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・オリキャラ
・キャラブレあり(簡単に云うとキャラ崩壊)
それでも良いよって方は、楽しんでね。
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「…どこかなぁ、どこかなぁ。早く、早く見つけなきゃ。」
辺りに小さくソプラノの無機質な声が響いていた。
そこには鎌を引き摺りながら、川沿いを歩いている一人の少女が居た。
軽やかに地面を蹴って少女は歩く。
然しその眼は虚ろで、何処か遠くを見つめていた。
ズルズルと音を立てて引き摺られる様に少女は歩いていく。
すると少女の目の前に、1人の青年が姿を現した。
青年は少女を見て少し目を見開いた後、直ぐに微笑んだ。
「やっと見つけた。」
出会って早々、少女に聞こえるか聞こえないか位の音量で青年はそう呟いた。
青年は少女を何処か懐かしげな顔をして、微笑んで見ていた。
少女は青年に行く手を阻まれた為、進行を止める。
そして目の前に立つ青年を見た。
茶色の蓬髪に、奥の見えない瞳。
羽織っている砂色のコートは潮風に揺られ、その場で靡いていた。
青年と目が合った少女は真っ直ぐに青年を見つめ返す。
まるで、得体の知れない何かを見る様に。
「あなた、だぁれ?」
感情の篭もっていない声が辺りに木霊する。
少女は青年に向かって首を傾げながらそう問うていた。
仕草は子供の様だが、その瞳は未だに底が見えない程暗い。
そんな少女を見据えて青年は口を開いた。
「おっと、これは失礼。 私は太宰 治。
漸く君に会う事が出来て嬉しいよ。」
太宰、と名乗る青年は変わらず懐かしげな顔でそう云った。
肩を竦めて微笑む太宰に少女は更に首を傾げた。
少女の表情は一切変わる事は無かったが、反応をされた事に対して太宰は笑みを深くする。
「君を探していたのだよ。旧友に頼まれたあの日から。」
何処か遠い目で話す太宰を、少女は唯々見つめていた。
一筋の光すらも無い金色の瞳が太宰を捉える。
そして話を一区切りした太宰に、少女は持っていた鎌の先端を向けて云った。
「わたしね、武装探偵社…?ってところを探しているの。
あなたはどこにあるか知らない?」
少女は白銀の長髪を風に靡かせながら、太宰にそう問うた。
然し太宰は向けられた鎌の先端を見つめて、わぁ其れは脅迫かい?等と腑抜けた事を口にした。
周りの空気はピンと張り詰めている。
だが太宰は少し間を置いた後、冷たい空気を物ともせずに、あっけらかんとした表情で云った。
「武装探偵社だろう?勿論知っているさ。
何しろ、この横浜じゃ知らない者は居ないくらい有名だろうからね。」
「ほんとう?じゃあ___」
「然し非常に残念だが、”今の君”には紹介出来ないよ。」
含めた笑みを零す太宰。
少女は話そうと口を開こうとしたが、太宰が先に喋る事によって制止された。
少女は静かに口を噤む。
太宰はというと、先程までのにっこりと微笑んでいた表情は消し、瞳の眼光を鋭くさせていた。
そして太宰は観察する様な眼差しで少女を見る。
暫く硬直状態が続いた。
聞こえるのは、風が吹く音や鳥の囀りだけであった。
辺りには緊張が走り、息が詰まる程緊迫している。
「…誰が君をそんな風にさせたのかな。」
ふと、太宰の口からそう呟かれる。
意味を理解出来ない少女は不思議そうに太宰を見た。
__が、その表情を隠す様に太宰は先程までの笑みをもう一度見せた。
「いや、此方の話だよ。
それで?君は武装探偵社に用があるのだよね。」
太宰は肩を竦めてそう少女に問う。
武装探偵社、と云うフレーズに少女は小さく反応した。
そして少しも躊躇う事無く口を開く。
「おしえてくれるの?」
鎌を元に戻して、少女は太宰にそう尋ねた。
赤く染まった夕陽に照らされ、少女の白銀の長髪は少し赤められた。
そんな少女を太宰は見つめる。
そして両手を大きく広げて云った。
「勿論さ!教えるも何も、私は武装探偵社の社員だからね!」
そう云った後、太宰は不敵な笑みを浮かべて少し体の重心を後ろへ逸らす。
すると次の瞬間。
太宰の首には一筋の鮮血が垂れていた。
目の前には鎌を構えた少女の姿が映り込む。
殺気立った金色の瞳が真っ直ぐに太宰を見据えていた。
太宰の返答を聞いて直ぐに、少女は太宰の首を狩ろうとしたのだ。
真意は解らないが、それを察知した太宰が間一髪の所で少女の攻撃を回避したのだった。
鎌を持ち直した少女は太宰を鋭い目で捉える。
そんな少女の表情を見つめ、太宰は微笑んだ。
「これはこれは、随分と血気盛んになったものだねえ。
昔はあんなにも可愛らしかったのに。」
あ、今もだよ?等と呟きながら、太宰は少女の繰り出す攻撃を易々と避ける。
そして間髪入れずに攻撃してくる少女に太宰は苦笑する。
「けれど唯の動く人形の様だ。意思の入っていない攻撃は、唯の威嚇に過ぎないよ。」
そう告げた後、太宰は少女の隙を掻い潜って懐に入り、手刀を食らわせた。
真面に其れを受けた少女は、ガクンとその場に崩れ落ちる。
…が、寸前の処で太宰が少女をキャッチし、其の儘横に抱き抱えた。
「全く。あの攻撃が異能じゃないのだから、本当に大したものだよ。
…君を訓練させた人に御礼をしなきゃね。」
そう呟く太宰の目は、体の芯から震え上がる様な冷たい眼差しだった。
その眼は真っ直ぐに前方を睨んでいた。
心做しか、周りの雰囲気も冷たくなる。
「…まぁ今はこの子の安全が先か。」
そう太宰が云ったのと殆ど同時だった。
「あ!やっと見つけましたよ、太宰さん!!!」
川辺の方面から大きな声が辺りに響いた。
太宰は聞いた事のある声の方へ顔を向ける。
すると遠くから、一人の少年が走ってきていた。
太宰の名を呼んで此方へ駆け付けてくるのは、武装探偵社の新米__敦だった。
息を切らして走ってくる敦に体を向け、太宰は先程と同じ様に屈託の無い笑顔を見せる。
「おや、敦君じゃあないか。今日の朝ぶりかな?」
「こんな処に居たんですね…。」
おどけて見せる太宰に、敦は呆れた様な声を漏らす。
すると不意に、敦の目線に抱き抱えられている少女が写った。
「あれ、太宰さん。その子はどうしたんですか?」
「うふふふ、どうしたと思う?」
「えっと……はッ、まさか___!」
そう呟いて、敦は怪しげな視線を太宰に送る。
敦の視線に気付いた太宰は、ジトッと目を細めて云った。
「敦君、今君失礼な事考えてないかい?」
「え、あ、いえそんな!別に太宰さんが心中だけじゃ飽き足らず、遂には誘っている内にロリコンにでも目覚めて早速その子を誘拐しただなんて、思ってませんよ!?」
「随分と飛んだ発想だね…。
流石の私も、森さんの様にはならないよ。」
なりたくもないからね、と呆れ顔太宰はで笑った。
ハッとした敦は少し慌ただしく、すみません!と云いながらも太宰に問う。
「そ、それじゃあその子は…?」
恐る恐るそう問う敦に、太宰はにっこりと微笑んで云った。
「私の旧友に保護されてた子でね。私と旧友の大事な子なのだよ。」
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