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「はじめてにしては上出来だよー!!」
後ろから杏梨さんが走って肩を抱いてきた。なんてフレンドリーなのかしら。
「さあて、じゃあいろいろ説明してあげようかな。ここじゃなんだし戻ろっか」
「戻る?」
「細かいことはあと!ついてきて」
いわれるがまま杏梨さんについていった。杏梨さんはまっすぐ道を歩き続けた。この先に扉かなんかがあるんだろうか。それにしてもここはどこなんだろう。見た感じどこにでもある普通の街って感じ。ビルがあってマンションがあって。今歩いている道だって普通の道。ただ人は私と杏梨さんしかいなくて、さっきのプリン星人が暴れてた場所は地面がへこんだり、ひび割れたりしている。あれ???杏梨さんはずっとまっすぐ歩き続けてるけど、、、行き止まりじゃない?目線の先にはもう道はなくて硬い石の塀がある。どうするのどうするの?飛び越えろとか言うの?あたふたしている私に気がついたのか杏梨さんはこっちをチラリと見て、
「足止めちゃだめだからね。」
そう言って私の右手を引いた。
「え、えっ?」
そしてさっきよりも少し駆け足になって杏梨さんは塀に突っ込んだ。
「うわっ!」
反射的に目を瞑った。
横を下校中の小学生が通り抜けていった。車の走る音。信号の青を知らせる音。たくさんの話し声。世界が元に戻ってきていた。
「あれ、」
「早くおいでー!置いてくぞー」
いつの間にか手を離していた杏梨さんは離れたところで手を振っている。返事をする暇もなくその後ろ姿を追いかけた。
カラン,,,
「いらっしゃいませー」
やる気のなさそうな店員の声とは裏腹に店内には軽快な音楽がなっている。
「何飲むー?あたしは,,,アイスカフェラテにガムシロ5つ!」
甘党なんだな。
「えっとー、じゃあ私はアイスココアで。」
「甘党なんだね。」
「,,,」
やる気のなさそうな店員に2人分の注文を終え、店員が厨房にに入っていったのを見て杏梨さんは話し始めた。
「んーとまず、初仕事お疲れ様!なかなかいい出来だったよ。」
「あ、あざす」
「うんうんうん、やっぱよくわかんないよね急に魔法少女なんて言われたって。」
「はい、」
頼んでいた飲み物が運ばれてきた。杏梨さんはガムシロップを5つ入れてスプーンで混ぜながら
「あたしも最初の頃は大変だったなー,,,でもすぐ慣れるよ!」
そう言っていと口アイスカフェラテを飲んだ。
「んー、もう一個入れても良かったな,,,てゆーか夢はなんで死んだの?」
「え?」
「あれ、死んでさ、人に会わなかった?魔法少女になれって行ってくる男の人。」
「あ、会いました,,,」
夢じゃなかったのか、あの王子は。
「あの人たちのことを私たち魔法少女は”救世主”って呼んでる。」
「救世主、、、?」
「そう、うっかり死んじゃった私たちに生き返るチャンスをくれる。だから救世主。」
「ああ、たしかに」
そうか、私はあの救世主(王子)に救われたってことか。
「んで、私たちは生き返らせてもらったお礼として魔法少女として戦ってるわけなんだけど、、、モンスターがでたあの空間。あそこは”集いの間”って呼ばれてる。」
「何が集うんですかね、、、?」
「そりゃもちろん魔法少女たちよ。基本あの空間には2人から5人の魔法少女が集められる。だいたいそれはグループ分けされていて顔ぶれはあんまり変わることはないの。使う武器とか立ち回りとか集いの間に呼ばれるたび変わってたらからないからね。」
「はえー。じゃあ私は今日杏梨さんと一緒だったからこれからも一緒になることが多い感じですか?」
「そのとーり!飲み込み早いね!だからこれからもよろしくねー!」
「あ、はい。あれでも5人のグループあったのがわたしはいったら6人になっちゃうんじゃ、」
言った瞬間杏梨さんの笑顔が一瞬引き攣った。
「あ、あーね。そこは心配しなくていいのよ。そのうちわかる!てことであとはモンスターの説明ね。」
これ以上話したくなさそうだったので聞くのはやめた。
「モンスターたちはいっつもどでかいの。だから力とかも強いんだけど、私たち魔法少女は集いの間に行くと体がモンスターたちに対応できるくらい頑丈になる。あんたも感じたでしょ?ちょっとはねただけのつもりがぶっ飛んじゃったり。」
たしかに、、、。攻撃を避けようとしてぶっ飛んだな、、、。
「心当たりあるみたいね。まあとにかく私たち魔法少女は集いの間にいけば無敵と言っていい。」
「無敵、?」
「そう。集いの間で受けた攻撃って全て避け切れるもんじゃない。避けきれなくて深手を負ったりして動けなくなることだってある。受けた傷がすぐ治るってわけには行かないんだけど、、、集いの間で私たちは死なないのよ。」
「不死身ってことですか??」
「んー、不死身とはちょっと違うのよね。正確には死ぬは死ぬんだけど、一回死んだらそれまでに受けた傷全部治って万全の状態で復活しちゃうの。」
「えええ!めっちゃ不死身じゃないですか!」
「そーなの!すごいでしょ。でもギリギリ死なない傷を受けちゃったらけっこーしんどいのよね。モンスターたちも動かないものは襲ってこない。動けなくなったら攻撃してこないわけだから他の魔法少女が倒してくれるのを待つか、自分で死ぬかしなきゃいけなくなる。」
「へあー、自殺しなきゃってことか、、、」
自殺、、、自分で自分を殺すってかなり想像し難い。
「まあそんな難しく考えなくても時が来ればなんとかできるわよ!これからがんばろーね!」
差し出された右手を自分の右手でぎゅっと掴んだ。まだ現実味全然ないけど私は本格的に魔法少女になったらしい。