出てみる。まだプリン星人はモゾモゾと蠢いていた。
「んー、二つじゃ足りなかったか。もう一回やってみても良いけど、、、夢!次はあんたの番ね」
「え、ええ!私爆弾なんて持ってないんですけど、、、」
「別に爆弾じゃなくても良いんだよ!手のひらを上に向けて両手を出してみて。そして想像するの。」
「想像?」
「そう。何が1番自分の中で武器っぽいかなって」
目を閉じてみた。武器武器武器、、、金槌とか?バットもありか?ピコピコハンマーも武器になるうるよな。あの形面白いし、、、
「ンッフフフ」
杏梨さんの笑い声が聞こえて目を開ける。私の手の上には私の身長よりもちょっと小さいくらいのピンク色のピコピコハンマー的なものが握られていた。
「あ、」
「夢にとっての武器はそれなのね、、、」
笑いを堪えて杏梨さんが言った。
「でも、素材は固そうだし悪くはないか。じゃ、自分の思うようにやってみて。」
「お、思うようにって、、、」
自分の両手に握られたハンマー?を見る。触った感じは金属でできているのに不思議なくらいに質量を感じない。大きさの割に軽すぎるそれは片手でも振り回せるように思える。こんなので何ができるんだ。
「それはあんたの武器よ。あんたにしか扱えないの。その武器を信じて戦うのよ。」
「戦うって言ったって何をどうしたらいいの?」
「あ、それを伝えてなかった」
杏梨さんは左手でプリン星人を指さした。
「あの怪物は一度死んだわたしたちにしか倒せないの。あの怪物の体の中心部あたりにハート型の石がある。それを割るか体からとり除ければあいつらは動かなくなるの。あんたの武器なら割ったほうが早いわね。」
他の詳しい説明は後、そう言って杏梨さんは私の背中を押した。
「新人だもんね、なんかあったらサポートに入ってあげるわよ!だからいってらっしゃい!」
「へ、」
杏梨さんに力いっぱい背中を押された、と思うと同時に私の体は空高く舞い上がった!
「う、わぁぁぁぁぁ!!!」
「体勢持ち直すのよー!!」
杏梨さんはなんか言ってるがそんなの聞いてる余裕はない。
「あひゃぁぁぁぁぁ」
情けない声を出しながら私の体は空中で一回二回三回転してようやく体制が安定し、私は斜め下にいるプリン星人をとらえた。
ハート型の石なんて見えないけど、、、でもそんなことを考えてる暇もなく私の体はさっきまで浮かんでいたと思ったら次はプリン星人に向けて落下し始める。
やばい!
このままじゃプリン星人とぶつかってこっちが死ぬ!
ハート型の石なんて見えないけど、、、落ちていく感覚と空気抵抗になんとか逆らってピンクのハンマーをなんとか両手に持って頭上に構えた。
「う、らぁぁぁぁぁあ!!!!!」
なんとかタイミングを見計らってプリン星人にぶつかる一瞬前にハンマーを振り下ろした。
絶対ぶつかって死ぬと思ったのに、気がついたら無傷で緑色の液体の中に立っていた。
「、、、わたし、できた?」
安心しようとしたが緑の液体たちがモゾモゾと動き出す。
「うわぁあ!きもいっ!」
そうか、まだハートの石とやらをなんとかできていないんだ!周囲を見渡すと周りの緑の液体の中に混じって緑のブヨブヨしてそうな塊がある。その中に光をみた。
「あれか!」
迷わず私はその塊に向かって走り出しハンマーを構える。そしてその走りの勢いのまま前に向かって飛んだ。ハンマーを振り下ろす。
パリン
ガラスが割れるような音がして緑のブヨブヨが形を失った。それと同時に周りの液体たちもフシューーと音を立てて消えていった。どうやらなんとか終わらせられたらしい。何回も死んだと思ったけどまた私、生きてた。