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〈前方200mに敵を発見。直ちに突撃せよ〉
雑音が耳に入る。
クソ…。いつまで戦わなきゃいけないんだよ。
この銃を捨てることが出来たらどれほどよかったのか。
廃れた街を見つめながら出来る筈もないことを思った。
この街も前までこんなんじゃ無かったのに…。本当にこの戦いは必要なのか。疑問が生まれる。
「ネイサン!早く行くよ!」
リリーが俺を呼んだ。
「分かってるって」
「…どうしたの、 大丈夫?」
はあ…大丈夫な訳あるかよ…こんな命に関わることで浮かれてる奴なんてお前ぐらいだよ。そう言おうとしたがリリーを怒らすとまずいので言わなかった。
「別に。人の心配する位だったら自分を守れよ」
「…そう。じゃあ私、戦わないよ」
…は?
そう言ってリリーは銃を地面に捨てた。一瞬の出来事に理解が遅れた。
「何やってんだよお前!こんな事して馬鹿かよ!」
気づけば自分の口から言葉が出ていた。
「うん、私馬鹿だから」
酷く冷静な返事のリリーは俺に手を差し伸べた。
「ネイサン、一緒に逃げない?」
「は…?」
何処まで勝手なんだよ、この女。
「ははっこんなん上にバレたら死んじまうぞ」
面白おかしくなって思わず笑ってしまった。こんなに笑ったのは久々だな。
「絶対に裏切んなよお前」
そうして俺は手を出した。
「そっちこそ裏切ったら許さないからね」
冗談混じりでリリーが言う。こいつの笑顔、初めて見た気がする。
この空間に合わない位眩しくて明るい笑顔を見せたリリーと俺は旅に出た。